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CES 2016レポート

HUDヘルメットに10万円級の3D VRカメラが凄い!CES2016で見かけたVR系ギア3選

2016年01月12日 10時00分更新

文● イトー / Tamotsu Ito

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 CES2016会場と併催イベントで気になったAR/VR系プロダクトから、プロトタイプではなく発売を前提とした2つを紹介する。

ヘルメット内蔵HUDで"後頭部の目"を手に入れる「Skully AR-1」

Skully AR-1。写真のブラックのほか、シェルのメインカラーをホワイトにしたツートンモデルもある。サイズ展開はS/M/L/XL/XXLまで5サイズ作っているのは小規模生産としては立派。

 CESの主催団体とは別の団体が併催しているイベント「Show Stoppers」で見かけた、数年前から開発が進んでいたスマートヘルメットの製品版。2016年夏から出荷開始をする。 
 二輪用ヘルメットのスクリーンの内側にGoogleGlass的な小型のHUDを内蔵。ディスプレイには後頭部に内蔵した超広角180度カメラの映像やスマホと連動したナビゲーションの映像を表示できる。もちろん、耳部分にはBluetoothを使ってサウンドの通知をするためのスピーカーも入っている。またマイク内蔵で音楽再生などをボイスコマンドで操作できるようにもしているという。 
 ヘルメットを攻殻機動隊よろしく電脳化する、あるいはドラゴンボールのスカウターをヘルメットに内蔵する、というようなSF作品的世界観が好きな人なら一発で興味を持ちそうなギアだ。

大型二輪保有者なので自分で購入するつもりで確かめたつもり(が、1490ドルはさすがにおいそれとは買えない)

後頭部に位置するカメラ。説明によれば、視野的には耳から後ろ側をほぼ全てカバーできるらしい。

 被ってみた印象は「大ぶりなヘルメット」。外国製のヘルメットブランドは妙に大きいものがあるが、ちょうどそんな被り心地だ。思ったより重さを感じないのは、ヘルメットのシェルがカーボン製だからだろうか。HUDの視認性は申し分なく、メガネ着用でも調整すればちゃんと見えた。 

 背面カメラは180度だから背中側全体をカバーできる超広角で、ライディング時に右目で右下を見ると背中側の風景が見えている、という不思議な感覚。どうやっても取材カメラではHUDの実映像が撮影できなかったのが残念なところだが、短時間装着した印象では案外実用的な気はした。 
 カメラの方向は変えられないので前傾の強いライディング姿勢時にどうなるのかわからないが、180度見えれば後ろ側すべてが見えるわけで、問題はないのかもしれない。

 ナビの利用は、大まかに「次の角を曲がる」などの矢印指示を背景映像に重ねられるいわゆるターン・バイ・ターンのナビ。これもデモ映像を装着したHUD上で見ることができた。 
 視認性は十分使いものになりそうなものの、日本で使った場合のマップデータの精度がどうなのかは注意したいところだ(Skully社では、世界中どこでも使えると明言している……が、マップのローカライズが難しいのはAppleが苦労していたのを見てもわかりますよね。ナビとなれば難度はもちろんそれ以上) 

 バッテリー駆動時間は5〜8時間。満充電にかかる時間は2〜3時間。お値段は想像通りの「お高いんでしょ?」価格で、1499ドル。 

立体視対応の低価格3D VRカメラ「VUZE」 

本体はかなりコンパクト。普通の360度カメラかと勘違いして一瞬素通りしそうになったほど。

ブースのキャッチコピーは「初の一般向け360度3D VRカメラ」。

 CES2016の第2会場・Sandsのスタートアップ村”エウレカパーク”で見つけたプロダクト。 
 VRといってもゴーグル側ではなく、カメラだ。360度カメラはさほど珍しくなくなってしまったが(日本は世界に誇る至宝のリコー「Theta S」があるわけだし)、3D立体視対応で、”世界初のアフォーダブルな価格”(リリース文)となると話が違ってくる。 

 360度撮影に加えて立体視もするとなると、視差を作り出すために人間の視野同様に二眼で撮影する必要がある。これが高価格になる原因でもあるわけだけど、VUZEでは価格1000ドル以下(円換算で12万円以下)、2016年8月の発売を目指して開発している。 

 360度VRを実現するのは完全な力技で、フルHDカメラを1方向につき左右2基、それを4方向分=8基搭載。これらを合成して4KのVRコンテンツを生成する。 
 映像の再生は、一般的なVRヘッドセットやハコスコのようなスマホを組み合わせたCardBoardにも対応する。 

 ブースではVUZEで撮影した海辺の映像などをVRグラスで体験させるデモを実施。視聴してみたところ、360度カメラ特有の解像感粗めの映像ながら、立体視がちゃんとできていた。自然な立体視というよりは、”書き割り効果”(被写体の奥行きが薄っぺらく見える)を感じる動画ではあるものの、奥行きは確かに感じる。 

 VUZEのニュース性として大事なのは、「これがモックアップではなく本当に動作している」という部分だ。 
 その場では試せなかったものの、YouTube公式アカウントには一部の海外プレスがVUZEを使って取材した映像が公開されているから、ただのモックアップではないのは事実だ(YouTube再生オプションで”アナグリフ”を選ぶと立体視用の映像が表示されるので、データが立体視向けフォーマットで記録されていることも確認できる) 

 今年、360度カメラはいくつかデビューすると思うが、3D VRカメラとなるとハードルは相当高い。そういう意味で、VUZEはその価格も含めて今年の注目株の1つだ。 

インテル傘下のスポーツHUDギアメーカー「Recon」 

写真中央のものものしいマスクがCES2016で発表されたペイントボール競技を近代戦化する「The Empire EVS」。

 こちらはインテルブースの展示。カナダのRecon Instruments社は2015年6月にインテルが買収したスポーツ向けHUDギア専門のメーカー。 

 CES2016に合わせて、日本で言うサバゲーに似た"ペイントボール”競技専用のHUDマスク「The Empire EVS」を発表した。ブースではこれまで発売してきた自転車用のスマートグラス「Recon JET」とウィンタースポーツ用の「Recon SNOW2」と、The Empire EVSの実物を展示。体験することができた。 

JETを着用したところ。サングラスの右目下側にユニットが付いている。ユニット外側にタッチセンサーがあって操作できるほか、前部にはカメラも内蔵。動画撮影したり、自分が走った距離などのインフォメーションを見ることができる。

HUDユニットはかなり飛び出している。装着感は見た目ほど違和感はなかった。

内側から見たところ。通常は視野に入りにくい右下にHUDユニットがある。

 肝心のThe Empire EVSはタイミングが合わず体験はできなかったが、既発売のJETとSNOW2は装着できた。見え方はSkullyやGoogleGlassなどと似ている。 
 The Empire EVSはSNOW2のHUDをマスクに組み込んだものになっている。システムとして1GHzのデュアルコアプロセッサとAndroidベースのOSで動き、9軸センサー、GPS、Bluetooth4.0、WiFiも内蔵。HUDでフィールドマップを見ながら、残弾薬数やチーム員の位置などの情報を表示する。対戦FPSゲームのような近代戦を、リアルなペイントボール競技の中で楽しめるイメージだ。

●関連リンク
Skully AR-1公式サイト(英語)
VUZE公式サイト(英語)
The Empire EVSリリース文(英語)

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