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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第440回

「けっこう毛だらけ猫灰だらけ」の猫はなぜ灰だらけなのか?

2016年01月15日 12時00分更新

文● 荻窪圭/猫写真家

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石焼き芋のトラックと猫を見てピンと来た!

 さてここからが本題。

 「けっこう毛だらけ猫灰だらけ」って昔からいうじゃないですか。もうこの言葉自体に意味はなくて、「けっこうです」をふざけていう言葉遊びなんだけど、昔からこれの「猫灰だらけ」ってフレーズがずっと気になってたのだ。

 なぜ猫が灰だらけにならないかんのか。昔は灰だらけの猫ってそんなにいたのか、そもそも「猫」と「灰だらけ」がなぜ結びついたんだ?

 それがわかったのである。ちゃんと理由があったのだ。「かまど猫」である。

 「weblio」という辞書サイトで調べると、季語・季題辞典がひっかかったのである。

 なんと「冬になると寒さをきらって、こたつにのったりかまどにもぐって灰だらけになったりするネコのようす」(weblio )である。

 冬の季語だそうである。

 ぬくもりが残ったかまどの中に入り込んで灰だらけになって出てくる猫が昔はいたのだ。これが「猫灰だらけ」か!

 というわけで「自動車」「かまど」「冬」。この3つのキーワードが出てきたら、もうアレである。

 石焼き芋。

 実は先日、駐車場に止まってた石焼き芋屋さんの荷台に猫がいたのだ。

お、トラックの荷台に猫がいる、と思ったら石焼き芋だったのである。夜になったら動き出すのだろうな(2016年1月 オリンパス OM-D E-M1)

お、トラックの荷台に猫がいる、と思ったら石焼き芋だったのである。夜になったら動き出すのだろうな(2016年1月 オリンパス OM-D E-M1)

 おお、石焼き芋のトラックと猫とはよいシーンに出会ったぞ、と写真を撮ってたら、猫が背中を向けて荷台の後ろに回ろうとする。では後ろから撮ってみるかと、車の反対側にそっと回ってみると、そこにもう1匹発見(前ページ冒頭写真)。

 この2匹が簡単に挨拶を交わしたかと思うと、ミケの方が中にもぐっちゃったのだ。

石焼き芋のトラックで出会う2匹。キジトラの方は中には入らなかったらしい(2016年1月 オリンパス OM-D E-M1)

石焼き芋のトラックで出会う2匹。キジトラの方は中には入らなかったらしい(2016年1月 オリンパス OM-D E-M1)

そのあと、猫が石焼き芋のかまどに入ってしまった。おーい。大丈夫かー。まあ営業してないとはいえ。中はほんのりと暖かいのかも(2016年1月 オリンパス OM-D E-M1)

そのあと、猫が石焼き芋のかまどに入ってしまった。おーい。大丈夫かー。まあ営業してないとはいえ。中はほんのりと暖かいのかも(2016年1月 オリンパス OM-D E-M1)

 これは、ってんでそっとかまどの口の方へ回ったら、感づかれて出てきちゃいました。

かまどに入ってる猫を撮ってアップしようとiPhoneを手に近づいたら出てきちゃったので慌てて撮影。猫が動いてて被写体ぶれしちゃったのが残念。でも決定的瞬間であります(2016年1月 アップル iPhone 6s Plus)

かまどに入ってる猫を撮ってアップしようとiPhoneを手に近づいたら出てきちゃったので慌てて撮影。猫が動いてて被写体ぶれしちゃったのが残念。でも決定的瞬間であります(2016年1月 アップル iPhone 6s Plus)

 実はこの写真をSNSに上げたら、街歩き仲間の友人から「かまど猫っていいましたっけ?」とコメントが付き、初耳だったのであれこれ調べてみたら、冬の季語だったということがわかり、あ、「けっこう毛だらけ猫灰だらけ」の灰だらけの猫ってかまど猫のことだったのかと思い立った次第。

 さすがにこの猫は灰はかぶってないけど、かまど猫といって過言ではあるまい。むかしは「かまど猫」、昭和の頃は「こたつ猫」、今はさしずめ「床暖猫」ですかねえ。

 ああ、いちど本当に灰をかぶった「かまど猫」を見てみたいもんである。

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筆者紹介─荻窪圭


著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/


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