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日産が3Dトレーニングコンテンツに採用するなど拡大する適用領域

AWS、ゲームだけじゃない「AppStream」の利用シーンを紹介

2014年10月23日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 「我々もまだ、AppStreamをどういうセグメントに適用できるのか“学習中”だ」――。Amazon Web Services(AWS)で「Amazon AppStream」担当ディレクター兼GMを務めるコリン・デイビス氏が来日し、拡大するAppStreamの利用シーンや採用事例を紹介した。

米Amazon Web ServicesのAppStream担当ディレクター&GM、コリン・デイビス(Collin Davis)氏

 昨年(2013年)発表されたAppStreamは、3DグラフィックスやHDビデオなどのリッチコンテンツを含むアプリケーションを、幅広いクライアントデバイスに提供するためのプラットフォームだ(関連記事)。今年9月には、AWS東京リージョンでの提供も開始している。

Amazon AppStreamの概要。クラウド上のGPU搭載EC2インスタンス上で2D/3Dレンダリングを行い、ストリーミング配信する仕組み。クライアントデバイスの能力に依存することなく、リッチなアプリケーションを提供できる

 デイビス氏は、アプリ開発者にはこれまで「ハイエンドデバイス向けのリッチな体験」か「(ローエンドデバイスも含む)より多くのエンドユーザー」か、どちらかを選択しなければならなかったが、AppStreamによって「どんなデバイスにも“没入感のある体験”を提供できるようになり、ユーザー層を拡大できる」と語る。

 そのほか、対応プラットフォーム(Windows、Mac、iOS、Android、Kindle Fire、Chromebook/Chromeブラウザ)ごとにネイティブコードを書く必要がなく開発期間を短縮できる点、クライアント側では軽量なアプリをダウンロードするだけですぐに使える点、クラウド側だけでアプリ更新ができる点、クラウド側の認証機能が使えセキュリティが堅牢である点を、AppStreamの5つのメリットとして挙げた。

バーチャルトレーニングシステムへの採用など、企業での活用例も

 AppStreamの利用シーンとして最もイメージしやすいのは、2D/3Dグラフィックスをふんだんに盛り込んだビデオゲームアプリだろう。だが冒頭に挙げたとおり、デイビス氏は自ら「適用領域は“学習中”」だとコメントし、ゲームだけにとどまらない適用例を紹介した。

AppStreamの適用領域は、ゲームやエンタテインメントだけではない

 たとえば企業での利用事例として挙げられたのが、航空機の整備士向けバーチャルトレーニングの提供である。これはディスティ(DiSTI)が開発/提供しているアプリケーションで、3Dグラフィックスで再現された航空機の各部分を画面で操作しながら、メンテナンスの手順を覚えるというものだ。

 「これまでは整備士を教室に集めて授業形式のトレーニングを行っていた。だが、AppStreamをプラットフォームとして、タブレットで利用できるアプリケーションを提供することにより、教室ではなく格納庫に駐機した飛行機のそばでもトレーニングが可能になった」(デイビス氏)

AppStreamの利用事例として紹介されたディスティのバーチャルトレーニングアプリケーション。整備士が航空機のメンテナンス手順をトレーニングするためのもの

 同様のバーチャルトレーニングシステムは、すでに日産自動車でも導入されており、場所や時間を選ばず整備士のスキル向上トレーニングが実施できるようになったという。日産では「今後、グローバルに、かつ整備士トレーニング以外の領域でも利用拡大を検討したい」とコメントしている。

 そのほかデイビス氏は、医療従事者間で高精細な医療画像を共有したり、アーティストやプロデューサーがツールやコンテンツを共有しながらメディア制作を進めたりする利用シーンを挙げた。

 またビデオゲームアプリにおいても、AppStreamをより高度に活用する「ハイブリッドレンダリング」の技術が紹介された。AWSの米国チームが現在開発中のアプリでは、ユーザーインタフェースや手前のグラフィックスをローカルデバイス側のアプリで、また大量のキャラクターが動く背景のグラフィックスをAppStream側のアプリでそれぞれレンダリングし、組み合わせている。

 「(この技術は)すでに一般開発者も使えるようになっている。ゲームデザイナーは今後、コンテンツにストリーミングを“埋め込んでいく”だろう」(デイビス氏)

「ハイブリッドレンダリング」を活用したアプリの例。ローカルデバイスではUIや前景だけをレンダリング(左)し、クラウド側でレンダリングしたグラフィックスと組み合わせる(右)

 デイビス氏は、AppStreamに対するアプリケーション開発者からの注目は「非常に大きい」と述べた。「AppStreamで何ができるのかを見られている。今後、ユースケースが増え、認知度が高まるだろう」(同氏)。

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