このページの本文へ

クラウドへの道を開いたNetApp Insight 2014第3回

ストレージコントローラーをクラウドの「機能」として使える

Cloud ONTAPの第1弾はAWS上で動作するFAS1000だった

2014年10月30日 14時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ネットアップのイベント「Insight 2014」で発表されたクラウド版clusterd Data ONTAPの「Cloud ONTAP」。ストレージコントローラーをAWS上に載せることでなにが実現するのか? 実際のデモの様子も踏まえて、レポートしていきたい。

No.1同士の組み合わせがパブリッククラウドを新時代へ

 今回の目玉とも言える「Cloud ONTAP」は、名前の通りパブリッククラウド上で動作するclustered Data ONTAPだ。第1弾はAmazon Web Services(AWS)をサポートしており、ハードウェア関連をのぞき、clustered Data ONTAPのリッチな機能をAWS上で利用できる。28日に基調講演に登壇した米ネットアップのジョージ・クリアン氏は、「ストレージOSのNo.1と、パブリッククラウドのNo.1の組み合わせで、パブリッククラウドは新しい時代を迎えた」とアピールする。

米ネットアップ 製品オペレーション担当エグゼクティブ バイス プレジデント ジョージ・クリアン(George Kurian)氏

 では、どこが素晴らしいのか? クリアン氏は、「データ保護、スナップショット、クローニング、ストレージの効率化などエンタープライズレベルのData ONTAPのデータ管理機能と、グローバルでスケールするAWSの特徴を組み合わせて使える」と説明する。さらに使った分だけ支払えばよい課金モデルも大きな特徴。クリアン氏が「スタバでコーヒーとクロワッサンを買うのよりも安い価格(時間単価)で利用できる」とアピールすると、聴衆から大きな拍手が沸いた。

Data ONTAPのデータ管理、AWSの拡張性に柔軟な課金モデルを組み合わせる

ほんの5分でAWS上にclustered Data ONTAPが現れる

 さて、今回は製品の担当者にデモを見せてもらったので、その模様をレポートする。ラウンチ前ということで、画面は公開できないが、導入や利用のイメージはつかんでいただけると思う。

 Cloud ONTAPのデプロイや設定は「OnCommand Cloud Manager」というツールで行なう。Cloud Managerでは、コロケーションされたNetAppストレージをパブリッククラウドと連携する「NetApp Private Cloud」の管理も可能になっており、同社のハイブリッドクラウド戦略を体現したツールと言える。

 Cloud Managerは、ネットアップのサポートサイトのほか、AWS Marketplaceから入手し、EC2やオンプレミスのサーバーにインストールできる。インストールは名前や説明を入力し、Cloud ONTAPやNetApp Private Cloudなどの管理対象を選択すればOK。起動したCloud ONTAPの追加ボタンを押すことで、いよいよCloud ONTAPのデプロイが可能になる。

画面が出せないので、デモが行なわれたInsightの展示ブースでお楽しみください

 Cloud ONTAPはAWSのブロックストレージサービスであるAmazon EBS(Elastic Block Store)上に構築される。デプロイはウィザード形式で行なえるので、Cloud ManagerのウィザードでリージョンやVPC、セキュリティグループ、EBSのエンクリプションの有無を指定。課金方式は、2TBまでのプラン、使っただけ支払うPay as you goプラン、ネットアップから発行されたライセンスを用いるBYOL(Bring Your Own Licence)が選択できる。さらにVPC内にコンフィグなどをバックアップするサポートインスタンスが標準で用意されるほか、障害情報などを自動転送するAutoSupportも利用可能。ここらへんは通常のFASと同じだ。ただ、現状Cloud ManagerからはNFSのボリュームしか作成できない。

 同じウィザード上で、Data ONTAPならではの各種機能の設定も行なえる。重複排除、圧縮、シンプロビジョニングの有無はUsage Profileという形で、3つの中から選択できる。また、スナップショットの回数も指定できる。すべての設定を確認したら、Cloud ONTAPのデプロイがスタート。リージョンによっては最大25分かかると言っていたが、デモでは5分程度で構築が完了した。あとはCloud Manager上から開始や停止、動作状況の確認、各種設定の変更などが行なえる。

 また、Cloud Managerには「コスト」というメニューがあり、コンピュートとストレージにかかるコストをグラフ表示できる。面白いのは、ディスクを効率的に利用する各種機能の効果を表示するグラフが用意されていること。デモでは、0.67TBしか用意されていないストレージが、重複排除、圧縮、シンプロビジョニングなどを使うことで、67%増の1.84TBにまで拡張されており、絶大な節約効果が得られていることが一目でわかった。

今後の成長も楽しみなエンタープライズ発・クラウド行製品

 エンタープライズITで実績を積んだData ONTAPが、クラウド上で動くということで、Cloud ONTAP登場のインパクトは大きい。HPのVSAのようにストレージコントローラーを仮想アプライアンス化した例はあるが、ボックスからアンバンドルし、クラウドに載せた例は少なくとも大手では初だろう。

 とはいえ、現時点ではシングルコントローラーのみの対応で、利用可能なインスタンスも現時点では2種類しかない。またFASのライトキャッシュとして機能するNVRAMがないため、ヘビーな書き込み処理は難しいという。その点、現状では「テスト・開発の用途のために、FAS1000にあたる製品をクラウド上に構築した」という言い方が正しい理解と思われる。

 だからといってCloud ONTAPの先進性や価値が失われるとは思えない。データを軸にオンプレミスとクラウドを真の意味で連携するという理想を持つCloud ONTAPが、クラウド界隈でどのように受け入れられるか。ネットアップでもそのフィードバックを見据えて開発を続けていくに違いない。パブリッククラウドのみで完結している感のあるAWSに比べ、本命はオンプレミス連携を志向するMicrosoft Azureへの対応だと思われるが、いずれにせよ今後が楽しみだ。

■関連サイト

カテゴリートップへ

この連載の記事
ピックアップ