日本マイクロソフトは7月2日、2015年度の経営方針記者会見を実施した。
同社代表執行役社長の樋口奉行氏は「日本マイクロソフトとしては3周年を迎えた。消費税増の駆け込み需要やXPサポート終了という追い風もあり、売上はこの一年で過去最高を記録している。なおかつ、『働きがいのある会社』としてNo.1に選ばれるなど、大変うれしいこともあった。BtoBビジネスでは、データベースなどのミッションクリティカル分野、クラウド分野で高い信頼感を得られていると思う」と切り出した。
樋口氏は、日本全体が競争力を取り戻さなければいけない、と語る。「OECDによると、先進国における日本の生産性は19年連続で最下位。生産性やクリエイティビティを高めるという顧客の意識も高まっている。ICTの利活用が遅れているというのも理由の一つで、グローバルの指標を取り入れ、ワークスタイルや考え方も見直していかなければいけない。ますます情報投資が活発になっている」。
WindowsタブレットとSurfaceは好調、学校や自治体の導入例も増加
同社の昨年度のPC出荷台数は過去最高を記録し、タブレットも企業としては後発だが追い上げを見せているという。Windowsタブレットの店頭シェアは2年前まではほぼ0%に近かったが、SurfaceシリーズとOEM合算で30%まで上昇しており、年度内には50%まで獲得していきたいと目標を掲げた。Microsoft Azure 日本データセンターには企業からの利用応募が殺到しており、キャパシティーは随時拡張中であるとした。また同社の推し進める社会貢献の一環として、教育機関への注力を紹介。学校や自治体にWindowsタブレットが導入される事例が増えており、Office 365は100以上の教育機関、のべ107万ユーザーに利用されているという。
米マイクロソフト本社のCEOにサティア・ナデラ氏が就任したことも昨年度の大きな出来事といえる。同氏はビル・ゲイツ、スティーブ・バルマーに続く3人目のCEOとなる。「モバイルファースト」「クラウドファースト」という方針のほか、スローガンとして「usage」(使用、使用率というような意味)を掲げている。これについて樋口氏は「使ってもらってナンボ、ということ。やみくもに新しい機能を追加していくだけではなく、本当に使ってもらえるような製品展開を目指す」とした。同氏の号令のもと、Office for iPadのようなクロスプラットフォーム、およびオープンソース化はこれからも推進していくという。
7月17日に発売が迫るSurface Pro3については、「Pro2は1日しか予約を受け付けていなかったが、初日で比較すると予約数は25倍。長期戦でタブレット市場に働きかけていきたい。目標値は言えないが、売って売って売りまくりたい」としている。大塚製薬が全MR向けに、Windowsタブレット「Dell Venue 11 Pro」1900台を配備したこともあわせて報告された。従来はノートPCと他社OSのタブレットを配備していた大塚製薬だが、樋口氏は端末の一元化について「今は言えないが、Windowsタブレットに一元化を考えている企業は多い」と含みを持たせた。
コンシューマー版Office 365、日本市場に最適化した形で展開
また、海外では昨年1月からコンシューマー向けにも展開しているOffice 365を、日本でも2014年内に提供開始することが発表された。日本ではオフィスソフトがプリインストールされているPCが多いことを踏まえ、エコシステムを最大限活用するなど、日本市場に最適化した上での展開を考えており、詳細は後日発表されるようだ。