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欧州プリペイドSIM比較のラストは観光立国イタリア!

2015年10月18日 11時00分更新

文● 天野 透

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うかつにもミラノで熱を出した!

 筆者をひとところに虜にしたフィレンツェの次、プリペイドSIM紀行最後の目的地はイタリア第二の都市であるミラノだ。ファッションやサッカーなど、この街も魅力は尽きないが、音楽好きの筆者としては世界に名高いスカラ座が外せない。

フィレンツェの観光スポットのひとつ「ベッキオ橋」。ベッキオはイタリア語で「古い」を意味する言葉だ。かつて橋の上は両替商の仕事場だった名残から、現在では宝石店や高級時計店が軒を連ねている

シニョーリア広場に面するベッキオ宮殿から眺めた、フィレンツェの街。中央に見えるのはサンタ・クローチェ大聖堂だ

 ということで、ミラノではスカラ座にあるレストランを含む、3地点で速度テストをした。結果は次のとおりである。

ミラノ・スカラ座レストラン

  • TIM: 13.22/4.53Mbps
  • Vodafone.it: 12.48/7.48Mbps
  • 3: 43.69/23.06Mbps
  • wind: SIM忘れのため計測なし

TIM

Vodafone.it

3

ドゥオモ近くのレストラン

  • TIM: 5.38/0.99Mbps
  • Vodafone.it: 7.39/1.64Mbps
  • 3: 5.96/0.66Mbps
  • wind: 17.31/2.06Mbps

TIM

Vodafone.it

3

wind

ミラノ郊外のホテル

  • TIM: 59.94/17.04Mbps
  • Vodafone.it: 21.10/0.93Mbps
  • 3: 14.33/0.66Mbps
  • wind: 23.29/6.23Mbps

TIM

Vodafone.it

3

wind

 レストラン2地点とホテルという測定地点が気にならないだろうか。実はここで、推定38度くらいの熱を出してしまい、2泊3日の旅程のうち真ん中の一日を、熱からくる関節痛に耐えつつガタガタ震えながら寝て過ごしたのである。

 スカラ座はミラノへ到着した日の夜に出向いたのだが、この時点で既に軽くフラフラ状態。スカラ座レストランでwindのSIMをホテルへ置き忘れるという大失態を犯してしまったのだが、こんな最悪の体調だったということでどうかご容赦願いたい。海外へ出向く際には最大限の備えが必要だと、改めて実感した。

 ドゥオモ近くのレストランは2日目の昼食でホテルから這いずり出た時に計測したものだ。ミラノは万博が開催されている影響で、都心部のホテルは軒並み宿泊費が高騰していた。そのためかレストランがあるような上等なホテルは取れず、トラムで駅まで20分ほどかかる郊外に宿を取った。このときほどホテルに食堂が無いことを恨んだことはない。

世界有数のオペラハウス、ミラノ・スカラ座。意外と外見はおとなしい。因みにチケットカウンターは玄関から左側の、ショップやレストランの更に向こう側。新作や人気の演目はチケット入手も難しいが、公演によっては当日券が残っている場合もある。因みに当日券は前売りの1割引

この日はスカラ座管弦楽団の演奏会だった。演目はベートーヴェンとバルトークで、タクトを握るのは若手実力派のアラン・ギルバート

 余談はさておき、各地点ともなかなか素晴らしい数字が並んでいるのだが、1つ気になるのは死にそうな体調で頑張って測定したドゥオモ近くのレストランの結果だ。ドゥオモ(ミラノ大聖堂)は黄金のマリア像を戴くミラノのシンボルということもあり、たとえ建物の中と言えど、街の中心部で結果が振るわないというのはいささか問題だ。

 だが、よくよく考えてみれば5Mbpsやら7Mbpsやらといった数字は、ドイツやオーストリアでは「そこそこ優秀」レベルだった。イタリアに入ってウン十Mbpsが当たり前のように出る環境に慣れると、この速度では見劣りしてしまうが、まあYouTubeで4K動画でも見ない限りストレスを感じることは無いだろう。また、各社が3G電波で苦戦している中で唯一LTEを掴んだwindは17.31/2.06Mbpsという結果を残した。

フラフラになりながら聴いた演奏会。シャンデリアやベルベット張りの座席など、まさに「芸術の殿堂」と呼ぶに相応しい空間だ

ミラノ万博開催中ということもあり、国中で「犯罪撲滅作戦」とも呼ぶべき厳戒態勢が敷かれていた。その一環として、ミラノ中央駅をはじめとしたターミナル駅では改札が設けられていた

スカラ座からの帰りに辛うじて撮ったドゥオモ。この後どんどん体調が悪化してゆき、ミラノ観光は水泡に帰した

 ミラノのホテルでは、ローマのTIM、フィレンツェのwindに続いて、今度はVodafone.itが下り21.10Mbpsという「爆速3G」をまたもや見せつけたのも特筆点だ。たとえ3G回線と言えど、速いものに対して手を抜かないのは「さすがはイタリア」というところであろうか。正直筆者は、この度を通してイタリアと3Gを見直した。今までナメてかかってスミマセン。

【総括】お手軽なオーストリア、速いイタリア
ドイツもっと頑張れ

 さて今回、結構な期間を取ってヨーロッパを巡り、海外でSIMの人柱を決行するというなかなか稀有な体験をした。普段日本で利用しているモバイル通信とは異なる環境で速度実験をやりまくるというのはなかなかに面白かった。総じて言えることは「やっぱり元国営企業のインフラは強い」。これは国に関わらず同じ傾向が見えたと評価できるだろう。第3位キャリアはトップと比べるとやや厳しいというのも、おおむね当てはまる。

ミラノのレストランでのメニュー表。ポテトフライを「ベジタブル」の欄に入れるなバカヤロウ。ちなみに「ミラノ風ドリア」は見あたらなかった

 だがしかし、国をまたいだ比較となるとまた違った特徴が見えてくる。簡単にプリペイドSIMが買えて容量あたりのコストも安いオーストリアは衝撃的だったし、プリペイドでありながら爆速結果を連発したイタリアには度肝を抜かれた。このように強力なキャラ付けがされている2ヵ国に隣接したドイツは、オーストリアのように安くもなければ手軽に購入できるわけでもなく(T-Mobile.atは1GBあたり1.5ユーロ。本国ドイツの13分の1以下の価格)、イタリアのように速くもない(TIM下り最速結果の66.25Mbpsはドイツ最速記録であるVodafone.deの11.67Mbpsよりおよそ6倍速い)。

 隣国がこれだけ愉快なことになっているので、今回の3国を横に並べるとどうしても不満が残る。様々な分野で「世界一ィィィ!」なドイツには、プリペイドSIMでももっと頑張ってもらいたい。

 最後に、今回の企画で改めてSIMフリー端末の手軽さを実感した。特にiPad Air2は国内外のキャリアを選ばず幅広い電波に対応しており、普段使っている端末を同じ環境で海外でも使えるというのはかなり快適だった。ということで、3回続いたヨーロッパ・プリペイドSIM紀行を締めくくりたい。

推定38度の熱を出しながら食べに出た昼食。消化に良いものをと考えて、バジルとチーズのリゾットを注文した。写真では判りにくいが、日本のイタメシ屋で注文するものと比べて倍くらいの量がある。流石にワインは自重

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