キャリア系使い放題サービスへの参加で収益を上げる
課金モデルでは、App StoreやGoogle Playといったプラットフォーマーのマーケットだけでなく、通信キャリアのサービスで収益を上げる方法もあります。KDDIやソフトバンク、ドコモをはじめとする通信キャリアは「アプリ使い放題」などの月額定額サービスを提供しており、以下のようなメリットがあります。
- App StoreやGoogle Playではアプリ課金しないと使えない機能等が利用可能
- App StoreやGoogle Playでは提供しないコンテンツの組み込みが可能
キャリアが提供する月額定額サービスでは、月額単価×登録数による売上を、アプリの実際の利用ユーザー数に応じて分配されます。たとえば、使い放題サービスの月額単価(キャリアの取り分を除く)が300円、登録数が100万人とすると、以下のようになります。
- 収益分配原資:300円×100万人=3億円
- 全アクティブユーザー:50万人
- その内、自社アプリのアクティブユーザー:1万人
- アプリの売上=3億円×1万人/50万人=600万円
もし月額300円のアプリをApp StoreやGoogle Playで販売し、月間アクティブユーザーが1万人だった場合、月の売上は300万円なので、アプリによっては定額サービスに参加することで収益を上げられる可能性があります(分配方法は定額サービスによって異なります)。
アクティブユーザー数が鍵! アプリ内に広告を表示してマネタイズする
ユーザーから料金を徴収して収益を上げる課金モデルに対して、企業などの広告主から広告料を得てマネタイズする「広告モデル」についても紹介します。
広告モデルでは、アップルのiAdやグーグルのAdMobなどのアドネットワークに参加するか、自社で広告枠を設置して販売します。表示タイプや実装方法、単価はアドネットワークによって違ってきますので、実際に試しながら効果のよいものを選びます。
広告モデルで十分な収益を上げるには一定の規模が必要ですので、アプリ自体は無料で配信することがほとんどです。また、継続的に収益を得るため、ダウンロード数だけでなくユーザーのアクティブ率を高め、日常的に使ってもらう必要があります。
スマートフォンアプリの広告には、大きく3つの課金タイプがあります。
1. インプレッション型広告(CPM)
広告の表示回数に応じて広告料が発生する広告です。1回表示あたりの単価は低く、出稿量は少ない傾向にあります。アプリ内で広告が1000万回表示され、インプレッション単価が0.35円(CPM350円)の場合は350万円の広告収入になります。
2.クリック型広告(CPC)
広告がクリックされることで広告料が発生する広告で、現在主流の方法です。1クリックあたりの単価はインプレッション型よりも高く、10〜30円が相場になっています。アプリ内で広告が2万回クリックされ、CPCが20円の場合は40万円の広告収入になります。
3.成果報酬型広告(CPI/CPA)
広告経由でアプリがインストールされることで広告料が発生する広告です。ダウンロード1回あたりの報酬は100〜600円が相場で、記事広告、リスト表示型、リワードなどの広告タイプがあります。たとえば、CPI150円のアプリが3000回ダウンロードされれば、45万円の収入になります。
いずれの課金タイプとも、表示場所、表示条件、クリエイティブの大きさ、内容などを調整し、クリック率やインストール率が高まるように最適化します。ただし、ユーザーに広告が邪魔と思われアプリを使わなくなったり、アンインストールされたりすると元も子もありません。広告の反応だけでなく、ユーザーの反応も見ながらPDCAを回しましょう。
エキサイトニュースにおける記事広告の事例
エキサイトのニュースアプリ「エキサイトニュース」は、広告モデルで運営しています。成功報酬型の記事広告の事例を紹介します。
- 広告表示アプリ:エキサイトニュース
- 広告形式:記事広告(成果報酬型)
- 単価:200円(CPI)
- 広告掲載期間:24時間
以上の条件で広告を掲載したところ、以下のような結果になりました。
- 広告記事表示数:2万5000ビュー
- 記事内リンククリック数:7500クリック
- クリック数からのダウンロード数:3000ダウンロード
- 広告売上:3000ダウンロード×200円=60万円
ビューや売上をもとにCPMに換算すると2万4000円に、CPCに換算すると80円にもなり、短期間で効率よく収益を上げられました。また、ユーザーは記事を読んだ後に納得してダウンロードするので、広告主に対しても良質なユーザーを獲得できるメリットを提供できます。
もちろん、エキサイトニュースの記事広告でも、アプリや広告の内容によっては期待した成果が上がらないこともあります。表示方法や内容の改善を積み重ねながら、収益向上に継続的に取り組みましょう。
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17回にわたり解説してきた「失敗しないスマホアプリマーケティング」。さまざまなマーケティング施策をエキサイトの事例とともに紹介してきましたが、アプリ業界はいまもすごい勢いで成長しており、日々新たな施策が編み出されています。国内外の事例を常に収集し、まだ試したことのないマーケティング手法にも積極的にトライしながら、スピーディーなPDCAサイクルを回すことが大切です。
そこから見えてくる失敗やいきなりの成功をもって成長の過程を学び、次に活かすチャンスを増やしましょう。