東京大学は6月17日、電池の充電を速くする「中間状態」を人工的に作り出すことに成功し、その存在を証明した。
化学電池の充電・放電の研究は化学・電子物理レベルで進んでいるが、ここ数年は充電状態でも放電状態でもない「中間状態」が存在しているのではないかという説が学会で発表されていた。ただしその状態の具体的性質、そもそも存在するのかという点はまだ謎のままだった。
東京大学工学系研究科の研究グループでは、中間状態を人工的に作り出すことに成功、その性質を調査した。中間状態では電子の並びが縞状に規則正しく模様を描き、イオンは電子の並びを邪魔しないように自発的に位置を変えているという。
中間状態では、従来知られている充電状態や放電状態よりも、電子やイオンがはるかに高速に移動できる。研究チームでは、このような中間状態が現れやすい材料の開発や条件を明らかにすることで、電池の充電を短縮する可能性があるとしている。