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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」第59回

タイプライターを展示していたFacebook開発者会議

2015年03月31日 16時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII.jp

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 3月25日から開催されたFacebookの年次開発者イベント、F8を取材してきました。今年はサンフランシスコの先端の海岸沿い、ゴールデンゲートブリッジとベイブリッジの中間にあるフォートメイソンセンターが会場となりました。

Facebookのコミュニケーションに表現力をと訴えるマーク・ザッカーバーグ氏。メッセンジャーの外部アプリ対応の他に、動画の埋め込みやAR/VRコンテンツの表示など、強化が行なわれた

 今年の目玉はメッセンジャーの強化。メッセンジャー向けアプリ開発が可能になる「Messenger Platform」と、ECサイトに組み込んでユーザーとのコミュニケーションや配送情報を通知できる「Messenger Business」などがアナウンスされました。

 Facebookキャンパスのレストラン総動員でランチタイムを彩っていた昨年と違い、今年は割と普通のケータリングだったり、開発者向けのギフトバッグがなかったり、規模が大きくなったことで“できなくなったこと”もいくつかあったようです。

 ちなみに今年は、市内の焙煎所「フォーバレル」が出張スタンドを出していて、おいしいコーヒーを楽しむことができました。

表現力が重要だと考えるFacebook
表現の道具のミュージアムを開催

 Facebookに関する技術的な内容については他メディアなどに譲ることにして、筆者が今回のイベントで最も面白いと思ったのが、「Museum of Reincarnated Technology」(蘇る技術の博物館といったところでしょうか?)です。

 ブースの中には、鉛筆削り、様々な磁気記憶媒体、活版、フィルムカメラ、初期のデジタルカメラといった記録にまつわるもの、電信、初期の電話といったコミュニケーションにまつわるものが展示されていました。

タイプライターが設置され、自由に触って良いですよ、ということになっているのですが、エンジニアが多い来場者たちも、なかなか完璧に使いこなせる人は少なかったようです

 それにしても、フロッピーディスク、カセットテープ、Zipドライブ(!)といった媒体に並んで、iPodも置かれていました。ああ、もう2001年のiPodが、過去のテクノロジーとして葬り去られたなだなと少し寂しさもあります。

 Appleで言えば、音楽再生という機能が、今やApple Watchで再現可能ですもんね。

 今回の基調講演でマーク・ザッカーバーグは、人々のコミュニケーションの中に「表現力が重要だ」と語りました。Messenger Platformは、アニメーションGIFなどを中心としたアプリの表現力を取り込んでいこうというメッセージにつながっているようです。

 人々はこうして表現や記録、コミュニケーションに関する技術を、ここ100年で急速に発達させてきました。しかしそこの裏には、人と人のつながり、情報や知の伝達、といった共通の目的と熱量が存在しています。

 Facebookはそうしたものをホストし、またサポートしている企業なのだ、という姿勢をうかがうことができました。

これはジャムる……タイプライター初体験

 ブース内にもありましたが、記録の道具として筆者が最も興奮したのがタイプライターです。いや、存在は知っていましたし、ちょこっと触れたことはありました。しかしそれでも、アナログでタイプすることができるこの道具には、興奮を覚えます。職業病みたいなものでしょうか。

オリンピアのタイプライター。右手の小指付近で一生懸命リターンキーを探して見るも、シフトキーしかなくて、紙のところにあるレバーを使う仕組み担ってます

 筆者が初めて触れたキーボード付きのデバイスは、ワープロ専用機でした。確か、シャープの「書院」という名前に憧れつつも、家にあったのは「パナワード」だったと思います。

 小学校3年生頃から、暇があったらワープロで遊んでいました。決して文章を打っていたわけではなく、画面にディザりまくりの文字が表示されるだけで、楽しかったのです。

 しかしタイプライターはそれよりも前の道具。液晶画面はありません。キーをタイプすると、紙に直接文字が打ち込まれる仕組み。タイプするごとに紙が動いていき、端まで行くと「チン」と音が鳴ります。改行はレバーで。

 いま我々が使っているワープロやテキストエディターは、いわば紙が固定されていて、カーソルがその中を動き、文字が入力されていきます。なるほど、タイプライターの場合、視線は文字が打刻される一点に当たっていれば良くて、むしろパソコンの画面の方が視線移動があるのですね。

 そして、今やWYSIWYGが当たり前ですが、筆者は大学でTeXを扱い、HTMLとCSSの世界を勉強した口です。WYSIWYGではない世界を体験してから今に至りますが、タイプライターはまさに見たままが結果。

 そう考えると、やっぱりコンピュータの文書系ソフトウェアは、まだまだ「紙」を意識しながら作られているのだなということに気づかされます。タイプライターのように直接紙にインクを打ち付けた時代から、一度離れ、だんだんコンピュータの画面の中に紙を再現できるようになり、その表現力が高まる。

 そんな歴史に思いを馳せながら、タイピングをしていくと、すぐに「ががが」とアームが絡まって止まってしまいました。なるほど、タイピングが早すぎるというのか……。もちろん重さもあるのですが、速度を落としてタイプする必要があるという印象でした。

(次ページでは、「キーボードのストロークが小さくなることが進化なのか?」)

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