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視界の悪い除雪作業やスマート農業に向けた、誤差10cmの高精度測位

目隠しした車でも走れる、TOUGHPADの位置情報システムがすごい

2015年08月28日 18時52分更新

文● 松野/ASCII.jp

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パナソニックが除雪や農業に利用できる「高精度測位システム」を開発。札幌コンベンションセンターでデモを実施した

安価で精度の高い位置情報の取得を目指す

 パナソニックは8月28日、降雪地帯での除排雪作業やスマート農業支援に利用できる、堅牢タブレット「TOUGHPAD」を活用した「高精度測位システム」の開発成果を発表し、北海道札幌市・札幌コンベンションセンターで報道関係者向けのデモを実施した。

TOUGHPADもデモ展示されていた。過酷な状況下でも使用できることをアピール

 高精度測位システムは、過酷な環境下での利用が想定されるTOUGHPADに、衛星電波受信モジュール、ワイヤレスWAN、1周波RTK-GNSS(相対測位・全地球型測位システム)を拡張した独自の衛星測位技術を用いた構成となる。外部アンテナと連動し、8機以上の衛星が均等配置されているオープンスカイ環境においては、誤差10cm前後の極めて高精度な測位が可能だという(市街地の幹線道路環境では約50cm)。

衛星から受信した情報とワイヤレスWANからの補正情報を独自アルゴリズムで補正し、誤差10cm前後の極めて高精度な測位が可能

精度は高いが高価な2周波RTK、起動から演算完了までに10分を要する1周波RTKの課題の克服を目指したのがパナソニックの高精度測位システム

 現在、測量やトラクターの自動運転、建設業や精密農業などで使われている主な測位システムとしては、誤差2cm前後の測位を実現する2周波RTK、誤差10cm~50cm前後の測位を実現する1周波RTKなどが挙げられるが(一般的なGPSは誤差10メートル前後)、2周波RTKは本体とアンテナだけで100万円超と価格が高く、普及が限定的であり、1周波RTKは主にCPU性能の制約により、起動から測位演算完了までに10分程度の時間を要するなど、実用には課題があった。

処理速度の高いCPUを生かして、高速な測位を実現

 パナソニックの高精度測位システムの特徴は、1周波RTKで誤差10cmの精度を実現しながら、測位演算の速度を90秒と大幅に短縮した点だ。複数の測位エンジンを利用し、時間をずらして順次測位、最も正確な結果を導き出すアルゴリズムを独自に開発することで、演算時間を早めているという。

 TOUGHPADはCPUに第5世代Core i5プロセッサーを採用しているため、従来の組み込み系機器を上回る高速処理が可能であることも、今回の時間短縮に繋がっているとのこと。精度は2周波RTKの測位システムに及ばないが、システム全体での価格を2周波RTKシステムの二分の一以下に設定することで、普及型のシステムとしてシェア拡大を狙う。

除排雪やスマート農業のほか、モバイル用途での環境調査への応用も視野に入れている

 現在パナソニックが主に想定している用途は、システムの車載による除排雪作業やスマート農業分野の支援。豪雪地域での除雪・排雪作業などは作業位置の目視特定が困難となるが、測位システムとあらかじめ作成した3D道路地図をあわせて消火栓やマンホールなどの構造物を擬似的に表示することで、経験の浅い運転手でも安全な作業が可能になるという。スマート農業では、肥料散布などの作業効率化による経営力強化につながるとしている。そのほか、将来的にはモバイル用途での環境調査などにも応用を考えているとのこと。

実際の農道の除雪風景。地面がまったく見えないため、測位システムがない場合は運転者の経験に頼らざるをえない

パナソニック AVCネットワークス社 ITプロダクツ事業部 市場開発部 ソリューション事業推進課 主幹の西谷裕之氏

 販売に先立ち、12月から2016年3月まで、北海道岩見沢市で除排雪作業支援システムの実証実験を行なうという。販売開始は2016年1月を予定。農業や建設業、除雪車などの車両を合わせた市場規模を6万台と見積もり、シェア50%を目指すとした。なお、現在のところ国内のみの販売となる。

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