公益財団法人日本健康・栄養食品協会(日健栄協)は3月18日、特定保健用食品広告審査会での審査を踏まえ、『「特定保健用食品」適正広告自主基準』を改訂しました。2014年9月に行われた「第2回特定保健用食品広告審査会」では、自主基準に定めがない個人の感想やグラフの使用方法、消費者に誤認を与えるおそれのある表現あるいは消費者にわかりにくいと思われる表現について、媒体に応じた自主基準の見直しなどを求めていました。
自主基準の改定内容を、消費者庁の公表している『特定保健用食品の表示に関するQ&A』を参照しながら確認してみましょう。
『「特定保健用食品」適正広告自主基準』の改定について
(公益財団法人日本健康・栄養食品協会 平成27年3月18日)
特定保健用食品の表示に関するQ&A
(消費者庁 平成23年6月)
●アンケート・モニター結果・個人の感想等の広告表現
《適正広告自主基準》
アンケート・モニター結果:
その製品について実施したアンケート・モニター結果は、嗜好・食感等に限り、広告に使用することは差し支えない。
ただし、調査結果の回答を引用する場合は、消費者に誤認させることがないよう十分に注意すること。また、調査実施者および対象者の情報を付記すること。
個人の感想等:(追加事項および修正箇所)
その製品について、事実に基づく「個人の感想等」を広告に使用することは差し支えない。
ただし、許可表示の範囲を超える表現を用いること、トクホは疾病を持つ人を対象とするものではないので、医療が必要でないかのような(治療の機会を失わせる)表現を用いること、効果を強調し過ぎたり、断定的な表現を用いて効果の確実性を保証すること、一部の都合のよい効果についての感想のみを引用すること、その他消費者に誤認を与えることがないよう十分に注意すること。
《消費者庁 特定保健用食品の表示に関するQ&A》
(問3-6)アンケートやモニター調査の結果、個人の感想等を使用することはできますか。
答)
1.アンケートやモニター調査の結果、個人の感想等を使用することは、その内容が、許可された保健の用途を超える効果があるかのような印象を消費者に与える場合には、虚偽・誇大表示となるおそれがあります。
2.例えば、以下のような場合には、虚偽・誇大表示となるおそれがあります。
例)
・アンケートやモニター調査の調査条件(質問内容、対象者、人数等)を適切に表示しないもの
・ 特定の疾病を示し、予防・治癒効果があるような内容を記載したもの
・ 医療関係者、大学教授など権威のある者による感想文や推薦文で、効果を保証するような内容を記載したもの
3.なお、上記のような虚偽・誇大表示のおそれがある場合には、「あくまでも個人の感想です」等の表示をしたとしても、直ちに、消費者の誤認を避けることができると判断できるものではありません。
上記の、広告にアンケートやモニター調査の結果や個人の感想等を使用する場合の注意点をまとめると以下のようになります。
1)許可表示の範囲を超える効果がある、または、効果の確実性を保証するかのような印象を与えないこと。
2)アンケートやモニター調査を広告に使用する際は、嗜好・食感等に限り、調査条件(質問内容、対象者、人数等)を適切に表示する。
3)特定の疾病を示し、予防・治癒効果があるような表現は不適切。
4)医療が必要でないかのような(治療の機会を失わせる)表現は不適切。
5)一部の都合のよい効果についての感想のみを引用しない。
6)医療関係者、大学教授など権威のある者による感想文や推薦文(効果を保証するような内容)は用いない。
7)虚偽・誇大表示のおそれがある場合には、「あくまでも個人の感想です」等の表示は免罪符にはならない。
●テレビ等の映像媒体においてグラフを使用する場合の注意事項
《適正広告自主基準 追加事項および修正箇所》
テレビを使用した広告については、瞬間的にグラフが出ることで優良誤認をさせることがあるので、以下の点に十分に配慮すること。
① 番組内の生コマーシャル・番組的なインフォマーシャル等、グラフの内容をその広告の中でしっかり説明できるものについては、グラフを使用しても差し支えない。
しっかり説明するとは、映像または映像とナレーションを組み合わせて、例えば、試験結果、試験条件、摂取期間、対象者の属性等の試験概要をわかりやすく説明することをいう。
② グラフの内容は映像だけでなく、ナレーション(音声)で説明することが望ましい。
③ 15 秒や 30 秒など瞬時に流れてしまうコマーシャルでのグラフの使用は控えること。
《消費者庁 特定保健用食品の表示に関するQ&A》では、「十分に試験全体の説明が行えないような短時間の TV コマーシャル等の広告における試験結果やグラフの使用」は虚偽・誇大表示となるおそれがある、とのみ載されており、それを補足する内容となっています。
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久保京子
内閣総理大臣及び経済産業大臣事業認定資格 消費生活アドバイザー
株式会社フィデス 代表取締役社長
事業内容:ネット通販向け広告法務、Webユーザビリティ、ユーザー調査
WEBサイト:ネットショップのCSを高める情報発信中!/『ネットショップCS情報局』
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