「インストールされない」「使われない」「儲からない」ーー100本超のアプリ運用実績を持つ「エキサイト株式会社」の事例から、アプリを失敗で終わらせないためのノウハウを学ぶ書籍『事例に学ぶスマホアプリマーケティングの鉄則87 企画からプロモーション、分析、マネタイズまで』。本書の中から、現場ですぐに使える「鉄則」を厳選して紹介します。
アプリ自体は無料で提供し、ある機能を使うときに課金を促す「アプリ内課金」は、課金のメリットを伝えたり、セールで課金ユーザーを増やしたりして収益化を目指します。
試してから課金する「アプリ内課金」
「アプリ内課金」は、アプリ内でアイテムを購入したり、特定の機能を有効にしたりするときに料金を徴収するマネタイズ手法です。アプリ自体は無料で提供するため、ユーザーがアプリを手軽に試せるメリットがあります。
開発者が価格を自由に設定でき、設定した価格の30%がアップルやグーグルの販売手数料として差し引かれて開発者に支払われます。現在、主流となっている課金モデルで、以下のようなパターンがあります。
- ゲームアプリ:
- プレイは無料で、アイテムを購入(課金)すると先に進みやすくなる
- 途中までは無料で、課金するとゲームを続行できる
- ゲーム以外:
- コンテンツの一部は無料で、課金すると続きを読める
- 基本機能は無料で、月額料金を支払うとすべての機能が利用できる
アプリ内課金で収益を上げるポイントは、次の4つです。
- 利益が確保できる金額に設定する
- アプリのダウンロード数を伸ばす施策を実施する
- ユーザーに課金させるポイントを作る
- 課金のメリットをユーザーにアピールする
効果的なタイミングでセールを実施する
アプリ内課金では、値下げをすると全体の売上は上がります。ただし、値下げ効果は一時的なもので、金額を戻すと売上が下がることもあります。
「寝たまんまヨガ」は、無料コンテンツの続きをアプリ内課金99円で販売し、さらに別コンテンツを350円で販売しています。収益を伸ばすため、GooglePlayで特集されたタイミングで課金コンテンツを値下げし、売上を伸ばすことに成功しました。セールは期間を限定し、新規ユーザーやアクティブユーザーが増えるタイミングに絞って実施します。
セールで購入したユーザーには、課金コンテンツのよさを伝える仕組みを実施し、収益を増やします。寝たまんまヨガのコンテンツは、一度購入してしまえば制限なく使用できる買い切り型で、継続的な課金は期待できないので、利益が確保できる価格に設定します。
定額課金モデルはプッシュ通知で継続利用を促す
エキサイトと講談社が共同で提供しているコミックアプリ「週刊Dモーニング」では、最新号の一部のマンガを無料で閲覧できます。続きを読むためには月額500円の有料会員登録が必要です。安定した収益を上げるため、プッシュ通知を活用して継続利用を促しています。
- 起動数が多い日や時間帯に、プッシュ通知で課金メリットをアピール
- 新しいコンテンツの追加時にアプリ内やプッシュ通知で告知
プッシュ通知を実施する前と比較し、課金ユーザーの転換率を約20%上げることに成功しました。同時に、退会率を下げる効果も得られています。
アプリ内課金は無料アプリである程度満足してもらい、「お金を払いたい」と思わせる必要があります。コンテンツの改善も重要ですが、セールやプッシュ通知を利用し、ユーザーのモチベーションを高める方法も効果があります。