マイクはギリギリまで試行錯誤
A/Dコンバーター、D/Aコンバーターともに変換時のクロックのジッターを低減するため、制御用回路はマスタークロックで同期をとり、それぞれのコンバーターにクロックを分配。これによりジッターを抑制して音質劣化を抑えている。
本体上部についている2つの可動式マイクも開発に苦労したものの1つ。マイクの口径は15mmだが、開発当初はもう少し太かったとのこと。
これにより従来機よりも感度はアップし、周波数特性も40kHz近くまで広げられたが、よりフラットな特性にするため、ギリギリまで試行錯誤を繰り返した。結果としてマイクを細くすることで解決したそうだ。
リニアPCMレコーダーとしてではない
新しい活用法を提案
この製品に関する率直な疑問としてよく尋ねられるのは「これで何を録音すればいいのか」ということ。ダイナミックレンジが広い音というと、音楽ライブや鉄道(蒸気機関車)の音などが思い浮かぶが、自然の環境では過度に音が大小するシチュエーションは少ない。
そこで橋本氏が提案するのは、LPレコードを外部入力で録音し、DSDとしてアーカイブすること。また、LPレコードは持っていないという人に対しても、CDをアップサンプリングしてアーカイブすることを提案。PCM-D100は最大4倍のアップサンプリングが可能で、CD音源であれば44.1kHzの4倍、つまり176.4kHzで保存できる。
これにより、古いLPやCDを高音質なデジタル音源として保存し、いつでも気軽に聴けるようにしておける。リニアPCMレコーダーとしてだけではなく、古い音源をデジタル化する“変換装置”としての役割も担えるとのことだ。