「今年のCESはウエアラブルだらけ。かつての電子書籍端末ブームを思い出します」。長年CESに参加している記者は、そう口にした。
米国ラスベガスで1月7日から10日にかけて開催された「2014年インターナショナルCES」。今回はウエアラブル端末を含むデジタルフィットネス分野の展示面積を前回より30%増床したほか、エプソンやLGといった大手電機メーカーが新しいウエアラブル製品を発表し、参加者の注目を集めた。
また、センサーの小型化も大きなトピックだ。ソニーはシンプルなリストバンドにコンパクトなセンサーを組み合わせたウエアラブル端末を発表したほか、インテルからはSDカードサイズのコンピューター「エジソン」が登場。同チップを使って赤ちゃんの生体情報を収集するスマート肌着「Mimo」を紹介した。
センサーの小型化は、既存のモノをスマートに変えネットに接続する「インターネット・オブ・シングス」(IoT)化を推進する。例えばソニーはスイングの種類や速度を計測できるテニスラケットの試作品を用意し、エプソンはゴルフ用センサーを展示。さらにはセンサーを埋め込んだバスケットボールすら登場している。
センサーの波が押し寄せているのはスポーツ分野だけではない。ペットの位置情報を知らせるセンサー、紫外線量を教えてくれるブレスレット、ジャイロセンサーで歯の磨き方をチェックしてくれる歯ブラシ、睡眠中のログを計測するベッド。飲むべき薬を指示してくれるピルケースから、テディベア型の生体センサーまである。
ありとあらゆるモノにセンサーが付き、ネットを通じてデータが収集されるようになった未来を、ネットワーク機器大手シスコのジョン・チェンバースCEOは「インターネット・オブ・エブリシング」(IoE)と呼んだ。
IoEが本格化すれば全ての情報はデータ化され、シームレスに共有される。例えば一日の体温の推移や摂取カロリー量、睡眠時間などを身につけたウエアラブル端末で計測し、運動不足と分かると鑑賞中のスマートテレビの画面で外出や運動が指示される、といった可能性が考えられるという。
チェンバースCEOはCESの基調講演で、「(IoEは)正しい情報を正しい時に正しい端末で正しい人に届けることで、正しい判断を可能にする」と話した。望むと望まないに関わらず、技術の発展により、この世界観は着々と実現の階段を上りつつあるのだ。