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日本ユニシスとイトーキがプロトタイプ披露

会議室そのものがAIに!能動的に判断・学習する空間

2015年11月10日 09時00分更新

文● 川島弘之/TECH.ASCII.jp

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 日本ユニシスとイトーキは11月9日、「人工知能(AI)を融合した会議支援空間」を発表した。AIを融合した空間自らが能動的に判断・行動・学習し、会議の進行をスムーズに支援するという。日本ユニシスのAI技術とイトーキのオフィスデザインの知見を融合させて実現した。

 発表されたのは「会議室がAIのインターフェイスとなり、その場の雰囲気や文脈を理解して、能動的に、柔らかにアプローチする」という会議支援空間。「AIがもう一人の会議参加者として議論の場に参加し、時にはファシリテーターやモデレーターのように、時にはサーチャー(検索者)や奇想天外なアイデアマンのように、発想や意思決定をサポートして、会議を加速させる」。

 具体的な特徴として、参加者の発話がリアルタイムにキャプチャされ、単語に分解された状態で壁面に表示される。1つ1つの単語は自動的に重要度が算定され、重要なキーワードはテーブル上に表示されるため、議事内容やキーワードが一目でわかる。

壁面とテーブルに情報を表示

壁面には参加者の発話が単語に分解された状態で表示される

 そして、AIが状況に応じてキーワードに関連する情報をレコメンド。参加者がレコメンドの文字にタッチすると、壁面に情報の全体が浮かび上がり、その情報からの新たな気づきが得られる。例えばニュース、研究論文、書籍など、その場に必要と考えられる情報リソースをAIが選び、会議をサポートしていく。時には、知らない言葉の意味を会議参加者がかけているメガネ型端末のディスプレイに表示してくれる。

重要なキーワードはテーブル上に表示される

AIが状況に応じてキーワードに関連する情報をレコメンド。参加者がその文字に触れると、さまざまな情報リソースを基に、壁面に詳細情報が浮かび上がる

 将来的には「この人はこの単語を知らない、あの人は知っているなどもAIが判断して、必要な人にだけ言葉の意味を解説してあげるようなサポートも可能になる」という。

 さらにAIは、会議参加者の発話量や情報のやり取りの順番、内容の多様さなどから、会議の状態を読み取り判別する。参加者にレコメンドされる情報は、AIの強化学習の手法を応用した仕組みにより決定され、回数を重ねるごとに質が向上していく。

 今回の発表は、協創的コミュニケーションを支援する仕組みをめざした共同研究「近未来オフィス U&I空間プロジェクト」の成果として、2014年11月に公開したプロトタイプIを進化させたものとなる。プロトタイプIでは日本ユニシスが開発した「コモンセンスAI(人間がコミュニケーションを取るときの前提として共有している背景知識や感覚を備えたAI)」が会議参加者の発想や合意形成を支援してくれる空間を表現した。

 プロトタイプIIは、「コモンセンスAI」も全体の一要素となり、会議室全体がAIのインターフェイスとなるほか、利用できる情報リソースの多様化が進められている。今後、このプロトタイプIIをベースに実証実験を進め、次世代の創造支援システムソリューションを市場に投入する計画を進める方針。創造性が要求されるオフィスのクリエイティブディスカッション空間や、教育市場におけるアクティブラーニング空間などを対象とし、空間設計を含むトータルシステムとして、2017年前半から販売する予定。

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