このページの本文へ

IE互換ブラウザとアプリ仮想化を採用、コストはシステム全面改修の「約10分の1」

IE 8サポート切れ目前、ネットワールドが自社基幹システム“延命”

2015年12月17日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 ネットワールドは12月16日、来年1月に迫るInternet Explorer 8(IE 8)サポート終了を前に、IE 8を利用する自社基幹業務システムの継続利用プロジェクトに成功したと発表した。IE互換ブラウザとアプリケーション仮想化製品を利用し、基幹アプリケーションの改修なし、約2カ月間の工期で継続利用を可能にしたという。

 マイクロソフトでは今年8月、IEのサポートポリシー変更を発表している。このポリシー変更に伴い、2016年1月12日(米国時間)以降、マイクロソフトがサポートするIEは「各Windows OSで利用可能な最新版のみ」となる。そのため、サポート期間中のWindows 7やVistaであっても、IE 8やIE7はサポート対象外となり、セキュリティパッチの提供は行われない。

来年1月12日以降、サポート対象のIEは「各OSで利用できる最新版のみ」となる(画像はマイクロソフトサイトより)

 ネットワールドでは今回、自社開発のIE互換ブラウザ「LIBRA(ライブラ)」と「VMware ThinApp」を利用し、アプリケーション改修なしで、自社基幹システム「CUVE」の継続利用を可能にした。

 CUVEのベースとなっているERPパッケージ「SMILE ie」は、対応クライアントがIE 8までとなっている。ネットワールドでは「社内限定でのIE 8使用継続」「CUVEの改修」を検討したが、前者はセキュリティ上の懸念があり、後者は数千万円の改修コストがかかることがわかった。

 ネットワールドでは、移行費用を抑えつつ従来どおりの業務環境を維持する方策として、IE互換ブラウザLIBRAの利用を選択した。LIBRAは、当初、Windows XP/IE 6のサポート終了に伴い同社が開発したIE互換ブラウザで、今年4月にはIE 8互換にも対応している。事前に「信頼済みサイト」に登録されたサイトへのアクセスのみに制限されるため、セキュリティリスクを回避しつつ旧IEが必要なアプリケーションを利用できる。

 また、CUVEのベースとなるERPパッケージにはさまざまなカスタマイズが加えられており、OCXやActiveXコンポーネントに互換性の問題が生じることがわかったため、LIBRAにVMware ThinAppを組み合わせて互換性の問題を解決した。

 今回、基幹システム本体にまったく手を加えなかったため、移行コストは全面改修を行う場合の約10分の1で済み、構築期間は約2カ月程度だったという。また社内ユーザーへの展開も迅速に行われ、システムのレスポンスも以前と変わりなく利用できていると、ネットワールドでは発表している。

 ネットワールドでは今後、今回のプロジェクトで協業したジャパンシステムと共に、同様の悩みを抱える顧客向けの「アプリケーション延命ソリューション」の提供を強化していく方針。

カテゴリートップへ