総務省は「SIMロック解除に関するガイドライン」の改正案を公表した。2015年5月以降に発売される端末について、ユーザーの求めに応じて、端末のSIMロック解除をキャリアが行なうことを実質的に義務化する内容となっている。
SIMロック解除に対するキャリア側の懸念をバッサリ
来年5月発売の端末から実質的に義務化
「SIMロック解除に関するガイドライン」はもともと2010年6月に出されている。ただし、当時は3Gにおける通信方式の違いに加え、「SIMロック解除を強制するものではない」「利用者の立場に立った取組に努めるものとする」といった表現だったこともあり、2011年にドコモがユーザーの申込によりSIMロック解除を可能にしたほかは(ただしiPhoneは非対応)、一部端末が対応したのみだった。
そこで今回の改正案では、キャリア側のSIMロック解除に対する「利用者に混乱が生じるおそれがある」「販売促進費を抑制せざるをえなく、端末価格が高くなる」「事業者独自のブランド戦略を進めるインセンティブが失われる」といった主張に対して、「いずれの懸念点についてもSIMロック解除に応じないことの適正性・合理性の根拠とは認められない」とバッサリ切り捨て、通信方式の問題についても、「通信方式や端末の仕様の相違等については小さくなりつつある」としている。
そのうえで、「事業者が販売したすべての端末においてSIMロックに解除に応じること」「迅速かつ容易な方法により、無料でSIMロックの解除を行なうこと」が適当として、2015年5月以降に販売する端末について要求。さらに「SIMロック以外の機能制限についても、併せて解除できるよう努めることが適当である」とも付け加えている。
一方で但し書きも見られる。割賦代金を支払わないなどの不適切な行為を防止するために、「事業者が最低限必要な期間はSIMロック解除に応じないことなど必要最小限の措置を講じることを妨げるものではない」といった内容だ。
なお、今後は12月1日までパブリックコメントが募集され、その意見を踏まえたうえでガイドラインが速やかに改正される予定。
ドコモはこれまで同様SIMロック解除に前向き
一方で通信方式やサポートに課題があるのも確か
なお、ドコモは2014年度上期決算の説明会における質疑応答で、これまでSIMロック解除に応じてきたという前提とともに今回の方針にも前向きとしつつ、「(無料でSIMロック解除に応じることに対し)店頭での対応にコストがかかっているので検討が必要」とコメント。
また、KDDIの田中社長は「これから内容を検討してパブリックコメントを提出する」とするとともに、(iPhone以外の)現状の端末が多様な通信方式をカバーし切れていない点、またサポートの問題などがあることについて言及した。