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まつもとあつしの「メディア維新を行く」 第52回

電子コミックのこれまでとこれから――MDC主宰・菊池健氏に聞く

ゲームにはソシャゲがあった。マンガにはいま、何がある?

2016年01月10日 12時00分更新

文● まつもとあつし 編集●村山剛史/ASCII.jp

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MDCが生み出すもの――
まずはこの「機運」を途切れさせないことが大切

―― そういう状況のなかにあって、MDCには現役の編集者も参加しているようですね。

菊池 そうですね。週末の開催でも、問題意識を持った人が熱心に参加いただいています。

―― MDCの今後の展開はどのようにイメージされていますか?

菊池 参加してくれた人が、実際にそれぞれの現場で「変化」を起こしてくれる――そのための手法や情報、そして仲間と出会える場で有り続けたいと思っています。したがって、イベント自体の規模の追求が最優先ではないかなと考え始めています。

―― 先ほどゲームの話がでましたが、参考にされているGDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)は2万人を超える参加者がいます。

菊池 GDCはスタートから30年でその規模なので、どういったスピード感でMDCは進んでいくかは、やはり検討が必要だと思っています。

 まずは、密度の高い議論をすること、終わった後のWeb上のレポートや冊子をきちんと出して行くことで、「持って帰れるもの」あるいは「参加出来なくても役に立つ情報の共有」を積み重ねて行くこと――を進めて行きたいなと。そのための「形」づくりを来場者の声も聞きながら試している段階ですね。

 ただ、ある種の「機運」をいま手応えとして感じています。数年前では考えられなかったようなキープレイヤーが、講演もしくは議論に加わる一メンバーとして参加してくれています。

 そんな動きを、途切れさせず、発展させていきたいと考えています。そうすることが、僕たちが支援したいこれからデビューする漫画家を支えることにもつながっていくはずです。

―― 確かにクリエイティブの源泉である漫画家が喰えなければ、日本のマンガの発展もないわけですからね。

菊池 はい。Kindleも既存作品を電子化して販売するという意味では電子マンガのプラットフォームではありますが、本当の変化は、ネットにつながった状態で楽しむマンガ的な「何か」が生まれた先にあるはずです。その環境作りにMDCが貢献できれば嬉しいですね。

電子書籍元年から幾星霜――やっと議論できるタイミングが訪れた

 マンガは電子書籍がもたらす変化への対応を急ピッチで迫られている。電子書籍元年直後では、地に足のついた議論ができなかっただろうし、2~3年前ではまだ様々な失敗も踏まえた上での問題意識を現場の方が強く持つには至らなかっただろう。

 MDCでの議論が、日本で独特の進化を遂げてきたマンガの、電子での新たな発展を生み出す土壌となることに期待したい。

著者紹介:まつもとあつし

 ネットベンチャー、出版社、広告代理店などを経て、現在は東京大学大学院情報学環博士課程に在籍。デジタルコンテンツのビジネス展開を研究しながら、IT方面の取材・コラム執筆などを行なっている。DCM修士。法政大学社会学部兼任講師。
 主な著書に、堀正岳氏との共著『知的生産の技術とセンス 知の巨人・梅棹忠夫に学ぶ情報活用術』、コグレマサト氏との共著『LINE なぜ若者たちは無料通話&メールに飛びついたのか?』(マイナビ)、『できるネットプラス inbox』(インプレス)、『ソーシャルゲームのすごい仕組み』(アスキー新書)、『コンテンツビジネス・デジタルシフト』(NTT出版)など。
 Twitterアカウントは@a_matsumoto

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