3分で売り切れた
シャオミの最新フラッグシップ「Mi Note」
上述のIDCの世界スマホ市場でXiaomiは第4四半期、順位を3位から5位に下げたものの、成長率は上位5ベンダーでは最高の178.6%増となった。同社は1月に売れ筋の安価ライン「RedMi」の最新版(「ReedMi 2」)を、そして中旬にハイエンドの「Mi Note」および「Mi Note Pro」の2機種を発表した。
Mi Noteは解像度1080×1920ドットの5.7型ディスプレーを搭載したファブレットで、サイズは77.6×155.1×6.95mm、重量は161g。5.5型のiPhone 6 Plusや、5.7型のSamsungのGALAXY Note 4と比較して、より薄型軽量である点をアピールしている。
サイズ以外にも2.5GHz動作のクアッドコアSnapgragon、3GBメモリー、13メガピクセルのソニー製カメラなどハイスペックが並ぶ。ストレージは16GBまたは64GBで、価格は2299元から(約370ドル)。
Android Centralによると、1月27日のMi Note初回販売では、3分もしないうちに売り切れたようだ。Xiaomiは販売台数を公開していないが、登録は2億2000万件にも及んだ。次回の発売は2月3日で、同じようにあっという間に売り切れると予想されている。
Mi Note発表の場で、Xiaomiは新製品をiPhone 6 Plusと比較していたというが、Xiaomiの成長戦略はスマホやタブレットなどのモバイル端末だけではない。12月には空気清浄機「Mi Air Purifier」を発表。モバイルアプリで遠隔から操作できるなどスマートホーム戦略も進めている。
もう一つが国際展開だ。マレーシア、シンガポール、インドネシアなどの市場に展開している。販売台数などの数値は公開していないが、1月末にインドでフラッグシップの「Mi 4」を発売、2~3万台の供給に対して約20万の登録があったという。Xiaomiは在庫を抱え込まないように受注後に生産する方式を取っており、これが低価格につながっている。一方で、このような供給不足が続くことが人気をあおることになるのか、逆効果を生むのかはわからない。
シャオミの課題は特許
特許問題をどう回避するか
このようなサプライチェーンのスケールを図れるかどうかは、今後Xiaomiが大きくなるにあたっての課題といえるだろう。それに加えて顕著になりつつあるのが特許の問題だ。
2014年末、Xiaomiはインド市場でEricssonによる特許侵害の訴状を突きつけられた。無線通信でEricssonが有する”FRAND(公平、合理的、かつ非差別的)”条項でライセンスするSEP(標準必須特許)を不正に利用しているというものだ。
デリー高等法院は12月、Xiaomiに対しスマートフォンの販売差し止めを命じた。その後、差し止めの範囲を狭めてQualcommチップを搭載した機種については販売が認められた。販売台数が無視できない規模になってくると、今後同じようなSEPを持つ企業から同じような特許訴訟を起こされる可能性がありそうだ。
XiaomiのCEO、Lei Jun氏はMi Note発表の場で、2014年に合計2318件の特許申請を行ったことを強調し、10年後には数万件の特許を有するだろうと展望したとのことだ。
Xiaomiは2014年12月の新規資金調達の際に450億ドルという評価額が付き、最も価値の高いベンチャーとなった。同社の躍進、そして安定して上位にランクインするLenovoやHuaweiを考えると、戦場は中国に移ったことを改めて実感する。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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