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手ぶらで店舗決済OK、Google「Hands Free」をシリコンバレーで試してみた

2016年03月30日 10時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)、編集●ハイサイ比嘉

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「あなたの名前が見つかりません」とカウンターで告げられる

 セットアップ後にHands Freeアプリを開くと、現在地点から最も近い店舗が順番にリスト形式で表示されるようになっている。まずは試しということで、バスですぐに移動可能なマクドナルドマクドナルドの店舗に行ってみることにした。サンノゼはシリコンバレーの中心地だが、日本の都会とは違い、公共交通機関もそれほど発達していない。バスも1時間に1~2本というのもざらだ。メインの移動手段は車であり、店舗もショッピングモール形態のものを除けば、ほぼ郊外型。今回のマクドナルドも郊外型の店舗であり、ほとんどの客はドライブインスルーを利用しているのか、車の待機レーンの長さがかなりゆとりをもって設計されている。

アプリを開くと、現在位置から最も近いサービス利用可能店舗の一覧が降順で表示される。店舗をタップすると、具体的な位置や行き方、他の系列店が検索できる

 平日昼前ながら、あまり客のいない店舗に入って商品を選び、カウンターで「I'll pay with Google」と説明すると、すぐに理解してくれてPOSの操作を始めた。この手の新サービスでは「店員がサービスを理解しておらずにカウンターがパニックになる」ことがよく発生するが、きちんと教育が行き届いているのか何の問題もなかった。これは、今回訪問したすべての店舗で共通で、指導がきちんと入っていることがうかがえる。ただ、しばらく操作した後に店員が「イニシャルは?」などと何度も確認してくるものの筆者の名前が見つからず、最終的に支払いのOKが出るまで奥のチーフらしき人物を呼んで4~5分ほどカウンターを占領してしまった。空いていたからよかったものの、昼時でこうなってしまうと非常に申し訳ない。

まずはCaltrainのサンタクララ駅に近いマクドナルドをチョイス。入り口にはHands Freeの宣伝が貼ってある

対応店舗に近付いた状態でアプリを開くと、この画面が出てHands Freeでの支払いが可能になったことがわかる。レジのPOS端末の操作で顔写真が確認できるようなのだが、なぜか自分の写真が見当たらなかったようで、イニシャルのほかフルネームまで確認された。試しにビッグマックを単品で注文してみたところ、キャンペーン期間中とのことで最初の利用時に5ドルの割り引きが行なわれて、21セントでBig Macを食べることができた

ただ、ビッグマック単品で5.21ドルと600円近いのは高すぎではないだろうか(個人の感想です)

 この後、マクドナルド店舗横のラーメン店で昼飯を食してから、次の最寄りの店舗である「Papa John's Pizza」というピザ屋へと歩いて行くことにした。バスの乗り継ぎが必要で、待ち時間を考えると1時間かかっても歩いて行ったほうが早いと判断したからだ。Papa John'sの店舗前に来ると、入り口のドアにHands Freeの宣伝ステッカーが貼られていた。イラストはランニング中の人が同サービスで支払いするというもので、マクドナルド店舗の入り口にあったドライブインスルーを模したイラストとは異なっている。共通するのは「財布を取り出すのが面倒なシチュエーション」であり、こうした用途での利用を想定していることがわかる。

マクドナルド店舗の隣に「Men-Bei Ramen」というラーメン屋があるのを発見。Googleのビジネス検索でレーティングが「4.4」と非常に高かったので試しに入ってみた

これがまた、たまらなく絶品。行く機会がある方はぜひ立ち寄ってみてほしい

気温が26度超えの炎天下の中、次の目的地まで歩いて行く。到達予想時間が51分と出ているが、日本の都会とは距離感が違うので気にしてはいけない

 2回目のトライとしてPapa John'sでピザを購入してHands Freeによる支払いを試みたところ、やはりマクドナルドと同様に「名前が見つからない」と店員は返事をしてくる。特にイニシャルが確認できても写真が表示されないとのことで、店舗内で再度アプリを設定して写真とイニシャルを再登録してみた。すると、今度は確認できるようになったと店員が説明してきたので、おそらくGoogle側のシステムトラブルで情報が保存されていない、もしくは情報が共有されていないといった現象が発生していたとみられる。実際、Papa John's以降の店舗で「名前が見つからない」「写真が見えない」といわれることはなかった。

閑静な住宅街を抜けてPapa John's Pizzaの店舗へ。入り口のステッカーは店舗によって違うようだ。マクドナルドはドライブインスルー、Papa John'sはランニング中といった感じで利用シーンを想定したものになっている。店舗に近付くと表示される「Ready to pay」も店舗独自の画面になっている

まだ満腹になるわけにはいかないので、一番小さい8インチのチーズピザを購入。ディッピングソースを組み合わせるとうまい

 ピザを食べて少し喉が渇いたので、今度は快晴で気温も高いなか、30分ほど歩いてカフェへと向かうことにした。「IJAVA Cafe」という名前の店舗だが、ここはチェーン店ではなく個人経営の店のようで、Hands Freeアプリの店舗検索でもサンノゼ市内の1店舗のみしか候補が表示されない。店舗に設置されたPOSも小型のタブレット端末で、街外れの静かなカフェといったたたずまい。

