ラムバスは20日、2014年のIoT(Internet of Things:モノのインターネット)戦略および注力分野に関する記者説明会を都内で開催した。米本社から上級副社長兼最高マーケティング責任者のジェローム・ナデル氏と、エンタープライズ・ソリューション部門副社長のスティーブン・ウー氏が来日し、同社の戦略を語った。
同社はこれまで、メモリーインターフェース、セキュリティソリューション、スマートセンサー、LEDイノベーションの4つの柱に注力してきたが、これを取得(スマートセンサー)、安全性の保護(セキュリティーソリューション)、転送(メモリーインターフェース)の3つに集約するという。
取得
3本柱の1つ「取得」は、演算による画像処理の向上と撮影を差す。画像処理を向上させるための技術が「バイナリピクセルイメージャー」だ。具体的には、画像および動画をフルダイナミックレンジ化し、低照度領域をより鮮明に映しだすことで画質を向上させる。情報量が増加するため、これには画像処理を高速化するデータ解析も含まれる。
画像撮影に関する技術が「レンズレススマートセンサー」だ。イメージセンシングの新しい手法で、カメラの部品にあたるレンズ、オートフォーカス、フィルターなどを撤廃し、それを演算で実現するというもの。さまざまな種類のスペクトル帯に適した小型で低コストのレンズレスイメージャーと、被写体の存在や動きを検知するスマートセンサーで構成される。
安全性の保護
2つ目の柱が「安全性の保護」だ。せっかく取得したデータが漏洩したり、破壊されては意味がない。そこでラムバスは、演算時に消費電力が増えることを利用したDPA(電力差分解析)攻撃の対抗手段や、プロセッサーに内蔵できるセキュリティーコアといったハードウェアを提供することで、機器間でやりとりされるデータを確実に保護する仕組みを構築する。
転送
3つの柱の最後が「転送」だ。高速なデータ転送を低消費電力で行ないたいというニーズに対応するための取り組みで、テストでは銅線を使った転送で40Gbpsを超えるデータレートを実証済みだという。
それに加え、メモリー規格を改良して現在のDRAMの寿命を延長することで、メモリー設計の企業としての地位を高めていく狙いだ。今月同社がJEDEC(JC-40)に加盟したのもその一環だろう。
特許から製品へ
以上のようにラムバスは、これまでの特許ビジネスから、製品そのものの提供へ転換し、顧客と協業していく方針を固めた。これはムーアの法則が減速し、従来の費用方程式の正当性に揺らぎが生じたことも起因するだろう。
IoTが叫ばれる昨今、メモリー技術が従来とは異なる方法で利用されるようになり、同社も従来とは異なるビジネスで勝ち抜いていかなければならない局面に達したということだ。