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ドコモ、AWSの料金システムが複雑なのは「おたがいさま」

2014年07月18日 07時00分更新

盛田 諒(Ryo Morita)/アスキークラウド編集部

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 17日、NTTドコモ 執行役員 栄藤稔氏がクラウドサービス開発者向けイベント「AWS Summit Tokyo 2014」に登壇。Amazon Web Services(AWS)を使って開発した「しゃべってコンシェル」について講演した。クラウド向けに開発されていたというサービスは当初、周囲に見つからないように開発していたのだという。


「社長の目にふれてうまくいったプロジェクトはあまりない」

 しゃべってコンシェルは「マイクロソフトのBing、グーグルの音声検索に触発されて」(栄藤氏)2010年に開発を始め、2012年3月にリリースされたWebサービスだ。音声認識・タスク判定は、共にAWSを使っている。だが開発当初はしばらく「ステルスモードで開発していて、社長に見せていなかった」。

 「社長の目にふれてうまくいったプロジェクトはあまりない。ところが見つかってすぐに出せと言われてしまい、出したのが『しゃべってコンシェル』だった」

 サービスへのアクセスは初月から1ヵ月おきに50万、150万、250万と伸びていった。当初は国内のクラウド事業者を使っていたが、サーバーを借りる際に月払い契約だったこともあり、より柔軟なAWSに切り替えた。巨大化したしゃべってコンシェルは「5人くらいでハンズオンで作ったのが誇りだった」。

 「それを社長に言うと、加藤さん(NTTドコモ加藤薫社長)は『ほんまに5人で作ったんか?』と言った。坪内さん(同 坪内和人副社長)が何と言ったかというと、『やっつけ仕事の割にはよく出来ている』」


「データがなくなったら、おまえとおまえの部署は全部クビだ」

 よく言われることではあるが、しゃべってコンシェルのようなWebサービス開発は、クラウドをベースにした開発のほうが従来どおり社内のサーバーをベースにした開発よりも合っているという。

 「だが、ドコモはもともとインフラの会社。社内からは『ウォーターフォールの悪口ばっかり言って!』と言われるが、ウォーターフォールでやることは悪いことではない」

 従来からインフラ目線で開発をしていた社内では「『発注』の概念でパブリッククラウドを使うのは無理だよね、という話をよくしている。小さく作って、大きく伸ばすというのがやはり重要」。

 しかし、扱うデータや、仕事の責任所在が中小企業とは異なる大企業では、得てして逆のことも起こりうる。たとえばNTTドコモではデータ蓄積系のサービスを開発しているが、真逆の事態が起きた。

 既存コンポーネントの組み合わせで、非効率だと分かっていながらもサービスを作ってしまう。そのあと徐々に最適化をはかり、後に減らしていくという発想の開発だ。

 「データ蓄積はすごく緊張する。『データがなくなったら、おまえとおまえの部署は全部クビだ』と言われる。怖くなる。怖くなると、最初にできるだけ大きく作ってから小さくする、という話になっていく」


「料金システムが複雑なのはおたがいさまなんだけど」

 AWSの料金についても、大企業としては扱いづらい点もあったという。

 「オンデマンドでお金が使えるといっても、予算折衝的には安定的にお金を前払いという方がラク。結果的に安くなるけど、最初の時点で安くなるかどうかは分からないというのは怖い。AWS保険が欲しい」

 AWSの料金設定は複雑だ。NTTドコモでは、複数のプロジェクトをまたがって運用している部署がまとめて勘定する「コンソリデーテッド・ビリング」(一括請求)の仕組みを使っているが、運用上の課題があった。

 たとえばプロジェクトAが「ワークロードに対して最適化し、RIを戦略的に購入して……」とまじめに考え、プロジェクトBは「まあどうせ会社が払ってくれるんだから何もしなくてよくね?」と適当に考えていたとする。

 しかし、請求額が合算されると、Aの努力はBに吸収されてしまうのだ。Bは「なんかしらんけど今月はいつもよりちょっと少なかった」となり、Aは「あれだけ頑張ってんのにやる気なくすわ!」となってしまう。

 そこでドコモでは自前のコスト管理ツールを開発。リザーブド・インスタンス(予約金を払うと料金が安くなるAWSのシステム)の有効利用度を見える化し、AWSの料金設計を使いやすくしているのだという。

 クラウドならではのスケーラビリティー、為替のように日々変動する料金設計も含めて「AWSは面白い」と栄藤氏。「まあ料金システムが複雑なのはおたがいさまなんだけど」。


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