自国コンテンツを弱いタイ
海外サービス企業がもっとも参入しやすい国!?
ここまで、言わば“日本すごい”的なタイの事情をざっくり紹介した。
逆にいえば、タイは外国を受け入れる代償か、国産のコンテンツがめっぽう弱い。
ネットの普及率は4割程度だが、首都バンコクではそれ以上に高く、昔からそれなりにネットは浸透していて、その中で「sanook」「kapook」といったタイの定番ポータルサイトはあるのだが、日本における「Yahoo! Japan」のような、その国で圧倒的存在感があるサイトというのがどうにもないのだ。
もっとも、コンテンツに限らずハードウェアも強くはなく、これといった尖った独自ハードウェアが、昔から出ないわけだが。
前述のsanookやKapookが圧倒的立場ではない中で、後発の掲示板サイト「pantip.com」が一気に逆転して、タイのサイトとしてはナンバー1となった。
また、個人によるまとめサイトも人気だ。そのあたりは日本の状況に似ている。かつては、「ohozaa」というまとめサイトがあり、個人運営であったものの、なりふり構わぬ手法でsanookなど著名ポータルサイトを抜きトップとなったことがある。
極論ではあるが、個人のサイトですら、ニュース系ジャンルでナンバー1になることができるのである。どうもその理由としては、タイ人はベンチャーに行きたがらず、より安定した大企業志向があるため、ベンチャーが育ちにくいのではないかという意見を聞く。
今はタイでECも伸び、また日本旅行の関心もさらに高くなっている中で、タイ人の商品検索の定番のパターンとしては、Googleで「Pantip」と、気になる商品名で検索し、Pantipの該当スレッドでの口コミをチェックし、FacebookやLINEなどで情報交換をする。
タイ人はFacebookで、好きなサイトのFacebookアカウントをフォローし、彼らが出す広告についてどんどん「いいね︕」を押していく。結果、タイで著名なアカウントによるFacebookの広告は一気に広まっていく。Facebookはタイでは無料ながら大変有用なツールとなる。
自国製品を伸ばそう、利用しようという意識が低いタイは、ガジェットや新サービスへの期待はあまりできないが、逆に言えば日本企業や自治体のネットによる売り込みの難易度が最も低い国ともいえる。
日本に高い関心を持つタイに売り込んでいきたいときは、まずは女性ターゲットなら女性に強い上記の在タイ日本企業に相談し、効率的に広告を打っていくとよさそうだ。
また、地場サービスが弱い中で、アプリでタイ市場に参入するのも可能性がある。日本の2次元コンテンツが人気であるうちに、日本のゲームのタイ向けローカライズを、経験ある企業にオーダーするのもよさそうだ。
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