理系博士コンサルタント・栗山雄司のコラム
「販売重視型の健康食品OEM製造&原料開発」より
値決めは、非常に難しいです。最近、つくづく実感しています。ビジネスの勝ち負けの大部分は、値決めに依存します。ただ安くするのは安易な方法、付加価値を付けて高くしたり競合との差別化を図るのは常套手段です。わかっていても、実践するのは、非常に難しいです。
さらに、健康食品の通販の場合、窓口商品やクロスセル商品などのポジショニング、すなわち商品戦略マップを意識した価格戦略まで必要となります。
ここ最近、価格戦略や適正原価率の話が若干多いのは、価格戦略がお客様の成功と失敗に直結することを痛感しているためです。勝っている通販会社さんは、価格戦略でも成功しています。
まず、勝つための値決めにあたり、競合商品を意識し、勝てる価格である必要があります。
その競合商品というものも、2通り存在します。
1.直接的競合商品
2.間接的(潜在的)競合商品
グルコサミンなら、同じグルコサミン商品が直接的競合商品、グルコサミンを含まない2型コラーゲンやプロテオグリカンの商品が間接的商品に当たります。ちなみに、アセチルグルコサミンの商品は、スーパーグルコサミンとも呼ばれるようになってきているので、直接的競合商品になりつつあると思います。この位置付けも、時代やライフサイクルによって変化します。
値決めは、商品ができた段階では、もう遅い場合も多々あります。
商品を作ってしまうと、商品に合わせざるを得ない状況になってしまうでしょう。
私も、常に価格戦略を意識(想定価格をイメージ)しながら商品設計しています。私が設計・供給した全ての商品において、顧客が販売した価格と売れ行きの結果が検証結果となっていきます。実際、想定する価格と大きくかけ離れた商品ほど、売れない傾向があります。
当然ながら、誤った値決めがされている場合、最少ロットと経済ロットを加味した価格戦略が行われていることはないです。
市場は成熟しつつあります。
例えば、通販サプリ原価率15%神話は、完全に崩壊しています。通販vs量販店の戦いの火蓋は切られており、現実を見ずに15%に固執すると、必ず取り残されてしまいます。大手さんの一部も、その成熟に合わせて、価格戦略を見直しています。例えば、お酢の通販会社さんも、3000円以上で高コスパ商品を窓口商品に据え始めました。
今後、そういった市場の成熟やメイン素材のライフサイクルを加味して、価格戦略も意識した商品設計が求められるようになるでしょう。販売(マーケティング)と商品開発がバラバラだと、勝てない時代に突入すると思います。
現状、価格戦略面で、中小企業と大手企業の差が出てくる可能性もあります。その戦略面をサポートして、中小企業でも生き残っていけるようなサービスを提供していける体制を強化しなければならないと思いました。単に商品を作りだけでは顧客の成功には貢献できない時代になりつつあります。
弊社も、日々努力です。
■プロフィール
理系博士コンサルタント・栗山雄司
博士(水産学)、食品保健指導士、健康管理士。富山県滑川市出身。
(株)アンチエイジング・プロに所属し、健康食品の商品戦略と販売戦略のコンサルを行っている。
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