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欧州議会、Google検索事業分割を求める決議採択へ

文●渡辺隆広/SEMリサーチ

2014年11月25日 00時39分更新

記事提供:SEMリサーチ

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欧州議会、Google検索事業分割を求める決議採択へ

ロイター通信の報道によると、欧州議会が Google の検索エンジン事業の分割を求める決議を目指していることが明らかとなった。議会の1人、Ramon Tremosa(ラモン・トレモーザ)氏は、(彼らの存在は)市場の独占でありテクノロジービジネスを破壊していると述べている。

ウェブ検索事業と広告・YouTubeなど他の収益源サービス事業の分離分割求める

欧州の政治家達は Google やその他の米国企業がインターネット産業を支配していることに対する懸念をますます強めており、彼らの市場支配的地位を制限するための方法を探っている。事業分割が採択されれば影響は広範囲に及び世界最大の検索会社の事業にとって大きな脅威となりうる。欧州では近年、Google はユーザーではなく彼らのビジネスにおいて何がベストなのかに基づいてインターネットの Webサイトを順位付けしているという批判が噴出していた。

草案は Google など特定の検索企業の名前に言及していないものの、同社は欧州検索市場で90%の市場占有率を持つ、まさしく業界最大の検索プロバイダーだ。英フィナンシャルタイムズ紙はこれを Google の分離分割を求めるものだと報じている。

ロイターらが入手した草案は、市場における公正な競争を促進する可能性のある長期的な解決策の1つとして、検索エンジン事業とそれ以外の商業サービス事業を切り離す提案を検討するよう欧州委員会(EU競争政策担当)に求める内容だった。欧州議会は法制化に着手する権限も、企業を分離分割する権限も持たないが、この法的拘束力のない決議が採択されれば4年にわたり Google を調査している欧州の規制当局に圧力をかけることにつながるだろう。解決法のアイデアとして、Google のランキングアルゴリズムを切り離すと共に、競合企業へのリンクを目立たせるのではなくて検索結果をローテーションで切り替えて、同じ掲載場所に同じ体裁で Google やライバル企業のサイトへのリンクをランダム表示する案も含まれている。

Joaquin Almunia(ホアキン・アルムニア)氏の後任として今月1日からEU競争政策担当コミッショナーに就任したMargrethe Vestager(マルグレーテ・ヴェスタ)氏は、関係者から事情を聴き、インターネット検索業界の進展を確認した上で次の対応を検討すると述べている。

cf. Google、検索結果にドイツWebメディアの抜粋表示を停止、民事訴訟受けて

ドイツの出版社、Google にニュース記事のスニペット表示を再開するよう懇願


Google は市場支配力を乱用している?

パーソナルデータを強大な権力でコントロールする機関の存在に強い懸念を示すドイツのキリスト教民主同盟議員・Andreas Schwab(アンドレアス・シュワブ)氏は、欧州二大勢力の支持を得てこの議案は採択される見込みが高いとの見解を述べた。両勢力は、Google は欧州委員化による独占禁止法違反の疑いについての調査が行われている間に十分な問題解決策を提示することができず、現在も競争を阻害し、欧州の消費者や事業者に不利益をもたらしていると主張する。政策方針書ではインターネット検索エンジン市場において市場支配力を濫用し、特定のサイトにトラフィックを誘導する欧州最大の検索事業者に対する考えられる限りの解決策が引用されているが、もしこれらが全て失敗し、Google に対する訴訟が満足な結果を得られず、反競争的行為が今後も続くのであれば、市場を独占するオンライン検索会社を締め付けるための法制化も検討されることになるだろうと語っている。

cf. スペインも「Google税」徴収へ 新しい著作権法可決、ニュース記事抜粋表示に使用料求める

米Google 広報担当の Niki Christoff氏は欧州議会の動きについてのコメントを拒否した。

cf. Google、検索結果表示の改善を約束、欧州委による巨額の賠償金回避へ


検索・広告の両市場での独占状態を解消したい欧州規制当局

Google はEU競争法違反を巡り規制当局と戦ってきた。EU独禁当局は Google が企業企業を排除して自社の Webサイトを優先的に検索結果上位に掲載するというその検索結果の表示方法について激しく批判してきた。また、取得したウェブページの情報の一部を抜粋として検索結果に表示する行為や、オンライン広告市場における市場支配力も問題にしてきた。今年5月に欧州司法裁判所が認めた「忘れられる権利」(Right to be Forgotten)についても、Google が削除対象ウェブページを欧州のサイトに限定しているとして個人情報保護局が非難している。

Google はインターネット検索市場とオンライン広告市場という2つの市場を掌握しており、より多くのユーザー情報を取得することで、より優れたランキングアルゴリズムの開発と広告表示ロジックの確立・構築につながり、その優位性がまた多くのユーザーと広告主の獲得につながるという好循環が築かれている。欧州規制当局はここに楔を打ち込み独占企業に歯止めをかけることを望んでいる。

2009年に欧州委員会は Windowsオペレーティングシステムと Internet Explorer の抱き合わせが問題視して米マイクロソフトを調査していた問題で、12種類のブラウザ選択画面を提示するという同社の改善策を受け入れ紛争を決着させたものの、そのバンドル問題の対策を十分に実施しなかったとして2013年には 5億6100万ユーロの制裁金をマイクロソフトに科している。

欧州議会による Google の検索ビジネスの分離を求める決議は27日にも採択される見込みだ。


European Parliament may propose Google break-up in draft resolution
http://www.reuters.com/article/2014/11/21/us-google-antitrust-idUSKCN0J525V20141121


Google break-up plan emerges from Brussels
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/617568ea-71a1-11e4-9048-00144feabdc0.html

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