1月末に発表された2014年第4四半期のスマートフォン市場データは、さまざまなことを物語っていた。一言で表すなら、AppleとSamsungの戦いで第一ラウンドはAppleの勝利ということだろうか。今回はスマホ市場の鍵を握る巨大市場中国を中心に、Appleと新星Xiaomiの戦略をみてみたい。

iPhone 6 PlusやGALAXY Note 4級のスペックで、価格は4万円強というシャオミの「Mi Note」
ハイエンド戦略を貫いたApple
2014年Q4に、Appleは素晴らしい業績を収めた。同社の決算発表については既報の通りだが(関連記事)、やっぱりAppleは強かった。9月に発表した最新のiPhone 6が成功。発売直後の週末で1000万台を売りさばき、その後も人気は続いた。
第4四半期(同社会計年度では2015年第1四半期)で、7450万台のiPhoneが売れたという。iPhone 6は大きめの画面などハードウェアの変化もあったが、Appleが今後重要なビジネスにしていくNFC(「Apple Pay」)、あるいはウェアラブルへの拡大(「Apple Watch」)という点でも重要な製品になりそうだ。
ビジネス面では、巨大市場であると同時に、地元ベンダーがひしめく激戦区である中国市場で成功した点はAppleにとって重要だ。Appleは中国市場での売上を70%増加させた。同社の売上に中国市場が占める比率は前年同期の16%から今期は21%に拡大している。そして、スマホの低価格化が進む中で、端末の平均販売価格も上昇させるという難技をやってのけた。
中国市場ではMotorolaを買収したLenovo、そしてグローバル展開するHuawei、ZTEなどがあるが、メディアの関心は2〜3倍と驚異的なペースで台数を伸ばしているXiaomiだろう。中国ではすでにトップベンダーの座についており、世界市場では第3四半期に3位に躍り出たが、第4四半期は5位となった(IDC調べ)。
ちょうどAppleが「iPhone 5s」「iPhone 5c」をリリースする前に、安価なiPhoneが必要なのでは、という見方があった。だがAppleは低価格競争には参加せず、ハイエンド戦略を貫いた。今回のiPhone 6の成功は、その戦略が正しいことを証明したと言える。Appleのハイエンド戦略で欠かせない直営店Apple Storeについても、2016年は中国で新たに約20店舗をオープンさせる計画だとか。
Appleのこのようなハイエンド戦略は、(高スペックだが)安価、オンラインオンリーのXiaomiとは対照的で、だからこその好業績なのかもしれない。
(次ページでは、「3分で売り切れたシャオミの最新フラッグシップ」)

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