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「HP PPS Innovation Day」シンガポールレポート 第2回

「電車通勤」に耐える1kgのモバイルPCをシンガポールのHPで見た

2015年06月11日 08時00分更新

文● 金子/ASCII.jp

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HPが誕生して75年。この間、イノベーションを続けてきたとオープニングセッションで語る米HPのニック・ラザリディス氏。アジアパシフィック&アジア担当マネージング/ディレクター兼PPSグループ シニアバイスプレジデントだ

 プリンターやPCを担当する新会社「HP Inc.」として分社化する、ヒューレット・パッカードのPPS(プリンティング・パーソナルシステムズ)がシンガポールで報道関係者向けに開催した「HP PPS Innovation Day」。レポートの第1回は、手による操作でイメージを作成できる新コンセプトPC「Sprout by HP」を紹介した。しかしHPの魅力的な製品はそれだけではない。続いては、イベントで紹介されたPCを紹介していこう。

紙へのペン書きも取り込むAndroidタブレット

 Android搭載の12型タブレット「HP Pro Slate 12」と8型の「HP Pro Slate 8」は、ペン書き機能が充実したタブレットだ。四隅に内蔵するセンサーにより、専用ペンでの液晶面への書き込みはもちろん、液晶面から浮かせたペンの状態も認識。ペンの入力モードをスプレーにすると、対象からの距離によって塗料の広がりが異なる実際のスプレー噴射の描写を再現する。

手書き認識機能を持つAndroidタブレット「Slate 8」

 さらに、オプションで用意する折りたたみ式のケースは、向かい側にメモ帳を装備。このメモ帳にペン書きした内容の読み取りも行える。手書きでメモをとっているだけで、Androidタブレットに記録されていく。日本語の認識にも対応しているという。

紙に書いた内容が、タブレットに取り込まれていく

こちらは12型の「HP Pro Slate 12」

 どちらもディスプレーの形状は4:3で、最近一般的なタブレットがワイド形状であるのに比べると、短辺方向が長い。この理由は簡単で、12型はA4サイズ、8型はA5サイズに合わせているのだという。紙への手書きに合わせて作られたタブレットなのだ。

HP歴21年のオルセン氏が紹介する、イノベーションとデザインにこだわったノートPC

 HPの製品開発でこだわるのが、イノベーションとデザイン。それを具現化した特徴的なノートPCを紹介してくれたのは、PCビジネス担当のアネリーズ・オルセン氏だ(APJ担当 PPSグループ コンピューティング・ソリューションズ部門 バイスプレジデント)。

HP製ノートPCを紹介するオルセン氏。21年のHP歴を持つベテランで、5年前にAPJのヘッドクオーターであるシンガポールに来たという

 オルセン氏が紹介してくれた製品の1つが、ディスプレー部が360度回転するノートPC「Spectre x360」だ(日本未発売)。3万回の回転テストを経てデザインされた製品で、ノートPCとして使うときに負荷のかかる面、タブレットにしたときに負荷のかかる面、それぞれにテストを重ねたという。

 ディスプレーを裏側に回転させるとキーボード部にピッタリくっつき、タブレットして使うときに違和感がないという。バッテリーは12時間持つそうで、バッテリーを気にすることなく、動画や音楽を楽しめる製品だ。

「Spectre x360」を紹介するオルセン氏。「Spectre x360」はノートやタブレット型に加え、動画視聴に便利なテント型で使う事もできる

 同タイプのエントリーモデルが「Pavilion x360」だ。ヒンジ部分も含めメタリック調だった「Spectre x360」とは異なり、プラスチックで軽さを出している。日本で一般販売中の「HP Pavilion 11-n000 x360」はBeats Audioだが、こちらのモデルはオーディオに「BANG & OLUFSEN」を採用しており、スピーカーの設置場所や穴の位置にもこだわっている。

オーディオにもこだわったエントリーモデル「Pavilion x360」

 多くのノートPCではヒンジ部分にスピーカーがあるが、Pavilion x360は底面にも配置。Pavilion x360を載せたテーブルで音が反響し、柔らかみのあるサウンドになるという。反響が適切に行われるよう、スピーカーの1つ1つの穴の位置も計算して決めた、というこだわりぶりだ。

 

日本向けに開発した1kgのモバイルノート

 オルセン氏が日本向けの製品として紹介してくれたのが、Core M搭載のモバイルノート「EliteBook Folio 1020 G1」シリーズだ。

「EliteBook Folio 1020 G1」を軽々片手に持ち、開発秘話を紹介。「ワン・ケージー(1kg)」という言葉が何度も飛び出した

 15型や17型のノートPCを軽々と持ち運ぶ欧米と異なり、日本で持ち運んで使われるのは13型やそれ以下の軽量で薄型のノートPC。そこで、日本HPのメンバーが米本社の開発陣に、日本国内で売れている各社のモバイルノートを見せ、日本で売れるにはこうしたモバイルノートが必要だと説得し、2年半がかりで開発した製品だ。

会場に展示されていた「EliteBook Folio 1020 G1 Special Edition」

 「EliteBook Folio 1020 G1」シリーズの通常版製品の重さは1.2kgだ。欧米のマーケットで考えると十分軽いが、日本側の要望は「1kg」。コストはかかるがより軽量なマグネシウムリチウム合金やカーボン・ファイバーを使った外装の「EliteBook Folio 1020 G1 Special Edition」を開発。1kgを実現したという。

日本の「電車通勤」も説明

 薄型軽量なだけでなく、日本特有の「電車通勤」の事情も説明。米軍調達基準(MIL-STD-810G)をクリアする耐久性も併せ持っており、ラッシュアワーの電車内にも安心して持ち込めそうだ。

右が「EliteBook Folio 1020 G1」。左はキーボード分離型の2in1ノート「Elite x2 1011 G1」。異なる製品シリーズだが、キーボードは同デザインで、一方になれれば違和感なく両方使える

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