初の常設店をオープン
Fablicは新たな取り組みとして、「CtoC」のフリルに「BtoC」の常設ショップを30日にオープンした。「BtoC」となるブランド販売は「Fril公式ショップ」でこれまでも期間限定で行っていたが、常設店は初となる。ショップはMARK STYLER(株)のブランド「MERCURYDUO(マーキュリーデュオ)」、「dazzlin(ダズリン)」、「EMODA(エモダ)」の3店舗。
3ブランドの店舗ではアウトレット品が販売され、トレンチコートやダウンコートなどの秋冬アイテムが最大で67%オフとなる。常設店のオープンにより、フリルではリユース品だけでなく、新品の購入もできるようになり、商品選択の幅が広がった。
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堀井氏は「(常設店オープンの)きっかけは2つあり、1つは、期間限定の販売が好評でブランド側から提案がきたこと。もう1つは、リユース品に気に入った商品がなかったため、別のサイトで新品を検索するユーザーの存在が確認できたこと。フリルで新品も販売していれば、選択肢が増えることになる」と話す。期間限定販売では、1週間で100万円超える売上を上げた店舗もあったといい、フリルユーザーの購買意欲の高さがわかる。
常設店は委託販売の形式を取る。ブランド側からは商品だけが送られ、商品撮影や出品・発送をフリルが代行する。これらは他のファッションサイトでも行なっている形式。同社は「ブランドが増えてきた時点で、物流代行なども検討する」とした。
サービスのクオリティ拡充を優先
ただ、ブランドが増えてくると、「フリマアプリ」ではなくなってしまうという懸念もある。この点について堀井氏は「ユーザーに受け入れられるかどうかを含め、実験的に行っている。リユース品と新品が一緒に表示されないようにしているのも、それが理由。大きな変化ではなく、小さな変化で実験している」とした。
また、今後の展開として、男性を対象としたサービスも検討しているという。ただ、大きな変化や急なサービスの拡大には慎重な姿勢を見せる。「CtoCはコミュニティが重要。どうしても取り引き上のトラブルは発生してしまう。急拡大するとユーザーの生態系が壊れてしまう可能性もある。アプリの削除は簡単で、不十分なアプリを使用してユーザーがよくない体験をしてしまった場合、改善されたアプリを使ってくれることはまずない。まずはサービスのクオリティを上げることが重要。フリルもまだアプリ改善の余地がある」(堀井氏)とし、サービスのクオリティを重視するスタンスを示した。
フリル会員の年齢層は20代前半で、ファッションに関心が高く、購買意欲が旺盛な会員が100万人以上いるとしている。これらの会員を巻き込んださまざまなビジネス展開が考えられるが、同社はユーザーの反応を重視し、着実に市場を拡大させる方針だ。今回の新CMや常設店は、同社が現在のサービスのクオリティに相当な自信を持っている証だろう。
フリルが初のTVCM開始、CtoC成長企業の新戦略とは?(2)
つづく
(山本 剛資)