シャープは、プラズマクラスターイオン空気清浄機およびプラズマクラスターイオン発生機の新製品を発表した。
プラズマクラスターイオン空気清浄機の新製品では、AHAM(米国家電製品協会=Association of Home Appliance Manufacturers)が定めた集じん性能基準である「CADR(Clean Air Delivery Rate/クリーンエア供給率)」において、「タバコの煙」「ホコリ」「花粉」の全項目で最高値を獲得するとともに、国内の家庭用空気清浄機規格の運転音基準を満たした空気清浄機「FP-140EX」を発売した。
CADRは、世界各国で用いられている性能基準で、これまでにも最高値を獲得した空気清浄機はあったが、高い性能を実現するために、ファンを高回転でまわす必要があり、結果として動作音がうるさくなるといった課題があった。
FP-140EXでは、ファンとモーターをそれぞれ2基搭載し、毎分14m3という大風量を実現しながら、日本の基準で定められている運転音基準の55dB以下に音を抑えることに成功。2つの規格を同時に満たした製品は業界初だという。
大風量を実現したのは、2基ずつ搭載したファンとモーターの回転数を抑えたことに加えて、シャープが独自に開発したトンボの羽根形状を応用したネイチャーファンの採用や、風路構造の見直しも貢献している。
特に、トンボの羽根形状の採用では、羽根断面がギサギザになっており、これにより渦を形成。航空機翼まわりと同じような風の流れをつくりながらも、摩擦抵抗が小さいため少ない力で、軽く済むという特徴がある。これをファンに応用することで、低騒音化と高効率化を図ることに成功した。
また、0.3μmの微小な粒子を99.97%以上集じんできる静電HEPAフィルターを2枚搭載したほか、第9世代の高濃度プラズマクラスター25000ユニットを搭載することで、高濃度のプラズマクラスターイオンを放出し、付着したタバコのニオイの消臭など、気になる空気の汚れを浄化。集めたホコリを自動でダストボックスに回収する「プレフィルター自動掃除」機能の搭載し、定期的なお手入れの手間を大幅に軽減するほか、集じん性能の低下を抑える。
また、高感度ホコリセンサーとニオイセンサーで 「ホコリ」「ニオイ」「PM2.5」の 汚れ度合いを判別して、 レベルモニターで知らせるほか、自動で風量を調節。大空間でも、快適に使用できる空気清浄機としての性能を備えている。さらに、新たに照度センサーを活用することで、部屋を暗くするとオフィスや店舗が閉まったと判断。60分間の強め運転で、一日の汚れをしっかりと浄化する機能も搭載している。
そして、今回の製品は、空気清浄機の新たな市場開拓を狙った戦略的製品のひとつに位置づけられている点も特徴だ。
これまでは、同社のプラズマクラスター空気清浄機は、家庭用のほか、業務用の天井据付型を用意していたが、今回の新製品は、その中間を埋めるものになる。
2階までの高い吹き抜けがある家庭や、飲食店やオフィス、診察所の待合室などに、天井据え付け型のような特別な作業をすることなく設置できるのが特徴だ。
シャープ コンシューマーエレクトロニクスカンパニー健康・環境システム事業本部空調・PCI事業部第二商品企画部・冨田昌志部長は、「これまで空気清浄機を買いたいと思っていてもこ購入するきっかけがなかった人たちに対して、デザインの観点から訴求した製品が、9月から発売したS-Style。今回のFP-140EXは、それに続く、新たな市場を開拓するための第2弾製品になる」と位置づけ、「吹き抜けのあるリビングや、空質向上を図りたい個人事業者をターゲットにした製品」とする。
100m2という広い範囲を1台でカバーできることから、オフィスへの導入や、店舗への導入などにも適しているという。
量販店店頭でも展示販売を行ない、新たな顧客層へと訴求する考えだ。市場想定価格は16万5000円前後(税別)。