京都、創業400年の老舗鮎料理店「つたや」は、スマートフォンを使ったクレジットカード決済システム「スクエア」を導入している。
つたやだけではなく、明治時代から漆器を扱っている「螺鈿」、おなじく140年の歴史がある呉服屋「京都 銭京」など、京都の老舗が次々とスクエアを使い始めている。
外国人観光客が「カード使いたい」
背景にあるのは外国人観光客の増加だ。
政府観光局によれば、日本を訪れた外国人観光客数は昨年の1年間で796万人超。今年7月だけでも108万人、昨年同月比で31.8%の伸び。年間1000万人も現実味を帯びてきた。
観光庁によれば、訪日観光客は「英語が使えない」「Wi-Fiが使えない」に加え、「カードが使えない」ことに不満がある。景勝地の多い地方ほどカードが使えない店は多くなる。
当初は都市圏の飲食店やアパレルなどを中心に契約数を伸ばしたスクエアだが、一方で「海外旅行客の多い県で普及が早い」(スクエア広報)。北海道や、スキー場のある長野県などでも導入が進んでいるそうだ。
京都・二年坂にある茶道体験教室「茶道体験カメリア」でもスクエアを導入しており、「『カードが使えるんだったら』と、体験教室に参加していく方もいます」と話している。
今後は「ApplePay」にも対応か
2020年開催の東京オリンピックに向けて話が広がるスクエアだが、課題もある。
競合エニウェアは銀聯(ギンレン)カードに対応するが、スクエアの対応カードはVISA、Master、アメリカンエクスプレスの3社だけで、中国人利用者には弱い。
また国内では「Suica」や「Edy」のように近距離無線通信(NFC)を使ったタッチ式の電子決済が勢いを増しており、クレジットカードの会員数は頭打ちだ。
収益化構造への疑問もある。今年4月に米経済紙ウォールストリート・ジャーナルが同社の赤字体質を指摘し、グーグルへの事業売却を検討しているとも報じた(同社は否定)。
世界的にはアップルのタッチ式電子決済「Apple Pay」が注目を集めている。スクエアではApple PayなどNFC対応も考えているというが、新たな投資を利益で補う算段はあるのか。
日本文化を世界に広める意味でも、スクエアの今後の采配に期待がかかる。
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