このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

年次カンファレンス「IIJ Technical WEEK 2014」セッションレポート

IIJが「10G×10」よりも「100G×1」を選んだ理由

2014年12月04日 06時00分更新

文● 高橋睦美

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は11月26~28日の3日間、インターネット関連の最新技術を紹介する年次カンファレンス「IIJ Technical WEEK 2014」を開催した。その中から、ネットワークインフラに関する2つのセッションレポートをお届けする。

ソフトウェアOpenFlowスイッチ「Lagopus」で高速性能を目指す

 26日に行われた「SDNソフトウェアスイッチ Lagopus」と題するセッションでは、ストラトスフィア 研究開発部の沖 勝氏が、オープンソースのSDN対応ソフトウェアスイッチ「Lagopus」が、性能向上を目指しどういった技術的課題に取り組んでいるかを解説した。

ストラトスフィア 研究開発部の沖 勝氏

 Lagopusは、総務省「O3プロジェクト」の一環としてNTTが中心となって開発されたOpenFlowスイッチで、2014年7月にオープンソースソフトウェアとして公開された。Linux上で動作する純粋なOpenFlowスイッチであり、従来のレイヤ2スイッチとしての機能は備えていない。ストラトスフィアでは、Logopusの実装や導入の支援サービスを提供している(関連記事)

 Lagopusの最大の特徴は「高性能処理を目標にしていること」(沖氏)だ。具体的には、10万フローエントリの処理や10Gbpsラインレートのスループットといったレベルの性能が目標となっている。Lagopusではこれを、IntelのDPDK(Data Plane Development Kit)への対応やマルチコアによる並行処理を背景として、OpenFlow 1.3.4をサポートしつつ実現しているという。

Lagopusの最大の特徴は「高性能処理を目標としていること」

 Lagopusの高速化のためにまず取り組んだのは、I/O性能の向上だった。I/O低下の要因となるのは、メモリコピーやコンテキストスイッチ、ページフォルトやバスをまたいだI/O、メモリアクセスといった処理である。そこで、これらを減らすためにさまざまな工夫を凝らした。たとえば、メモリコピー処理を発生させないよう、DPDKを用いてカーネルを介さず送受信処理を行うようにしたり、割り込み処理を減らすために、割り込みモードではなくDPDKのポーリングモードドライバで動作させるなど、カーネルの深い部分とDPDKを活用しながら性能向上を図っているという。

 もう1つの側面は、OpenFlowの性能向上である。実はかつての試作段階では、ざっと10万フローエントリを流し込んでXeon 2.2GHzのマシンで性能を測定したところ、わずか20Kbpsの性能しか出なかったそうだ。そこで、フローエントリの優先順位を決める「priority」パラメータをはじめとするOpenFlowの仕様を満たしつつ、フローの探索処理を早めるために、複数のテーブルを用意して探索するなどの工夫を行った。マルチコアを生かした分散処理やフローキャッシュなどを採用することで、10万フローエントリで10GbEラインレートを実現したという(CPUはIntel Xeon E5-2695 v2 2.70GHz)。

マルチコアによる分散処理で性能を高める工夫

 とはいえ、Lagopusはまだ開発中であり「取り組むべき課題は多い」と沖氏。今後は、VXLANに代表される論理ポートへの対応や設定システムの改良、OF-ConfigやOVSDB対応、レイヤ2スイッチとのハイブリッド化、そして「さらなる処理性能の向上に取り組みたい。今回の検証は2ポート構成だったが、4ポートや8ポート、それ以上のポートを使うときの性能も出していきたい」(沖氏)。同時に、処理時のCPU負荷を減らして、仮想化環境でもより動かしやすくする工夫も進めていきたいと抱負を語った。

(→次ページ、IIJがバックボーンに「10G×10」よりも「100G×1」を選ぶ理由

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    sponsored

    60年の時を超え「COBOL」がGitHub Copilotでよみがえる 勘定系アプリの“超難関”モダナイに7社が挑戦

  2. 2位

    ビジネス・開発

    富士ソフトがエンジニア1万人超を「AIネイティブ」化 実装力を武器にフィジカルAIなど3本柱に注力

  3. 3位

    ITトピック

    IT技術者の8割超「AI生成コードには人間のレビューが必要」/「偽・誤情報を見破れる」と自信を持つ人はICTリテラシーテストの正答率が低い、ほか

  4. 4位

    ITトピック

    実用化が楽しみすぎるスマート技術たち 「長距離ワイヤレス給電」から「室内向け太陽電池」「超音波センサー」まで

  5. 5位

    ITトピック

    6.4万人の熱狂をAIが導く FIFA W杯全スタジアム「デジタルツイン」化が変えた観戦体験

  6. 6位

    TECH

    攻撃するAIと防御するAI 日本企業のセキュリティ対策にいま何が必要か?

  7. 7位

    sponsored

    「現場に行くのが当たり前」を変えたアズビルのリモート調整 効果はプライスレス

  8. 8位

    Team Leaders

    SharePointリストへの登録データを、CSVファイル形式に成形/変換して自動保存する方法

  9. 9位

    ビジネス

    開発案件の立ち上げを「60分から1分」に ソースコード管理も一本化したKDLのBacklog活用術

  10. 10位

    ITトピック

    「クロスの定義とは?」 AIに“サッカー言語”を教えることから始まった、FIFAとLenovoの協業

集計期間:
2026年07月19日~2026年07月25日
  • 角川アスキー総合研究所