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上海で開催された「Huawei Cloud Congress 2015」レポート

ファーウェイ法人事業、「エコシステム重視」を強く強く訴求

2015年09月23日 09時00分更新

文● 川島弘之/TECH.ASCII.jp

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「我々はデータにタッチしない、データから利益も得ない」

 「ともに先進的なエコシステムを作りたい」。その意思を示してのことか、「(顧客の)データにはタッチしない」という言葉は繰り返し訴えていた。前述のとおり、ファーウェイはITインフラの提供に専念するという。実際にデータを活用するのはパートナーだ。「(顧客の)データにタッチしない」というのは、翻って「今後もITインフラの提供に専念する」という意図だそうだが――。

 ファーウェイは中国ZTEとともに、2012年の米下院・諜報特別委員会による調査報告で、米国にとって安全保障への脅威であると警告された。「(顧客の)データにはタッチしない」という言葉には、エコシステム戦略を推進するにあたって、この懸念を払拭したい気持ちもあったのではないだろうか。

 イベントのさまざまな場面で語られた「我々はアプリを作らず、あくまでもパートナーへのITインフラの提供にフォーカスする。そのため、我々がユーザーのデータにタッチすることはない、データから何かしらの利益を得ることもしない」との言葉。「データから利益を得ない」という部分に、そんな本音も見え隠れしたように思えた。

 この件については、香港の記者から質問が出ることもあった。一方、欧州・EMEA・南米などの記者はあまり気にしている風ではなく、それが印象的でもあった。少なくとも、約80カ国の人が入り乱れる会場の様子は、ファーウェイのグローバルでの影響力を示すに十分すぎる光景だった。

製品戦略からも一貫した「エコシステム」のメッセージ

 なお、今回のイベントでは新製品も発表された。クラウドOS新板「FusionSphere 6.0」、クラウド・データセンター向けのストレージ・サービス・プラットフォーム「OceanStor DJ」、新たなディザスタ・リカバリ・ソリューションの3種類だ。

 このうち「FusionSphere 6.0」については、クラウド・コンピューティング製品担当プレジデントの任志鵬(レン・ジープォン)氏に直接インタビューする機会が得られた。

任志鵬(レン・ジープォン)氏

 FusionSphereは、OpenStackをベースとしたオープンアーキテクチャ指向のクラウドOSで、新板ではデプロイの容易性や可用性の強化、SDN対応などが図られている。

 その製品戦略を訊くと、「クラウド・エコシステムの要求は世界や業界によって異なり、各業界ではモデル変換の時期に来ている。我々はそんな業界の成長のために、Win-Winの関係を望んでいる。そのためにBDIIや『Be integrated』というコンセプトを掲げており、ファーウェイはオープンな単一のアーキテクチャを提供し、各業界とのインテグレーションによって、さまざまなインダストリー・クラウド・エコシステムを推進する」(レン氏)との回答。「オープンソースを採用したのも、それが狙い」という。

 製品面でもメッセージは一貫していた。すなわち「エコシステム重視」の姿勢だ。

 「振り返ると、3年前は製品にフォーカスしていた。昨年からはソリューションに視点が移り、今年はエコシステムというコンセプトを打ち出せた。そういった意味でイベントは毎年良くなっている。パートナーも年々増え、影響力の高まりを感じる。ファーウェイとしても、立ち位置や方向性が明確になってきた」。

 レン氏は、そう、この2日間の手応えをにじませていた。

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