最新ゲーム機も規制で売れ行きが伸びず
さて、中国網絡出版服務管理規定で思い出すのは、ゲーム機販売を規制した通称「44号文書」という規定だ。
中国企業のみが中国国内でゲーム機を販売できるというルールで、長らくゲーム機はほとんど中国で正規に売られず、香港や日本などから個人輸入されたものが、実質黙認された状態で売られていた。
スマートフォン普及前は、特に上海や北京などの大都市で多くのPSPユーザーを見かけたが、スマートフォンでゲームを遊ぶスタイルが確立すると、中国でのゲーム機へのニーズが減少。輸入ゲーム機市場においても、大手ゲームチェーン店も含め、多くのゲームショップが店を閉じた。
2015年、自由貿易区設定で、ゲーム機販売が可能になり、PS4とXbox oneがリリースされたものの、ソフトをリリースするには審査を通さなければならないといった理由で、発売日が外国版よりもずっと後にずれ込むことになった。
結局、世界では累計でPS4は3000万台、Xbox oneは1800万台という出荷台数に対し、中国では双方合わせて累計50万台しか売れていない。44号文書は、外資メーカーを規制し、ニーズのなくなった市場を開放し、中国に参入しようとする外資メーカーを苦しめた。
またセットトップボックスに中国産のAndroidのカスタムOS「TVOS 1.0」の導入を義務化したことも思い出す。これは審査が通ったアプリしかインストールできないというものだが、技術的な壁を突破するためのアプリが広く普及した。
中国を煽る内容でなければ抜け穴は放置がこれまでの例
スマートテレビを買えば、製品購入時に店員が規制を抜けるためのアプリを入れてくれるほど、初心者でも好きなアプリを入れられる状況である。実質的にはベンダー封じでしかない。新規制でいつも困るのはベンダー側、メーカー側だ。
だから中国の消費者は、規制でゲームやアニメが見られず困ったことはほとんどない(ないわけではない)。今回も施行後に突然海賊版コンテンツが一斉に消える、ということはないはずだ。
中国国外のデジタルコンテンツについても、明らかに中国から見て違法性がある、と当局が判断したときに、FacebookやGoogleへの処置のように違法だからとブロックする。
つまり、中国を扇動するなど違法な内容があり、かつ許可証がないので、サイトを消せない代わりにアクセス禁止にしたわけだ。特に中国を煽る内容が含まれていなければ、許可なきコンテンツは放置され続け、中国から見られるだろう。
今回の規制で影響を受けそうなのは「Steam」
今回の外資規制で影響を受けるのは、じわじわと人気をあげている「Steam」ではないかと言われている。steamでゲームをリリースする中国ベンダーもあるが、使えなくなればユーザーも中国ベンダーも中国産の同種のサービスに切り替えるだろう。
根強いファンはVPNを使って壁越えしても利用し続けるだろうが……。

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