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公的個人認証サービスをオンラインの本人確認手続きに利用

マイナンバーカードで本人確認、NTTデータが事業開始

2016年01月07日 06時00分更新

文● 川島弘之/TECH.ASCII.jp

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 NTTデータは、個人番号カード(マイナンバーカード)の公的個人認証サービスを活用した本人確認ソリューション事業を2015年12月に開始した。

 2016年1月に交付可能となる個人番号カードには、国民が利用できる公的個人認証サービスが希望に応じて搭載可能となる予定。この公的個人認証サービスには、住民票と同等の個人4情報(氏名、住所、生年月日、性別)を含んだ署名用電子証明書が格納されており、オンラインの本人確認手続きに利用できる。なお、公的個人認証サービスは個人番号そのものを使わず、電子証明書などによりオンラインで本人確認を実現する安全性の高いサービスとのこと。

 NTTデータはこれまで、公的個人認証サービスの民間利活用について開発・実証を行ってきたが、個人番号カードへの利用技術の検証および関係機関との調整を経て事業化のめどが立ったことから、本人確認ソリューション事業をスタートさせた。

 同ソリューションでは、個人番号カードのICチップを端末で読み取り、中に格納されている公的個人認証アプリケーションを利用することで、民間企業における本人確認業務に必要な「確実な本人確認」と「証跡データの保管」を実現する。NTTデータが機能を開発し、顧客企業の既存システム向けに提供する。

 具体的には、「署名用電子証明書」を利用した確実な本人確認機能を提供。個人番号カード保有者がカード交付時に窓口で設定した暗証番号を入力することで、顧客企業は個人番号カード内の署名用電子証明書に含まれる個人4情報の確認と合わせて、オンラインで確実に本人確認できる。

 確実な本人確認後は、個人番号カード内の「利用者証明用電子証明書」を利用して利用者本人であることを認証する。

 また、署名用電子証明書、利用者証明用電子証明書それぞれのシリアル番号(電子証明書の発行番号)に加え、確実な本人確認を実施した証跡(利用申込書類や署名等)を保管。いつでも参照可能という。

 さらに、保管しているそれぞれのシリアル番号について、公的個人認証サービスの証明書失効情報と突合し、有効と認められなかったものについては、その対象となる顧客を通知する「証明書失効通知管理機能」もオプションで利用できる。

本人確認ソリューションの概要

 利用シーンとしては、主に銀行、クレジットカード会社、保険会社、携帯電話事業者、コンビニなどを想定。生活者が「銀行口座の開設」「クレジットカード、携帯電話の利用申し込み」「保険契約の諸手続き」「コンサートなどチケットとしての個人番号カードの利用」などを行う際、顧客企業は以下のメリットを享受できるという。

 例えば、オンラインでの確実な本人確認が可能となることで、顧客訪問や本人限定受取郵便などにおいて、従来の本人確認業務に費やしていた工数が削減できる。また、公的機関が保証する電子証明書を利用することで、書面などによる従来の本人確認業務を伴っていた書類紛失リスクが削減できる。

 同ソリューションは、本人確認や利用者認証を行うアプリケーション・サーバーや証跡データの保管を行うデータベースサーバーといった機能一式を、顧客企業などの既存システムに合わせて開発する「システム開発型」として提供する。

 これにより銀行口座の開設、クレジットカードや携帯電話の利用申し込み、保険契約の諸手続きなど、確実な本人確認が求められる業務を効率化するという。

 また、2016年度上期をめどに本人確認サービス「BizPICO」としてクラウドサービスでの提供も始める予定。同社クレジットカード決済網「CAFIS」との接続も今後検討する。

 将来的には、本人確認だけでなく、公的サービス利用時の資格確認やインターネット上でのログインにおけるセキュア認証といった利用者の認証を必要とする様々なサービスへの展開を図る。さらに政府で検討されている「ワンカード化」を見据え、多岐にわたるシーンで本人確認に利用できるよう、追加機能の開発や技術検証を通じた幅広い分野へ展開していく。

さまざまな利用シーンにおける本人確認・利用者認証のイメージ

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