このページの本文へ

『マリッサ・メイヤーとヤフーの闘争』特別企画

グーグルを勝利に導いた美人 マリッサ・メイヤーとは

2015年11月05日 09時00分更新

文● ニコラス・カールソン 編集● 盛田 諒(Ryo Morita)

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

なぜメイヤーは成功できたのか

 メイヤーの勝因は三つある。

 その一。メイヤーはグーグルのユーザーに関するどんな詳細もすべて覚えている。たとえば、あるUIミーティングでメイヤーはプロダクトマネジャーに、ページに使うブルーの色を現状のものからニュアンスの違うブルーに変えることを求めた。しかし、単にそう言うのではなく、どのニュアンスの色を使ったときに、ユーザーのクリック率が最も高くなるのかを調査した統計結果を引用したのだった。モスバーグには、彼女はグーグルの技術に深く精通しているに違いない、と映ったはずだ。

 その二。メイヤーは子供のころから、物事を〝準備〟する能力に秀でていた。だから、重要な会議やプレゼンテーション、あるいはインタビューで、想定外の質問が出て困るといった場面を経験したことがない。

 その三。メイヤーは心の底からグーグルに誇りを感じ、情熱を捧げていた。それが話を聞く者にも伝わった。そのため、いくら一方的に話しても、不快と思われなかった。それどころか、その饒舌がチャーミングなカリスマ性と見なされた。

 会談の数日後、モスバーグはコラムを発表し、そこに「完全、スマート、スピード、誠実──グーグルこそ、検索エンジンのあるべき姿だ」と宣言した。

 安心してメディア対応を任せられる人物のリストに、マキャフリーはメイヤーの名を記した。

 二〇〇二年、マリッサ・メイヤーの新しい上司はいい人材を雇い入れることがうまくできなかった。メイヤーもそのことに気づいていた。

 上司の名はジョナサン・ローゼンバーグ。プロダクト部の副主任として、その年の初めにグーグルにやってきた。彼はかつてエキサイト・アット・ホーム(Excite@Home)という破綻したスタートアップ企業に勤めていた。

 ローゼンバーグは勤勉な管理職だ。それに、若いころからずっと上司に気に入られる才能がある。しかし、グーグルではあまり活躍できなかった。グーグルの新しい〝大人の監督〟としてCEOに就任したエリック・シュミットはローゼンバーグのことを気に入っていたが、共同創業者の一人として実権を握るラリー・ペイジはローゼンバーグとそりが合わなかった。

 会議などの席上、ローゼンバーグは典型的な大企業の重役のように振る舞った。よくできた業務計画や市場リサーチ、あるいは製品のロードマップなどを、つぎつぎと披露した。ペイジはそれらを笑い飛ばした。そんなものはうちでは必要ない、と彼は言った。

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