新生SAPの幕開けを告げる「SAPPHIRE NOW 2015」 第1回
「HANA Cloud Platform for IoT」も発表
製品より成果を!SAPの技術トップがS/4 HANAで変革を呼びかけ
2015年05月11日 07時00分更新
HANA Cloud PlatformをIoTに
S/4 HANAと同様に力を入れているのが、HANAベースのPaaSであるHANA Cloud Platform(HCP)だ。SAPはこの日、「HANA Cloud Platform for IoT」として、モノのインターネット(IoT)に必要な技術を備えたHCPを発表した。
HANA Cloud Platform for IoTは、センサーからデータストリームを取り出して保存し、リアルタイムで処理できる。予測分析などHCPが備える高度な機能も備えており、「デバイス管理、IoTメッセージングなどを既存のデータとアプリケーションに加えることで「デバイスクラウド」を構築できる」とする。
だがロイケ氏が強調する最大の特徴は、ERPなどビジネスアプリケーションとの連携だ。「既存のビジネスアプリケーションに直接結びつけることができる。これが(IoTプロジェクトの)成功の鍵を握る。数百万のセンサーからビジネスへ、そして意思決定へと”輪”を完成させる必要がある」と、ポイントソリューションではない包括性をアピールした。
すでに米エネルギーのCenterPoint Energyが早期顧客として、スマートメーターに利用しているという。同社は15分間隔で発する(1日に2億2000万)メーターデータの読み込みを行なっており、すでに処理の高速化を図っている。これに加えてHANA Cloud Platform for IoTのテストでは、予測分析により事前に機器の故障に事前対応するなどのことを行っているという。
IoTでは、シーメンスが自社が構築する「Industry Cloud」にHCPを選択したことを発表した。Industy Cloudはさまざまな製造業顧客が産業データの分析などを行なうプラットフォームおよびエコシステムであり、オープンなアプローチをとることでOEMのアプリ、アプリケーション開発者のアプリなどを提供できるようにするという。
ステージに立ったシーメンス・カスタマーサービス DF&PDのCEOのピーター・ウェクサー(Peter Weckesser)博士は、「デジタル化は音楽などのコンシューマーだけでなく、産業界にも押し寄せている。だが、重要なのはクラウド、ビックデータ、分析などの技術ではなく、デジタル化に伴うビジネスモデルの変化だ」「顧客は製品以上のものを望んでおり、自分たちのマシンや工場の成果をコミットする機能や技術プラットフォームを求めている」とIndusrty Cloud提供への背景を説明した。
HCPではエコシステム作りが重要となるが、ルーカート氏によるとすでに1400社の顧客、140社のパートナー企業が利用しており、開発者のアカウントは7万以上あるという。「既存のSAPアプリケーションとシームレスに統合でき、オンプレミスでもクラウドでも動く」とHCPのメリットをアピールした。
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