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グローバル共通の新マネージドサービス開始

日本IBM、ハイブリッド環境を丸ごと管理、他社製も対象

2015年11月25日 06時00分更新

文● 川島弘之/TECH.ASCII.jp

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 日本IBMは11月24日、異種混在環境に対応したリモート監視・管理サービス「IBM Integrated Managed Infrastructure(以下、IMI)」を発表した。マネージドサービスとして提供し、ハイブリッド環境の複雑性を解消する。年末から提供開始。価格は個別見積り。

グローバル・テクノロジー・サービス事業本部 第一サービスライン ソリューション 志賀徹部長

グローバルテクノロジーサービス事業本部 サービスライン 執行役員の久利建樹氏

 IMIは、ハイブリッド環境をリモートから24時間監視・管理するサービス。稼働状況の監視、障害回復、パッチ適用、レポート作成などの作業を代行する。対象環境はサーバー、ストレージ、ネットワーク、IBM SoftLayer、他社クラウド環境など。

IMIの概要、サービス内容、提供モデル

サービスメニュー一覧。赤い点線に囲まれたのが2015年末に提供開始される部分

 先行提供されている米国での事例を見ると、Oracle Database、Exchange、Active Directoryなどの他社製品や、Apache、Tomcatなどのオープンソースが実際の管理対象に含まれていて、カバー範囲の広さがうかがえる。

グローバル事例

 また、グローバルでサービスが標準化されている。このため、例えばグローバル企業が海外拠点のITをクラウドで展開している場合でも、国内にある従来型システムと合わせて、一元化・標準化された監視・管理を実現できる。

 「モジュラー型のマネージドサービス」であることも大きな特徴。監視・管理の各サービスがモジュールとして用意され、ユーザーはグローバル共通のサービスカタログから、必要な管理機能とサービスレベルを選んで利用できるという。

モジュラー型のマネージドサービス

 グローバル・テクノロジー・サービス事業本部 第一サービスライン ソリューション 志賀徹部長は「ITインフラやプラットフォームすべてを対象とする。それをグローバルで共通のサービスとして提供する。ユーザー企業はビジネス上の要望に迅速に対応できるほか、余計なコストを抑えられる」とメリットを語る。

 そのうえで、「専門家集団を用意」「実績のあるツールを利用し、可能な限り自動化する」「アウトソーシングで培った実績・ノウハウを基に反復可能なビジネスモデルを構築している」「パフォーマンスデータなどを分析し、傾向の予測なども可能にする」などを差別化要因に挙げた。

 こうしたサービスを提供する背景には、ハイブリッド環境の普及と、それを一元的に管理したい企業の強いニーズがあると、グローバルテクノロジーサービス事業本部 サービスライン 執行役員の久利建樹氏は語る。

 「企業は現状、Systemes of Record(従来の基幹系)とSystems of Engagement(最新技術によるサービス群)を連携させて新しい価値を創造しようと取り組んでいる。Systems of EngagementはIoTやデバイス、モビリティ、ビッグデータなどに代表されるサービスで、これらはクラウド環境で実現されることが多い。そこで課題となるのが、これら環境の異なるシステムをハイブリッドに管理することだ。IBMはこの課題に、OpenStack実装支援やインテグレーションブローカーサービス(2015年11月5日に発表されたGrabitant買収)などを提供済みだが、今回新たにモジュラー型マネージドサービスを提供することで、次世代エンタープライズITの実現を手助けしたい」(久利氏)

 将来的には、IMIへのコグニティブ・コンピューティング(Watson)適用も視野に入れる。

 「現状も分析機能はあるが、情報を収集するのはツールを使って人が行う。近い将来には、IMIのサービスとインフラを自動でデプロイし、システムが発するさまざまなデータやログを自動で分析し、パターンなどを検出、自動修復できるようにしていく。ツールを自動化する、適切なパターンを抽出するなどにコグニティブ・コンピューティングが活躍してくれるはず。そうして運用そのものをコグニティブにしていきたい」(志賀氏)

IMIの将来計画。運用そのものをコグニティブに

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