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新機能性表示のコスト負担と販売戦略

2014年12月19日 04時13分更新

記事提供:通販通信

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理系博士コンサルタント・栗山雄司のコラム
「販売重視型の健康食品OEM製造&原料開発」より

今回は、新機能性表示制度のマーケティング面を加味したコメントです。

「今、販売者さんから原料メーカーに新機能性表示制度への対応についての問い合わせが増えている」と、以前コメントしました。相変わらず、そういった問い合わせは、少なくありません。

一方、この点に関しては、まずガイドラインが明確に示されていない今の段階で対応を決定できないだけでなく、費用をどこが負担するかで販売戦略にも大きく影響することは、認識すべきです。

◆機能性表示のために生じる費用の例
・関与成分のシステマティックレビューのコスト
・原料のヒト臨床試験ならびに論文化のコスト
・商品のヒト臨床試験ならびに論文化のコスト

関与成分のシステマティックレビューを用いて機能性表示食品の登録をした場合、情報が完全公開され、システマティックレビューの結果まで転用利用される可能性もあります。コストを負担していない競合会社が、レビューを利用できてしまう可能性が出ています。

すなわち、この機能性表示制度のポイントは、いかに競合会社が真似できないかの仕組み作りにあると思います。

販売者が商品としてヒト臨床試験を行って新機能性表示に対応すれば、自社独自のものになります。稀な例として、販売者さんが持つ独自原料、もしくは独自原料を持つメーカーと独占的な契約を結んで新機能性表示に対応すれば、その原料を使用したすべての商品ラインアップで、その販売者だけの表示が可能になるでしょう。

すでに、それを認識した一部のトップ大手会社さんでは実行され始めています。先手の打ち方も多様化しています。

今、治験会社さん(治験会社を斡旋するコンサル会社さん)に踊らされている原料メーカーさんも少なくないと思います。基本、治験を行っても臨床試験データを査読付き論文にするのは、容易ではありません。大学の関与が不可欠になるでしょう。このハードルは高く、お金を払ってどうこうなるほど甘くないです。同時に、上記の内容を理解しながら、且つ練り込まれた治験を行わないと、損してしまう可能性もありますので、注意が必要です。

多くの原料メーカーさんは、基本、2段階での新機能性表示への対応が求められると思います。先を的確に見越しながら、正しく先手を打っていく必要があります。

切磋琢磨していきましょう!

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栗山雄司

■プロフィール
理系博士コンサルタント・栗山雄司
博士(水産学)、食品保健指導士、健康管理士。富山県滑川市出身。
(株)アンチエイジング・プロに所属し、健康食品の商品戦略と販売戦略のコンサルを行っている。

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