GoogleのAndroid Wearを搭載した腕時計型デバイス「LG G Watch」を販売開始当日にオーダーした。
腕時計マニアの筆者は、情報通信系腕時計に限らず、何か面白そうな腕時計を見つければ、いつも衝動買いをしてしまう。
「LG G Watch」を紹介する前に……
筆者の考える時計型情報通信デバイスの本質
ちょうど今から13年ほど前、日本IBMに勤めていた頃に腕時計メーカーのシチズンと共同でLinuxベースの腕時計コンピュータ「WatchPad」の企画製作に関わったこともあった。
そんなこんなで鳴り物入りで登場したLG G Watchは最高に楽しみにしていた商品の1つだった。ここ2年ほど、ソニーやPebbleのスマートウォッチも使って来たので、Googleが音頭をとるメーカーの枠を超えたコンセプトや企画にも極めて強い興味があった。
十数年近く昔に発売されていたセイコーインスツルメンツの「Ruputer」(ラピュータ)も、その後の「WatchPad」も、現在のスマートウォッチと同じく「より手元の情報を重視する」という観点では同様の商品だ。
支える基本技術は変化しても、プロダクトのコンセプトや発想が現在のGoogle Watchとそれほどかけ離れているわけではない。
PCが情報インフラ活用の基本クライアントだった時代から、スマホやクラウドにその基盤が移行しても、人が情報を便利に活用するために必要なことは何も変わっていない。
時代の変化と共に求められる情報は複雑多岐にはなるが、新しいコンセプトやテクノロジーはその実現性を加速し、出来ることの範囲は日々広がっている。
昔からわかっていたことだが、21世紀最大のビジネスは「コンシェルジュ・サービスビジネス」だ。何かわからないことがあれば、いつでも誰かに聞けば、その時点でベストな答えを教えてくれる環境実現がその基本コンセプトだ。
優秀な部下や取り巻きが多い恵まれた人は、疑問点や知りたいことがあれば、それをただ周囲の人に聞けば解決する。そうでない恵まれない環境の普通の人たちにも同様のサービスを提供することを情報通信技術で実現しようと考えた仕組みがコンシェルジュ・サービスビジネスだ。
画期的なアプリケーションの開発や優しいユーザーインターフェース、クラウドなコンセプトのSNSの登場もコンシェルジュ・サービスビジネスの開発や推進に大いに役立っている。
昨今の新しくて実は古い「Google Glass」に代表される話題のウェアラブルデバイスも、コンシェルジュ・サービスビジネスの代表的なクライントデバイスの1つだ。
若年層を中心に腕時計離れが一段落した段階で登場してきたスマートウォッチのタイミングと要領の悪さは残念だが、Googleが音頭をとっているGoogle WatchであるG Watchもその狙いは同じだ。
いわゆる、人間が身につけるモノとしては眼鏡と腕時計という古い発想は、最先端の情報通信技術でも何も変わっていない。将来的には、“身に付ける”ではなく体内に内蔵する“エンベディッドの世界”に向かうことも確実だろう。
Googleが推進するコンシェル・ジュサービスビジネスの1つの具現化はすでに利用者も多い「Google Now」だ。Googleの言う「あなたに”ピッタリの情報”をちょうどいいタイミングでお知らせする」はまさにコンシェルジュや個人秘書サービスのアプリ化を目指しているに過ぎない。
ご主人様が聞いたことに答えてくれるか、事前にわかっている予定や位置情報から先回りしてアプリが“ピッタリの情報”をあなたに教えてくれるかはシステムの設計上のことであり大した問題ではない。
10~15年前にPDA(Personal Data Assistant:個人情報端末)がはやった頃、PIM(Personal Information Manager)と呼ばれるアプリが当時のスマートデバイスであるPDAへのデータの供給源だったが、現在は、そのコンセプトがIPA(Intelligent Personal Assistant)とちょっとだけ名前が変わったに過ぎない。
そして供給される“ピッタリの情報”の多くはメールやカレンダー、SNSなど、ユーザーが日常よく使っているアプリに入力した情報であり、その多くは条件付きではあるがクラウド上に公開されたデータだ。
(次ページに続く、「送られてきたG Watchを開封!」)

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