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『角川インターネット講座』(全15巻)応援企画第1回

まつもとあつし氏が選ぶ、押さえておきたいネット時代の重大キーワード

『角川インターネット講座』完結記念~日本のネットを変えた9つ

2015年10月17日 12時00分更新

文● 二瓶 朗 編集●ASCII.jp

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PlayStation 2/3:2000年、2006年

まつもと 『角川インターネット講座』の監修者に出井伸之氏(元ソニー会長)がいらっしゃいます。出井さんがトップだったころは、ソニーがインターネットにものすごく取り組んだ時代ですよね。

 1993年に「SCE(ソニー・コンピュータエンタテインメント)」が生まれ、1994年に「PlayStation」が、2000年に「PlayStation 2」(PS2)、2006年には「PlayStation 3」(PS3)が発売されました。

 PS2は2つの良さを持っていると思います。据え置きゲーム機であると同時に、DVDの廉価な再生機としても普及しました。PS2で最も楽しまれたコンテンツはDVDの『マトリックス』だろうという話もあるくらいです。

2006年11月、PS3発売イベントでのSCEI久夛良木社長(当時)

 そして、PS3はネット対応することで据え置きゲーム機とネットの親和性を高めた歴史的な1台です。パッケージよる従来のフィジカルなタイトルの販売と、PSN(プレイステーションネットワーク)を利用したオンラインによるゲーム販売も実現しました。物理的なパッケージとネットアプリの両方を扱う時代を象徴するプロダクトと言えるでしょう。

 しかし、iPhone(+iTunes)が登場し、Appleが垂直統合型のオンラインプラットフォームを整備したことで、徐々にゲームはパッケージ販売からオンライン販売にシフトする流れが始まります。ゲーム業界にとっては大きなパラダイムシフトとなりました。特に携帯ゲーム機にとっては通信機能の内包が重要なので、iPhoneの登場は大きいですよね。

iPhone 3G/3Gsの登場:2009年

iPhone 3G

まつもと 日本のモバイルインターネットは、長らくiモードの独壇場でした。

 ところが、iPhone 3Gが2008年、3Gsが2009年にそれぞれ国内発売されたことによって、大きく状況が変わりました。

 それを考えると、iモード登場からiPhoneが登場するまでの間、2000年台が日本のモバイルインターネットの黄金期だったのではないでしょうか。

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パブリッシュの変遷:1999年~2008年

まつもと 2002年には「ブログ」が一大ムーブメントになりました。ただ日本には、インターネット黎明期から「テキストサイト」という個人が文章をアップして公開するという文化が存在したこともあり、「ブログとテキストサイトって何が違うの?」という認識もあったようです。

 要するに、個人が産み出すテキストコンテンツがどこにパブリッシュされていくのか? ということにみんな注目していた時代ですね。

 そうこうしていると、2003年に「mixi」が登場します。ズバリ「日記」というサービスを提供し、個人が日常を綴ること――ライフログのはしり――を一般化しました。

 日本人はネットでの公開範囲を「誰々まで」と気にする文化があります。mixiは「足あと」機能からもわかるように、“誰に公開するか?”どころか、“誰がアクセスしたか?”ということまでも記録する、ものすごい神経質な文化だったと思います。ただ、次第にそれが窮屈になり、mixiは伸び悩むことになりました。

 mixiがそんな「足あと」で苦労しているなか、2006年に登場したのが「Facebook」。Facebookによって「匿名・足跡? そんなの関係ない!」という時代になりました。その代わり“読んで楽しかったよ”というポジティブな意味合いでの「いいね!」が普及しました。もちろん、内部的にはさまざまな履歴が記録されているはずですが……。ユーザーはそれを意識することなく、推奨されるコンテンツと広告だけを見られるようになりました。

 続いて2008年に「Twitter」の日本語サービスが開始されました。Twitterのツイートは匿名可能だけれどもインターネットへ“全公開”、Facebookは限定公開もできるけれど基本的には“実名”での公開となります。そういった違いが日本のユーザーのある種の繊細さを蹂躙し、個人のパブリッシュの様相を変えたと思います。

 またこの間、1999年に誕生した「2ちゃんねる(2ch)」が巨大に成長しました。その2chを作った西村博之氏が、2006年に実験オープンした「ニコニコ動画」の立ち上げにも関わっています。2chやニコニコ動画がインターネット、そのユーザー層を大きく変えたのは間違いないですが、その話はまたいずれ……。

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Googleによるインターネットのマネタイズ:2003年

まつもと 「Google」が日本法人を設立したのは2001年です。Googleが検索サイト/エンジンとしてインターネットを牽引してきたのはもちろんですが、「キーワード連動型広告」を発明した功績が大きいと思います。

 キーワード連動型広告をオークションで販売するというところにイノベーションがあり、インターネットコンテンツのマネタイズに大きな道を開いた存在、と捉えるべきでしょう。最近では広告ブロッキングが問題となっていますが、それだけシビアにインターネットとマネタイズを広告が結びつけていることを意味していると思います。

グーグルのエリック・シュミット氏
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IoTの象徴としてのドローン:2014年

まつもと 何かと話題の「ドローン」ですが、実際には「IoT」(Internet of Things、モノのインターネット)の象徴的な存在だと思っています。

 ドローンというと「飛行して撮影する」イメージが一般的かもしれませんが、“ネットにつながって自動制御できる”というところがポイントです。これこそがIoTの産み出すイノベーションのわかりやすい例でしょう。これから法規制が進み、プライバシーとのバランスなど、社会といかに折り合いをつけるかという段階ですが、現時点では最も“目に見えるIoT”ではないでしょうか?

一般には事件・事故をきっかけに名を知られるようになったドローンだが……
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キーワードはまだまだ尽きないけれど

まつもと いつの間にか四半世紀を迎えようとするインターネットですが、今その歴史を振り返っておくことはとても重要だと思います。

 そこに見えてくるのは、先人が試みたものの、結果が出なかった技術や製品、サービスかもしれません。しかし、たとえ過去でダメだったことでも、現在の技術や市場環境があれば上手くいくかもしれません。いずれにしてもそれは歴史を振り返らないとわからないことです。

 だからこそ、インターネットが歩んできた歴史を軽視してはいけない、と強く思います。完結する『角川インターネット講座』では、ネットの生き証人によって、その歴史が語られています。そして前述した通り、その歴史は、今を生きる我々にとってはビジネスや生活のヒントになり得るものでしょう。ぜひご一読いただきたいです。

まつもとあつし

 ネットベンチャー、出版社、広告代理店などを経て、現在は東京大学大学院情報学環博士課程に在籍。デジタルコンテンツのビジネス展開を研究しながら、IT方面の取材・コラム執筆などを行なっている。DCM修士。
 主な著書に、堀正岳氏との共著『知的生産の技術とセンス 知の巨人・梅棹忠夫に学ぶ情報活用術』、コグレマサト氏との共著『LINE なぜ若者たちは無料通話&メールに飛びついたのか?』(マイナビ)、『できるネットプラス inbox』(インプレス)など。
 Twitterアカウントは@a_matsumoto

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