ホーチミンシティやハノイ、ダナンなど、反中デモがベトナム各地で起きている。過去にも反中デモは2012年などにあったが、今回のデモはこれまでにない規模だ。
両国が領有権を主張する南シナ海のパラセル(西沙)諸島において、中国国営企業が石油の掘削作業を開始したことに抗議するデモで、南シナ海ではベトナムの船舶は中国の掘削作業を妨害し、対して中国は船舶を繰り返し衝突したり、放水を行なうなどしている。
デモは街中での「我々の石油を盗むな!」「侵略者の中国を倒せ!」といった声をあげるデモだけでなく、南部のホーチミンシティに近いビンズオン省ではデモ隊が暴徒となり、中国系企業や台湾系企業をもターゲットに工場の破壊や炎上が起きる事態になっている。
中国系旅行客を受け入れないホテルやレストランも登場した。また、自称愛国者が湧き出し、街中でベトナム国旗のデザインのグッズが売られはじめ、ベトナム国旗が多くはためいている。
日本のメディアの記事がベトナムで報じられている?
中国では、反中デモについては報じられているが、トップニュース扱いではなく、意識して探さないとニュースを見つけることはできない。また記事の中でもデモ隊の工場襲撃については掲載した記事については削除している。
かたやベトナムでは「Zing」(http://news.zing.vn/)や「VnExpress」(http://vnexpress.net/)などの著名ポータルサイトが連日目立つ場所で、南シナ海でのベトナムと中国を巡る話題や、デモについての最新情報を報じている。
中国におけるネットの反応も報じているが、その一部を読むとソース元が産経新聞やライブドア、共同通信などの日本のメディアがちらほら見つかるあたりが興味深い。
ベトナムには日本語が読める記者が中国語が読める記者より多いのか、世界で日本だけが中国でのネットの反応をまとめているのかはわかならいが、とにかく本国以外でも日本発の「中国のネットの反応」というのはニーズがあるらしい。
南シナ海での動きとその後の反中デモの結果は、中国の「ベトナム(越南)」という検索ワードは平時の2~3倍になったのに対し、ベトナムでの「中国(Trung Quoc)」という検索数は平時の4~5倍になっている(中国は百度指数、ベトナムはGoogleトレンド調べ)。
ベトナムのVnExpressなど一部ネットサイトメディアでは、ニュースの記事の下にニュース感想コメント欄がある。デモの攻撃的な言葉とは異なり、ニュース記事の反応は「平和的に国際司法裁判所に訴えよう、必ず勝てる」「工場を壊したら自分たちの仕事がなくなる。悪い人間にあなたは悪用されないよう目を覚ませ」といった書き込みに、数千もの他のネットユーザーの同意がされている。
とはいえそれは一部であり、ここぞとばかりに暴れる人々もいる光景は、中国の反日デモとかぶる。
(次ページに続く、「制限されているはずのFacebookで情報が広がる!」)
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