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ユーザー体験を重視、HTML5アプリ「Fiori」などで改善に注力する理由

ERPもインターフェイス刷新の波!SAPのデザイン責任者が語る

2013年11月29日 06時00分更新

文● 末岡洋子

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ERPなど業務アプリケーション大手の独SAPが、ユーザーインターフェイス(UI)の刷新を急いでいる。同社は今年5月から一部ソリューション向けに提供しているHTML5ベースの新アプリ群「SAP Fiori(フィオーリ)」を年内に拡充し、すべてのSAPソリューションで導入していく。「背景にあるのは“コンシューマライゼーション”の潮流」「UIやユーザー体験は、IT部門にとって新しい課題になっている」と、同社でデザインチームを率いるアンドレアス・ハウザー(Andreas Hauser)氏は指摘する。

アンドレアス・ハウザー氏。SAPでデザイン&共同イノベーションチームのグローバルリーダーを務める

HTML5ベースのSAP Fiori、すでに200社以上が導入

 FioriはSAPシステムにアクセスするためのアプリケーション群である。今年5月に開催された「SAPPHIRE Now 2013」でお披露目され、第一弾として利用頻度の高い25種のアプリケーションが発表された。休暇申請承認、購買依頼承認、購買発注承認など管理者向け、休暇申請、タイムシートなど従業員向け、発注登録、受注変更など営業担当者向け、購買担当者向けと、各役割に応じたアプリケーションがそろっており、平均的なSAPユーザーの利用の約87%をカバーするという。

従来の業務アプリケーションのUI(左)と、HTML5ベースのFioriのUI(右)を比較。情報の視認性や操作性の違いは歴然としている。デスクトップ、タブレット、スマートフォンで一貫性のあるUIを提供する点もポイントだ

 Fioriの特徴はHTML5をベースとしている点だ。これによりデスクトップ、タブレット、スマートフォンとさまざまなデバイスに対応し、一度画面を構築すればどんな画面サイズでも自動的に適用できる。たとえば、デスクトップやタブレットでは左にリスト、右に詳細情報を表示するが、画面の小さなスマートフォンでは最初にリストを表示し、タップすると次の画面で詳細情報が使いやすいというケースは多い。こうした異なる画面構成も、別々に構築する必要がないという。

 Fioriでは、バックエンドへのアクセスには「SAP Gateway」を利用する。Gatewayは、SAPが2010年に同社のミドルウェアブランド「NetWeaver」の一部として発表したSAPとの接続技術で、UIとビジネスロジックを切り離すものとなる。

 これまでの業務アプリケーションのイメージを大きくくつがえすデザインも、Fioriの特徴だ。複雑なUIを分解し、タスクベースのUIに刷新した。「これまでは(クリックする)ボタンが多いほど利用しやすいと考えられていた。しかし、同じトランザクションでも複数の役割があり、エンドユーザー自身がどのツールを利用するか、どのボタンを押すかを決定しなければならなかった」(ハウザー氏)。

 複雑だったアプリケーションをシンプルにするにあたって、Fioriでは作業に必要な最小単位のUIに分解した。これら2つの特徴から、Fioriの原則を「1-1-3(1ユーザー、1ユースケース、3画面)」だとハウザー氏は表現する。基本構想はレスポンス性が高く、役割ベースで、一貫性のあるデザイン。Fioriを手にしたユーザーが、すぐに価値を得られることを追求した。

 SAPの予想通り、FioriのようなUI技術への需要は高かったようだ。Fioriは提供から半年未満で「すでに200社以上が導入してる」とハウザー氏は胸を張る。「モバイルと同じようなシンプルさ、使い勝手の良さをエンドユーザーは求めていた」(同氏)。

 Fioriの迅速な立ち上がりを受け、SAPはFioriアプリケーション群の第二弾、25種を年内に提供すると発表している。「SAP ERP(SAP ECC)6.0」に加えて「SAP CRM 7.0」も対象に含むという。ハウザー氏は、「業務アプリケーションそのもののアップグレードを強いることなく、既存のECC 6.0顧客が新しいUIの恩恵を受けることができる」と既存ユーザーへのメリットを強調する。

 SAPでは今後、業務アプリケーションスイート「SAP Business Suite powered by SAP HANA(Suite on HANA)」や、すべてのクラウドソリューションに“Fioriコンセプト”を適用していく方針を固めたという。

 さらに、パートナーがFioriアプリを構築できる開発キット(SDK)を、HTML5ベースのSDKである「SAP UI 5」の拡張として提供する。アプリ開発に対する関心は高く、すでに300社のパートナーに対するトレーニングを行ったという。また、利便性を改善するため、“1つの入口”からさまざまなアプリにアクセスできる「SAP Fiori Launchpad」を開発中で、今後はFioriアプリ以外のアプリケーションの入口になるべく開発を進めていくという。

(→次ページ、コンシューマライゼーションの潮流を受け、デザインチームを強化)

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