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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第316回

スーパーコンピューターの系譜 Xeon Phiの今後の展開と狙い

2015年08月10日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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Knights Cornerとの大きな違いは
単体でOSが動作すること

 2014年11月にはKnights Landingのダイおよびパッケージ写真が公開された。

Knights Landingの写真。中央にかなり大きな縦型のダイ、その周囲に8つの積層メモリーという構成になっている模様

これは標準型のヒートスプレッダを搭載したものと思われる

説明によればKnights LandingにはPCIeカード向けと、同社の新しいOmni-Path Fabric対応の2種類があるそうで、この左に突き出した部分にOmni-Path用のI/Fチップが隠されていると思われる

 これがプレスリリースではなく、開発者向けサイトで公開されたあたりが微妙であるが、ここでさらに以下の情報が公開された。

  • コア数は最大72で、コア間が2Dメッシュ構造で接続されている
  • トランジスタ数は80億個以上
  • AVX-512命令をサポート

 大きなポイントとして、単体でOSが動作することも明らかにされている。実はこの、単体でOSが動作するという点が従来のKnights Cornerまでとの大きな違いである。

 やや話が遡るが、iPSCあるいはParagonといったマシンは、いずれもすべてのノードでOSが動作していた。iPSC/2は独自のNX/2というOSが、ParagonではSNLが開発したSUNMOSという軽量カーネルのOSがすべてのノードで動作していた。

 なぜこのような構造にしたかというと、たくさんあるノードを全部外部のホストから制御していたら、その制御のオーバーヘッドが馬鹿にならないためだ。

 したがって、各ノードにそれぞれ軽量なOSを載せ、この上で勝手にプログラムが走るような構造にするほうがトータルとしてのオーバーヘッド削減につながる。

 この問題はKnights Cornerでも顕著で、なにしろI/FがPCI Express x16レーンのみなので、ここで60コアの制御などを全部ホストからやろうとすると帯域不足が顕著だった。

 ところがKnights Cornerでは個々のプロセッサーにOSが載る構造になっておらず(不可能ではないが、そもそもそれを前提とした構造ではないので非常に効率が悪い)、どうしようもないというジレンマに陥っていた。

 Knights Landingではコアそのものの性能を引き上げるとともに、個々のコアで別々のOSが動作することを前提とした構造になったため、このあたりがだいぶ改善されることになった。

 また悪名高かったリングバスを放棄して2Dメッシュを採用したのも性能改善に役立つと思われる。そして、これを利用したサーバーの構成があることも明らかにされた。このあたりをまとめたのが下の画像である。

これは今年7月のISC15における、IXPUG Workshopの資料より。マイクロアーキテクチャーの“HSW-TSX”は、基本Haswellと同じ命令セットをサポートしているが、TSX命令は含まれないと記載されている

最後に記されている10nm世代のKnights Hillは、2014年6月に存在のみが発表されているが、詳細は不明なまま。もっともインテルの10nmプロセスも遅れているので、登場は早くて2017年末、下手をすると2018年までずれ込む可能性すらある

 おもしろいのはKnights Landingでは3D DRAM(左上の画像ではMCDRAM:Multi Channel DRAMと記載されている)の他に、6chのDDR4 I/Fを用意していることで、これとMCDRAMであわせて400GB(384GB DDR4+16GB MCDRAM)のローカルメモリーを利用することも可能な構成になっている。

 またKnights Landingを最初に利用するのはNERSC (National Energy Research Scientific Computing Center:米エネルギー省の科学技術計算施設) で、2016年中旬までに9300ノード以上を実装したシステムを構築するが、それよりも規模として大きいのはアルゴンヌ国立研究所に設置される予定のAuroraとThetaというシステムだ。

 これはオークリッジ国立研究所とアルゴンヌ国立研究所、ローレンス・リバモア国立研究所の共同(Collaboration)ということで、CORALという名称がついているが、2018年までにALCF(Argonne Leadership Computing Facility)に180PFLOPSのシステム(これがAurora)と、2016年中に8.5PFLOPSながら消費電力が1.7MW(これがTheta)を納入する予定になっており、これにKnights Landingが利用される予定となっている(関連リンク)。

Auroraのシステム構成予想図。インテルのプレスリリースより

→次のページヘ続く (インテルに欠けている要素はなにか?

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