今年のベストディールはやはりApple?
iTunesカードのオマケで実質的な値引き
さて、例年注目される電気製品。その中でも、普段特に価格が変動しない製品の値引きに注目が集まります。その筆頭が、Apple製品です。iPhoneも、iPadも、Macも、Apple Storeだろうがオンラインだろうが、他の販売店であろうが、普段は基本的に同じ値段で販売されています。
だからこそ、ブラックフライデーでApple Storeを含む各店舗が用意する割引や特典で、爆発的な売上を狙うことができるようです。Appleがかたくなに値引きしないのは、もちろんブランドのためでもありますが、こうした米国の消費の習慣やイベントにも関係していると言えるでしょう。
さて、そのApple製品ですが、2013年はApple Storeでは製品そのものの値引きはせず、Apple StoreやiTunes Storeで利用できるギフトカードを付けました。今年は、Macには100ドル、iPhone/iPadには50ドル、iPod touchなどには25ドルのギフトカードが贈られます。
現在Appleは、ホリデーシーズンに向けて、エイズ撲滅に向けた活動(RED)をサポートするキャンペーンを行っています。11月28日に贈られるギフトカードは、(RED)仕様になっているほか、iPhoneやiPad向けのApp Storeでも、(RED)キャンペーンを展開しており、賛同するアプリはアイコンを赤くし、アプリ内購入の売り上げを寄付するなどの、新しい「デジタルでの活動」を実現しています。
Apple Store以外のBest BuyやStapleといった小売店では、100ドル程度のそのショップで利用できるギフトカードがプレゼントされるというパターンが多いように見受けられます。小売り大手のTargetでは、499ドルのiPad Air 2(16GB Wi-Fiモデル)に140ドルのギフトカードがつけられ、最もお得にiPadを手に入れられそうです。
いずれにしても、値引きで手に入れられるまたとないチャンスなので、発売直後に購入を控えていた人たちが待ち構えていたに違いありません。
4Kテレビも気になるが…
Appleファミリーの仲間入りをしたBeatsのヘッドフォンも、Apple製品と並んで、値引きがアピールされることが増えました。例えば、Apple StoreではBeats製品に25ドルのギフトカードがつけられたほか、前述のTargetでは、Beats by Dre Solo HD headphonesが73ドル引きの93ドルになるなど、Apple製品とともにアピールしている様子が目立ちました。
ブラックフライデーで最も関心を集めるもう一つの製品がテレビ。感謝祭からクリスマスのシーズンが開けると、新しい映画やドラマの新シーズン、そしてアメリカンフットボールの最終戦スーパーボウルなど、家でテレビで楽しむイベントが目白押しです。
米国では、韓国メーカーから台湾や中国のメーカーへと格安ブランドがバトンタッチをしつつあり、フルHDの大型パネルの価格も、普段テレビの値段を物色すらしていなかった筆者が驚くほどに値下がりしていました。
例えば、55インチでフルHDのテレビは395ドル、Samsungの55インチフルHD・120Hz駆動のLEDテレビで600ドルという価格がつけられています。性能に目をつむれば、50インチ以上で200ドル台のものもあり、3年前に購入した32インチのテレビしかない我が家も、思い切りサイズアップを目論みたくなる価格です。
ただ、4Kとなると、あまりこなれた価格のものはありません。東芝の55インチで2500ドル、VIZIOの55インチの4Kテレビは1300ドル。同じサイズでもフルHDと比較するとまだ2倍以上の値段になっています。コンテンツもさほど揃っていないし(あっても高価)、もう数年はフルHDの大型パネルで十分楽しめる環境が続いていきそうです。
ちなみに米国では、テレビへの主たる映像ソースはケーブルテレビですが、大手のComcastはX1プラットホームという新世代のセットトップボックスで、4K映像の配信に取り組んでいます。また、4Kテレビにはストリーミングでの受像機能を搭載しており、ケーブルからの乗換も進むストリーミングサービスNetflixが4K映像を、セットトップボックスなしで見ることができます。
筆者はドラマのラインアップなどの関係で、Hulu Plusを、1世代前のApple TVで利用しています。手持ちのApple TVは720pまでの対応ですが、現在Hulu Plusも720pまでの対応なので不都合はありません。
たとえばApple TVがiPhone 6に搭載されているA8プロセッサを搭載すると4K映像の再生に対応すると思われるため、ネット経由の4K映像の手段が増えていきそうです。米国に引っ越してくる時点で、CD、DVD、Blu-rayなどの光学ディスクの再生装置を揃えずに3年過ごしているのですが、せっかくなので、このままディスクなしの生活で行こうかと思います。もっとも4K時代になると、そもそもネット回線が15~20Mbps程度なので、ストリーミングに耐えられるとは到底思えないのですが…。
基本的には、欲しいものを
ガジェット系では、カメラなど、ブラックフライデー向けのセールは多岐に渡ります。これだけ様々なものが安くなると、消費が一気に爆発するのも頷けます。同時に、ブラックフライデーには何が、どれくらいの価格で売られるか、という“感覚”も備わっているのかなと思いました。
カメラのコーナーで意外と人気があるのが、Nikon 1シリーズ。そこまで格安になっているわけではないのですが、他の一眼レフやデジタルカメラ以上に価格を競っているような印象を受けます。
一方で、洗濯機や冷蔵庫、エアコンといった白物家電は、アパートに備え付けとなっている場所が多いためか、ブラックフライデーのセールの中心にはありません。こちらでは白物家電は、ガジェットやホームエレクトロニクスではなく「アプライアンス(appliance)」というカテゴリーに属しており、滅多に購入したり買い換えたりするものではないということでしょうか。
これだけ様々なオファーがあると、アレも、これも、と目移りしてしまいます。しかしながら、基本的には、必要なものを買う、というスタンスを貫かなければ、お金がいくらあっても足りなくなってしまいますね。でも、カメラは新調したいと思って、色々検討しているところです。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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