10月13日、アップルが新しいiMacに合わせてキーボードやマウスの周辺機器を発表、『Magic Keyboard』と『Magic Trackpad 2』、『Magic Mouse 2』が登場しました。
筆者もさっそくキーボードとトラックパッドを入手したものの、気になるのは充電端子として採用された、Lightningの存在です。新しいMacBook以降、USB Type-Cの採用を進めることが期待されたアップルだけに、やや残念に思える点です。
USB Type-Cの最適な導入タイミングとは
新たに登場したキーボード、トラックパッド、マウスはいずれもバッテリーを内蔵しており、充電の際にはLightningケーブルを接続する必要があります。
たしかにアップルが11月に発売する最新の『iPad Pro』もLightningを採用しており、専用ペン『Apple Pencil』もLightning端子を備えています。しかし今回アップルは、PC用の周辺機器であるキーボードやトラックパッドにもLightningを採用しています。
Macユーザーにとって、iPhoneやiPadを充電するためのLightningケーブルをキーボードやマウスにも使いまわせるのは、便利な点です。しかし次世代インターフェイスであるUSB Type-Cの普及という点では、一歩後退した形になりました。
最近、スマホやタブレットなど端末メーカーの担当者との間で、「USB Type-Cをどのタイミングで採用するのか」という話をする機会が増えています。各社ともに社内や国内キャリアとの間で議論を進めているようですが、その中でアップルの動向も、大きな注目を集めてきました。
キャリアやメーカーはUSB Type-Cのメリットを認めつつも、コネクターが変わることでユーザーに不便を強いる可能性に懸念を抱いています。しかし国内市場でシェアの半分を占めるiPhoneがUSB Type-Cを採用すれば、アクセサリーの対応も一気に広がるため、キャリアや端末メーカーも安心して採用できるというわけです。
もし次期iPhoneのUSB Type-C採用が見えてくれば、来年夏または冬モデルのキャリアスマホが、メーカーの枠を超えてUSB Type-Cを一斉採用するという可能性もありそうです。
アップルはUSB Type-Cに積極的ではない?
ただ、アップルが自社製品に業界標準のインターフェイスを採用する使命に目覚めたのかといえば、そうではなさそうです。アップル上級副社長のフィル・シラー氏は、著名ブロガーJohn Gruber氏のポッドキャストにおいて、MacBookの充電とビデオを1つのポートでまかなうためにUSB Type-Cを採用したと語ったことがあります。
そして今回、新しい周辺機器にLightningを採用したことで、アップルはそれほどUSB Type-Cにこだわりがあるわけではないことがわかってきました。この流れを見ていると、次のiPhoneにはUSB Type-Cではなく、“Lightning 2”とでも呼ぶべき独自の後継規格が登場するのではないかと思えるほどです。
新しいMacBookを使ってきた筆者としては、USB Type-Cの将来性に期待する反面、使い勝手に微妙な印象を抱いています。差し込んだときの感触はLightningのほうが優れており、コネクターが意外と大きい点もスマートさに欠ける印象があります。電源ケーブルとしても、マグネットで軽快に脱着できるMagSafe 2のほうがずっと便利です。
ただ、今後USB Type-Cが広く普及し、ケーブルを貸し借りできるようになったり、持ち歩く周辺機器の大半がUSB Type-Cに統一される時代が来れば、もっと便利になるだろうとは思います。
アップルに関係なく増加するUSB Type-Cスマホ
このようにアップルの動向には注目が集まっているものの、アップルに関係なくUSB Type-Cを採用するメーカーも、当然増えていくでしょう。
CEATEC JAPAN 2015の会場には、USB Type-Cを採用したASUSの『ZenPad S 8.0』や、LeTVの『Le 1 Pro』が展示されていました。
Windows 10 Mobileでは、米マイクロソフトが発表したLumia 950と950 XLが、いずれもUSB Type-Cを採用しています。国内市場で新たに参入した6社からも、USB Type-Cを採用する端末が登場しそうです。
キャリアスマホとしては、Nexus 5Xがドコモとワイモバイルから、Nexus 6Pがワイモバイルから発売され、いずれもUSB Type-Cを採用します。ドコモはアクセサリーの販売を見送ったものの、ソフトバンクからはUSB Type-Cのケーブルや充電器が、SoftBankとY!mobileの両ブランドで発売されます。
USB Type-Cといえば、最大100Wまで給電できる“USB PD”規格も売りのひとつです。しかしCEATEC JAPANでUSB Type-C製品を展示していたブース担当者は、「チップレベルでは対応できても、ノイズ対策が難しく、欧州などへの輸出が困難になるだろう」と語っていました。スマホやタブレットでは当面、この5.0V/3.0A出力が主流になりそうです。
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