
アメリカの古いアパートの場合、自宅には洗濯機がなく、街のランドリーに洗濯をしに行く風景は珍しくありません。洗濯27分、乾燥40分の1時間ちょっとの時間、iPad Proをおともに仕事。フル環境のパフォーマンスを洗濯物の山とともに気軽に持ち出せるのは、大きなメリットですね
年末、iPad Proを使いながら考えたパソコンとタブレットの問題、あるいは「メインマシンという概念」について。簡単に言えば、筆者のパソコンやタブレットなどの仕事の環境をどう揃えるかの最終回です。
うれしい悩みと、出せない答え
ここまで3回にわたって考えてきた、iPad Proを主力マシンとして扱う可能性について。その場合、当然のようにデスクにあったパソコンをどのようなものにすれば良いのかという悩みがありました。
こうした悩みを抱えることができるようになったこと自体が、コンピューティングの世界の進歩とも言えます。今までは「パソコンでしかできない、以上。」であったところに、様々なパソコン以外のデバイスが、その役割を変わりを務められるようにになるまで育ってきたからです。
その点で、喜ばしい悩みであると言うべきでしょう。
ただ、前述のように、決めごとに、現時点での答えを出す必要もあります。
メインマシンの概念を引っ張るのであれば、もう2016年になってしまうので、2016年モデルの13インチMacBook Proが、現時点での答えかな、と考えています。メインマシンをいつも持ち歩く、というスタイルの選択です。
希望としては、来年以降もMacBook Airが継続するならば、Retina化されるであろう13インチもしくは15インチのMacBook Airをメインマシンにしたいところです。Airを選べない理由はディスプレイぐらいで、性能的には(外部グラフィックスを搭載する)Proでなくても良いので。
若干欠落がある、現在のMacBookのラインアップ
少し話を脱線しますが、MacBookシリーズのラインアップ、今後どうするのでしょう。ディスプレイのRetina化、感圧トラックパッドの採用がシリーズ全体に拡がっている中で、MacBook Airだけが置いて行かれている状態です。
iPadは無印がなくなりましたが、mini < Air < Proというラインアップになりました。わかりやすさを取るなら、MacBookシリーズも、無印 < Air < Proにしても良さそうに思います。
その際、11インチのAirは無印とかぶるので消滅。Airは13インチとなり、Proは13インチと15インチ、という展開が固い線でしょうか。あるいは、Airが13/15インチまでカバーするなら、Proは15インチ、そして17インチの復活というのも良いかも知れませんね。4K動画編集が可能なモバイルワークステーション、良いじゃないですか。
話を戻すと、メインマシンの概念でMacを新調するなら、手元に欲しいのは大画面の12.9インチのiPad Proではなく、キーボードやApple Pencilをサポートする9.7インチのiPad Airシリーズになります。画面分割を積極的に使わず、1つの作業に集中できる最適なサイズがあれば十分、ということになります。
でも、せっかくなので、Apple Pencilは使いたいですね。いや、本当に、ProなのかAirなのかは分かりませんが、9.7インチでキーボードとペンシルが使えるiPadは割と欲しいな、と思ったりしているのですが……。もちろん純正にこだわらなければ、より安く実現できますね。
もうMacは新調しないという新しい選択肢
別の可能性として、「Macを新調しない」という選択はどうでしょう。
メインマシンを持つ、という概念は捨て、Mac、iPad、iPhoneを同列としてとらえ直す、ということです。仕事の時間はMacが最も長く触れていますが、いつもデスクやポケットなどそばにある存在のiPhoneも、仕事の道具としてより深く参加させてはどうでしょう。
たとえばメールやメッセージといったコミュニケーションはiPhoneに任せて、iPadは作業に振り分ければ、Macで実現できている自由なウインドウ配置によるマルチタスキングを、分散したデバイスに任せることができるからです。
本連載でも触れてきたとおり、iPad Proで仕事を完結させる点については、現実的でした。データもクラウドに保存されており、MacとiPad Pro、さらにはiPhoneとの間での連係も意識することはありませんでした。
Macそのものに求める役割が減っていくことによって、現在4年目のMacBook Proをより長く使い続けることができるかもしれません。
(次ページでは、「高価なMacを選ぶ意味合いはあるのか?」)

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