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ワルサーPPKサイズのホルスターにもピッタリ

電気のムダを秘密裏に抹消していく「放射温度計」

2015年08月06日 09時00分更新

文● 藤山哲人 編集●飯島恵里子/ASCII.jp

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気温は測れないけど、気温っぽい温度は測れる

 放射式温度系の弱点は、見えないものの温度は測れないという点。まぁカンタンに言うと、気温は測れない。でも部屋や屋外で温度を測ってみると、気温に近い値が表示される。

気象庁の観測では33.5度となっているので、その差0.3度の超正確な気温に見えるが、実は気温が測れているわけじゃない

 たとえば部屋で測った温度は、室温じゃなくて、その先にある壁の温度だ。だからエアコンの風が直接当たる壁だったり、日差しが当たる壁だと室温とはかけ離れた温度が表示される場合がある。

放射温度計で測ると22.6度。でもこれは壁の温度

実際の室温は27.9度だ

 また屋外の場合は、視界に見える道路や家屋の壁、植木の木々の温度などさまざまな温度の平均温度が表示されている。ただし正確には、空「気」の「温」度じゃない。

 それが顕著に分かるのは、温度計を空に向けたときだ。なぜか気温34度近くあるのに、空に向けると7.8度(笑)。これは空には熱を反射してくるものがなにもないため、誤動作してしまっている。

気温33度でも、空に向けると7.8度。これは上空の気温が測れているのではなく、誤動作しているだけ

 同様にコップに入れた水の温度なども誤動作するので注意。場合によってはコップの表面温度になってしまうこともあれば、運よくコップの中の水の温度が測れるときもある。時間が経てば、中の水とコップの温度がほぼ同じになるので、正しく温度を測定できるようになる。

氷水を入れたコップなのに、なぜか23.2度もある。これはまだガラスのコップが冷えていないから。ガラス越しの中の水の温度は測れない

氷水の温度を直接測ると-3.4度。この温度なら納得

 このように、見えないものの温度は正しく測定できないのが放射温度計の弱点だ。

ムダな電気探し隊の強力ウェポンとして

 この放射温度計は、電気のをムダを調べるのにも便利だ。

 パソコンやAV機器周りのコンセント、デジタルガジェットを充電するコンセントは、ACアダプターがアレコレと差し込まれたままという状態が多い。中には「ACアダプターは差し込まれているものの、その先には何もつながっていない」なんてものも。

家庭内で電気の無駄使いを潜入調査。ACアダプターがあやしい。部屋の片隅には、こんな風になっている場所が必ずあるはず

なんのACアダプターだろう?と手繰っていくと、何もつながってネーしっ!

 ひとつひとつのACアダプターの待機中の消費電力はわずかでも、24時間356日挿しっぱなしで、何個もある場合はチリも積もればで電気をかなり無駄使いしている。中でもムダが多いのは、少し古めのACアダプターだ。スマホの充電器など新しいものは、使用中はそこそこ熱を持つが、使っていないときはコンセントに挿してあっても熱くならない。でも古いACアダプターは使っていないときも熱を持ち、無駄な電気を使っているのだ。

左上が古いACアダプター。いずれも使っていない状態にしてある

新しいACアダプターは、機器を使わない場合や充電していないときは室温と変わりない

古いACアダプターは明らかに温かい。これがムダに電気を消費している証

左の古いACアダプターは3.3Wの待機電力。右の新しいACアダプターは対電力ほぼゼロ。使っていない古いACアダプターを家中から探し出せば、電気代も少し変わってくるかも?

 電気のムダはおもに熱として現れることが多いので、放射温度計で次々と調べて目星をつけることができる。目星をつけた機械は、ワットメーターなどを挟んで実際の消費電力を調べるといいだろう。24時間付けっぱなしの無線LAN親機などは、最新モデルの消費電力や通信速度を調べてみて、買い替えを検討してもいいだろう。

サーキュレータ(循環用扇風機)を止めていると、足元は冷たく、目線にある壁の温度は25〜26度と高くなっている。部屋の温度ムラも床や壁を通して把握できる

 また部屋全体の温度を調べて、エアコンを効率的に使うのにも便利だ。先に説明したとおり放射温度計は、気温が測れない。そこで壁や床の温度を、上下左右にスキャンするように測ることで、間接的に部屋の熱い部分と寒い部分を調べる。あとはエアコン風向を変えたり、冷気が届き難い場所には扇風機を併用するなどで、部屋全体をムラなくムダなく涼しくできるだろう。


(提供:サンワサプライ)


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