 なお、この店のみ紙のレシートが手渡され、支払い方法として「Google Sale」と表示されていることが確認できた。通常、カードやキャッシュ払いではその旨の表記が出るので、Google側に請求が行なわれる仕組みでシステムが構築されていることがわかる。

次に25分ほど歩いて「IJAVA Cafe」へ。系列店はない個人経営のような店舗で、POSも磁気カード読み取り機がついただけのシンプルなタブレット端末だ

Hands Freeは基本的に電子レシート利用だが、IJAVA Cafeは例外的に紙のレシートが出てきた。支払い方法は「Google Sale」となっている

このカフェは入り口にHands Freeのステッカーはなく、代わりに店舗内のテーブルごとにこうした宣伝札が置かれている。イタリアンソーダ(ピーチ味)で休憩したら、次の目的地へ……

Hands Freeはまだまだ実験的な試み

 サンノゼでの取材も終わったので、サンフランシスコへと戻るべく筆者はライトレールに乗っていた。ライトレールの終点にあたるマウンテンビューで郊外型通勤列車のCaltrainに乗り換えるためだ。マウンテンビューは米Google本社のある場所として知られており、街全体をWi-Fiホットスポットで埋め尽くす実験が過去には行なわれていたりと、そのお膝元としてさまざまなサービスが展開されていることが多い。また、マウンテンビューの中心部であるカストロ通り周辺には多くのおいしいったらありゃしない飲食店がひしめいており、個人的にも機会がある場合にはよく通っている。今回はCaltrainの次の列車が来るまでに1時間半ほど余裕があったため、ここでお昼を食べつつ休憩することにした。

今回は取材でサンノゼに滞在していたが、まずはライトレールに乗ってGoogleのお膝元であるマウンテンビューへ移動

ライトレールからCaltrainに乗り換えてサンフランシスコに移動するのがマウンテンビュー来訪の目的だが、次の列車まで1時間以上余裕があるので、駅前のカストロ通りにあるレストランを物色してお昼ご飯に。しばらく来ない間に、いろいろ面白いレストランが増えていた

ラーメン居酒屋という「幽玄」に入ってみる。ラーメンは太麺で、極上の味

デフォルトはスープがやや薄めで現地仕様になっているが、オーダーで辛さを調整できるので、好みでスープの味を濃くするといいだろう

 駅前のとんこつラーメン店で昼食を済ませ、時間まで街の中心部を散策していると、突然iPhoneが反応してHands Freeアプリの画面には「Ready to pay」のサインが表示されていた。この「Ready to pay」は、Hands Free対応店舗でアプリを開くと表示されるもので、“その店舗”での支払いが可能になったことを教えてくれる。ただ、今回は「Ready to pay」の画面を見ても店舗名が表示されておらず、どの店舗が対応しているのかわからない。そこでアプリの店舗検索に切り替えて調べてみると、どうやら「Bierhaus」という店が対応しているようだ。アプリで反応のあった位置からGoogle Mapsで位置情報検索を行なってみると、交差点を挟んでちょうど対角線上の位置にある店舗らしい。

列車の時間までマウンテンビューのダウンタウンをぶらぶらしていると、突然Hands Freeアプリが反応した。どうやら「Biefhaus」というビアバーでサービスが使えるようだ。アプリに反応があったのは交差点ちょうど対角の位置で、距離にして直線で20~30メートルほど。この精度で反応するということは、あまり店舗が密集している場所での相互利用は難しいかもしれない

BiefhausのPOSシステムはIJAVA Cafeと同じもの。ちなみに、現在までの支払い状況はこんな感じ

昼飯にしては値段はそれなりにするけど、バーガーは美味

 この交差点はラウンドアバウトになっており、通常よりも道幅が非常に広い。おそらく当該の店舗まで距離にして直線で20~30メートルほどはある。それにもかかわらずアプリに反応があるのだから、位置情報による店舗とのマッチングが非常にアバウトであることがわかる。Bluetooth Beaconを組み合わせて反応精度を上げることは可能だが、範囲を絞りすぎては使い勝手が非常に悪く、先ほどのように店員に「名前が見つかりません」といわれるケースが続出すると思われるため、少なくとも現状の仕組みで密な地域にサービスを集中導入すると、かえって使い勝手が落ちてしまう可能性が高い。

 ただ、マクドナルドなどの例でもわかるように既存POSへの導入も可能であることから、地域と店舗を選びつつ、じわりと広がっていく可能性もある。今回はサウスベイという、ハイテクに明るい層が多く住む地域での実験であり、おそらくGoogleの発表を見て試してみたという人も多いだろう。一方で、他の多くの地域ではこうはいかない可能性も高い。実験だけでこのままひっそりと消えてしまうのか、あるいは改良されたサービスがもう少し広域に展開されていくのか、興味ある方は引き続きウォッチしてみてほしい。

番外編で、サンフランシスコについ先日オープンしたばかりの「Mensho Tokyo」というラーメン屋に来てみた。連日行列で、筆者が並び始めたのは夜10時半でこの状態

とんこつラーメンとつけ麺がメニューの中心で、これまでまわった2店舗と合わせてシリコンバレー周辺のラーメン屋のレベルがよくぞここまで上がったものだと非常に感心する

こちらは、一緒に並んでいた同業ライター某氏の注文したしょうゆラーメン。サンフランシスコに来られる方にはぜひオススメしたい


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