理系博士コンサルタント・栗山雄司のコラム
「販売重視型の健康食品OEM製造&原料開発」より
ここ最近、日本の健康食品市場では、純粋なサプリメントの市場より一般食品への機能性を加えたような商品が非常に伸びています。
これは、原料とOEMの両方の動きから、何となく見えてきます。
さらに、スーパーフードや機能性オイルが1例としてWBSで紹介された(健康などの)付加価値を謳った食品の話題なども、その流れを物語っていると思います。
このテーマのポイントは、以下のようなものかな?と感じています。
・美味しくて体に良い(味もなく料理に利用するのもあり)
・日常生活に密着している
・伝統的な健康食
その流れはますます加速しており、詳細は公表できないですが、現在、大手さんと進めている案件も、一般食品への添加の案件です。
原料案件なので、OEM会社だとなかなか見えてこない、原料メーカーだから得られる情報です。
その他にも、赤ワインエキスなども、サプリメント形状ではなくスムージー、ドリンクやゼリーなど一般食品に近い剤形で使用されることが増えています。
ちなみに、この赤ワインという素材も伝統的な健康食であり、その点もじわじわ伸びている一因だったりするのだと思います。
こういった流れは、OEM事業でも表れ始めています。ステックゼリーのような形態だけでなく、さらに様々な機能性を付加した青汁、乳酸菌を添加した甘味料風の粉末サプリメント、漢方の練り剤のようなハチミツ型漢方サプリメントなどひと工夫された剤形の要望が増えてきています。
こういった剤形は、若干ロットも大きいですし、薬系の低原価でなく食系の高原価気味で流通させなければならないので、参入障壁は若干高めです。ただし、今まで一般食品を取り扱っていた方々は、それでも一般食品より低原価で賞味期限も長めなので、今までの一般食品より低リスクでチャンスがあると考えているようです。
こういった食系に近い高原価で優れた健康商品が市場に多く出回ると、健康食品市場は一変するでしょう。
同時に、日本は、アメリカの一般市場(添加物素材優位)よりヨーロッパの市場やアメリカのハイエンド市場に近い方向へ向かっており、以下のようなものを嫌う傾向も出てきています。オーガニックまでいかなくても、植物系のものが好まれる傾向が強くなっています。
・白糖
・グルテン
・合成甘味料
・添加物(保存料や着色料など)
そういった変化に対して、臨機応変に対応しつつ、常に新しい提案を先手先手で行っていかないと取り残されてしまいます。例えば、弊社でも、合成甘味料に関しては、天然由来の甘味料に切り替えつつあります。
そういった変化への感度を高めつつ、売れる商品を提供することでお客様の成功を導ければと思います。
■プロフィール
理系博士コンサルタント・栗山雄司
博士(水産学)、食品保健指導士、健康管理士。富山県滑川市出身。
(株)アンチエイジング・プロに所属し、健康食品の商品戦略と販売戦略のコンサルを行っている。
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