プリンターやPCを担当する新会社「HP Inc.」として分社化する、ヒューレット・パッカードのPPS(プリンティング・パーソナルシステムズ)がシンガポールで報道関係者向けに開催した「HP PPS Innovation Day」。レポートの第1回は、手による操作でイメージを作成できる新コンセプトPC「Sprout by HP」を紹介した。しかしHPの魅力的な製品はそれだけではない。続いては、イベントで紹介されたPCを紹介していこう。
紙へのペン書きも取り込むAndroidタブレット
Android搭載の12型タブレット「HP Pro Slate 12」と8型の「HP Pro Slate 8」は、ペン書き機能が充実したタブレットだ。四隅に内蔵するセンサーにより、専用ペンでの液晶面への書き込みはもちろん、液晶面から浮かせたペンの状態も認識。ペンの入力モードをスプレーにすると、対象からの距離によって塗料の広がりが異なる実際のスプレー噴射の描写を再現する。
さらに、オプションで用意する折りたたみ式のケースは、向かい側にメモ帳を装備。このメモ帳にペン書きした内容の読み取りも行える。手書きでメモをとっているだけで、Androidタブレットに記録されていく。日本語の認識にも対応しているという。
どちらもディスプレーの形状は4:3で、最近一般的なタブレットがワイド形状であるのに比べると、短辺方向が長い。この理由は簡単で、12型はA4サイズ、8型はA5サイズに合わせているのだという。紙への手書きに合わせて作られたタブレットなのだ。
HP歴21年のオルセン氏が紹介する、イノベーションとデザインにこだわったノートPC
HPの製品開発でこだわるのが、イノベーションとデザイン。それを具現化した特徴的なノートPCを紹介してくれたのは、PCビジネス担当のアネリーズ・オルセン氏だ(APJ担当 PPSグループ コンピューティング・ソリューションズ部門 バイスプレジデント)。
オルセン氏が紹介してくれた製品の1つが、ディスプレー部が360度回転するノートPC「Spectre x360」だ(日本未発売)。3万回の回転テストを経てデザインされた製品で、ノートPCとして使うときに負荷のかかる面、タブレットにしたときに負荷のかかる面、それぞれにテストを重ねたという。
ディスプレーを裏側に回転させるとキーボード部にピッタリくっつき、タブレットして使うときに違和感がないという。バッテリーは12時間持つそうで、バッテリーを気にすることなく、動画や音楽を楽しめる製品だ。
同タイプのエントリーモデルが「Pavilion x360」だ。ヒンジ部分も含めメタリック調だった「Spectre x360」とは異なり、プラスチックで軽さを出している。日本で一般販売中の「HP Pavilion 11-n000 x360」はBeats Audioだが、こちらのモデルはオーディオに「BANG & OLUFSEN」を採用しており、スピーカーの設置場所や穴の位置にもこだわっている。
多くのノートPCではヒンジ部分にスピーカーがあるが、Pavilion x360は底面にも配置。Pavilion x360を載せたテーブルで音が反響し、柔らかみのあるサウンドになるという。反響が適切に行われるよう、スピーカーの1つ1つの穴の位置も計算して決めた、というこだわりぶりだ。
日本向けに開発した1kgのモバイルノート
オルセン氏が日本向けの製品として紹介してくれたのが、Core M搭載のモバイルノート「EliteBook Folio 1020 G1」シリーズだ。
15型や17型のノートPCを軽々と持ち運ぶ欧米と異なり、日本で持ち運んで使われるのは13型やそれ以下の軽量で薄型のノートPC。そこで、日本HPのメンバーが米本社の開発陣に、日本国内で売れている各社のモバイルノートを見せ、日本で売れるにはこうしたモバイルノートが必要だと説得し、2年半がかりで開発した製品だ。
「EliteBook Folio 1020 G1」シリーズの通常版製品の重さは1.2kgだ。欧米のマーケットで考えると十分軽いが、日本側の要望は「1kg」。コストはかかるがより軽量なマグネシウムリチウム合金やカーボン・ファイバーを使った外装の「EliteBook Folio 1020 G1 Special Edition」を開発。1kgを実現したという。
日本の「電車通勤」も説明
薄型軽量なだけでなく、日本特有の「電車通勤」の事情も説明。米軍調達基準(MIL-STD-810G)をクリアする耐久性も併せ持っており、ラッシュアワーの電車内にも安心して持ち込めそうだ。
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