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バンドマンからIT業界ダイブ、柔道整復師、オルターブースの起業まで

元ヌンチャクのベース小島淳が挑む「クラウドでもやってみよう」

2016年01月18日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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スタートアップ支援と医療従事者向けシステムの2本の柱

 現在オルターブースは.NETやMicrosoft Azureを中心にしたWeb開発を手がけており、最近はOSSによる開発やAWS、国産クラウドなども使い分けている。起業の地である福岡は自治体の取り組みもあって、スタートアップが盛んな地域。「九州の案件に関しては完全にスタートアップメインです。クラウドベンダーやベンチャーキャピタルと組んでスタートアップを支援する“インキュベートサービス”を展開しています」(小島さん)。スタートアップが持つユニークなアイデアを高度な技術力で支援し、成功に近づけていくのがオルターブースの使命というわけだ。「困っているスタートアップはまずお声がけしてもらいたい。決してNOとは言いません」(小島さん)

 そしてオルターブースのもう1つの強みは、柔道整復師の小島さんが学んできた医療の分野だ。とはいえ、電子カルテやお薬手帳のような枯れたシステムは、今までのSIerに任せ、オルターブースは医療従事者が幸せになるような取り組みを技術面で支援しているという。

藤崎さんをモデルに柔道整復師の仕事を説明する小島さん

 具体的には医療従事者向けのSlackみたいなコミュニケーションツールや医療辞書、キュレーションサイトなどをユーザーとともに開発している。「学校に通った3年間、ITと医療をうまく連携できないかと考え続けた。病院に行かず、ITを使ってケアできたら一番いいと思った。だから卒業して整骨院を開くのではなく、ITの会社を立ち上げたんです」と小島さんは語る。

 もちろん、柔道整復師としてのノウハウもITに活かしていく。「僕が体を触れば、体調不良の原因や体の弱い部分がわかる。でも、センサーを組み合わせれば、患者自身がこうした情報を簡単に把握できるかもしれない。現実世界にホログラムを写すMicrosoft HoloLensを活用すれば、健康な人と不調な人の生活習慣の違いを明示できるかもしれない」と小島さんは語る。肩こりや腰痛のように病気やケガでない不調を自身でケアできるものをITで作れば体調の問題は解消できるはず。「西洋医療が導入されたこともあったが、整骨院でやっていることって千年以上あまり変わらない。だから、ここにITを導入したらもっとすごくなる。IT整骨院をショールーム化して、実際に私が試せばいいんです」と小島さんは語る。

2016年はDevOpsに特化したMSP事業に参入

 現在、オルターブースはエンジニアが4名、アルバイトが2名で回しているが、アーキテクチャからビジネスプロセス、マネジメント、プログラミングまでプロフェッショナルがまとまってトラブルに当たれるのが大きいという。小島さんは「100%クラウドにどっぷり浸かれるというのが、うちの従業員に対するベネフィット。新しい技術を思う存分使うことができる環境にメンバーも満足していると思う」と語る。

 もう1つの柱として、2016年はMSP事業に参入し、DevOpsの取り組みに特化したコンサルティングを展開していく予定だ。「単純に運用をやりますではなく、サービスのリリース管理から入って、アプリケーションのデプロイ、インフラ管理の自動化までわれわれのノウハウを包括したコンサルティングを提供します。基本はAzureですが、オンプレミスでもOK。重要視しているのは、品質管理の部分です」と小島さんは語る。

われわれの培ったノウハウを盛り込んだDevOpsを始めます

 バンドマンからIT業界、医療の業界に足を踏み入れ、ヌンチャクの名曲「やってみよう」よろしく、チャレンジを続ける小島さん。サンボマスターやGARLICBOYS、DEATH FILEなどが対バンで参加したヌンチャクの時限再結成ライブや、ベースの横山明裕さん(横さん)が亡くなったUNITEDの追悼イベントにも参加し、今も音楽活動を続けているという。まさに業界をクロスオーバーしてきた小島さんの「クラウドでもやってみよう」を全力で応援したい。

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