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『World of Tanks』世界大会“The Pacific Rumble”が日本で開催

世界最高水準の戦車戦を東京で観戦してきた

2015年11月13日 18時30分更新

文● 千駄木和弘 編集●ASCII.jp

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第1試合 Caren Tiger 対 KONGDOO
ラグビーW杯に勝るとも劣らない歴史的な一勝!

 第1試合はワイルドカード参戦の日本・Caren Tiger と韓国・KONGDOOの対戦だ。KONGDOOは世界大会の優勝も経験している超強豪チームで、公式戦ではCaren TigerはKONGDOOに未だ1勝も上げたことはない。ホームの日本で開催される大会でこの壁を越えたいところだ。

 2ポイント同士の互角のまま迎えた5セット目、大きく流れを変えたのはLAKEVILLEでの戦いだ。Caren Tigerによる大きな池の対岸に狙撃係を配置し、その射線上に敵を引き込む作戦が見事的中し、あと1点で勝利となる4-2とリードした。

 しかし、その後はKONGDOOも意地を見せ、最終的には4-4となり最終セットに突入した。これで勝敗が決まる9セット目は、自走砲を組み入れたKONGDOOの作戦をCaren Tigerがつぶし、見事に次の戦いへの切符を手にいれた。

第1試合から最終セットまでもつれ込む激戦になったが、KONGDOOに初勝利を収めたCaren Tigerが勝ち抜け。日本のチームだけあって観客席からの応援も多い!

第2試合 EL Gaming 対 High Woltage Caballers
これが世界のチーム戦だ!

 EL Gamingはエキシビジョンにも登場した今年のアジア地区王者。High Woltage Caballersは現在北米2位のチームながらも北米MVPプレーヤーを抱える強豪チームだ。

 最初のマップは市街地戦のHIMMELSDORF。建物と建物の隙間から狙撃して命中させる超絶な個人技や、あえて味方の戦車を盾にして占領を守るといった戦法など、トップレベルのテクニックとチーム戦ならではの戦い方を繰り広げた結果、第2試合も4-4の互角のまま最終戦まで突入したが、接戦をものにしたのはEL Gamingだった。

これまでの世界大会でも優勝・準優勝を何度も勝ち得ている中国のプロチームEL Gaming。集団戦の統率力、射撃や弾避けの個人技など、チームでも個人でも圧倒的なパフォーマンスを見せつけた

第3試合 Caren Tiger 対 Noble eSports
相手の策を封じた王者が圧勝!

 第1試合で歴史的な一勝を挙げ勢いに乗っているCaren Tigerに対するのは、北米地区王者のNoble eSports。2012年にチームを結成した古参の強豪で、今年の北米地区チャンピオン。“撃ち合いにメッポウ強い”という評判を持つ。

 選ばれたマップは大草原地帯のSteppes。今回の試合で特徴的だったの車両編成で、はCaren Tigerは小型で射撃精度の高い駆逐戦車 E25を入れるというクセのあるチョイスが見られた。一方のNoble eSportsは常に手堅いバランス型の車両構成で臨む。

 撃ち合いに強いという評判のNoble eSportsだが、戦い方は評判から想像するような派手さはなく実に冷静で、常に戦場を支配していた。防御戦ではCaren Tigerの戦術をことごとく潰し“もう攻めに出るしかない”状況を多く作り出して迎撃、攻撃戦では精密射撃と複数車両のガードによる占領など、王者らしい戦い方でストレートに5セットを勝利で飾った。強い!

Caren Tigerは駆逐戦車E25を組み入れたり、戦車トレインでマップの高台に軽戦車Ru251を押し上げて迎撃砲台にするなどのイレギュラーな戦法を見せたが、Noble eSportsの高い組織力に阻まれてしまった

決勝戦 EL Gaming 対 Noble eSports
凄過ぎてもはや別ゲームと化している……!

 決勝戦はエキシビジョンで対戦したチーム同士の対決となった、チーム全体の速攻力と連携力で変幻自在な攻めを見せつけたEL Gamingと、絶対的なゲーム支配力で相手を成す術なく撃破するNoble eSports。どちらも世界ナンバーワンに限りなく近い実力があることは今までの試合ですでに証明された。決勝戦はセット数が多くなり、7セット先取したチームが優勝となる。

 最初のマップはSteppes。攻撃側のEL GamingはT-54を4台まとめて配置し、一気に強襲する戦法。防御側のNoble eSportsはそれを受けて迎撃するという戦法だ。1セット目はEL Gamingの突破力が見事に決まり先取したが、2セット目はNoble eSportsが迎撃の深追いをしないことでEL Gamingが攻めきれず終了。まずは1-1の互角という勝負から始まった。

決勝戦はエキシビジョンと同じくEL Gaming対Noble eSports

 3セット目、4セット目は攻撃側となるNoble eSportsだが、EL Gamingは防御戦も得意。占領時間を確実にリセットする砲撃を決め続け、攻め切れないNoble eSportsが時間切れで敗北。3-1で最初のマップを終了した。

 5セット目からは鉱山マップのMINESでの戦いだ。両チームとも高台に車両を押し上げる戦法を採用。この“普通なら行けない場所に押し上げる”戦法は流行っているとのことだ。車両押し上げは有利に砲撃できる一方、バレた後は敵機からの砲撃が集中する。

また、押し上げ自体がプロチームでも失敗してしまう高度なテクニックだ。実際、6セット目にはNoble eSportsが押し上げに失敗、7セット目にはEL Gamingが押し上げた戦車が滑落して行動不能になる事態に。もちろん、作戦失敗を相手チームは見逃さない。8セット目を終えて戦況は6-2。EL Gamingがあと1セット先取すれば優勝という差になった。

どちらが勝ってもおかしくない実力伯仲の勝負。個人の技量が高いのはもちろんだが、相手の出方に合わせた柔軟な作戦変更や、失敗の可能性のある作戦も恐れずに決行する度胸など、応用力や胆力も世界レベルだ

 9セット目からは市街戦マップのRUINBERGだ。優勝まであと1勝となりムード的にはEL Gamingが優勢か? という雰囲気だったが、ここからNoble eSportsが凄まじい追い上げを見せる。撃ち合いにメッポウ強いというNoble eSportsの評判どおり、各個戦闘での撃ち合いで圧倒的な強さをみせ、9・10・11セットを3タテで奪い返し6-5まで追いついた。

ヘッドセットで交わされるチーム会話は聞き取ることはできないが、どういうやり取りがなされてるのか興味深い

 さすが王者同士の戦い。これはエキシビジョン、1試合、2試合と同じように決勝戦も最終セットまでもつれ込むか……と思われた12セット目。これまでの戦いから真っ向勝負の撃ち合いだとNoble eSportsに圧倒されてしまうEL Gamingは混み入った市街地での迎撃にシフト。これが功を奏し最後は全滅で勝利。EL Gamingが優勝となった。

The Pacific Rumble優勝チームはEL Gaming!

日本のゲーマーが“eSports世界大会の雰囲気”を
無料体験できる稀有な機会だった

 熱い盛り上がりのうちに幕を閉じた今大会。印象的だったのは、同じ『World of Tanks』をプレイしているとは思えないほどの素早いゲーム展開と精密な射撃。まさに別次元と言える戦闘に目を疑うばかりだった。

 海外では観戦料を取る大会が珍しくないなか、会場/ネット観戦ともに無料開放し、ワイルドカードとして日本チーム(大会唯一のアマチュアチーム)を組み込むなど、日本にeSports文化を広めたいWargaming.netの強い意欲が伺える大会だった。

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